2018.9.28 06:33/ Jun
オリジナルであれ、さらに、プラクティカルであれ!
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立教大学には2つの中原ゼミがあります。学部の中原ゼミと、大学院(立教大学大学院 経営学研究科 経営学専攻)の中原ゼミです。
大学院の中原ゼミ・・・別名「中原研」は、所属大学院生はまだ2名。しかしながら、従来の指導学生やら、元研究室OBやらが集まり、今学期は、朝の8時30分から、ワサワサと院ゼミを行っています。
立教大学大学院 経営学研究科 中原研究室
http://www.nakahara-lab.net/about
昨日は、大学院生の辻和洋さんと、伊倉康太さんが、研究発表をしてくれました。
お二人とも働きながら、研究を進めているので、かなり大変なことだと思います。学生ながら、頭が下がります。お疲れさん! 様々な困難はあるかもしれませんが、指導教員としては、お二人の研究の進捗を最大限サポートしたいと思っています。
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ところで、昨日の院ゼミでは、中原研で研究を新たにはじめるときに、大切なことをお話ししました。
それは、冒頭お話しした
オリジナルであれ、さらに、プラクティカルであれ!
ということです。
今日は、これについてお話をしましょう。
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まず「オリジナルであれ!」とは研究であるならば、アタリマエのことです。
どのような研究にも、先行研究とは「異なる」何らかの「差分」がなくてはならない。どんなに「プチ」でもいい。何らかのユニークさ、独自性、誰もやったことのない部分がない限りにおいて、どんなに「有用さ」を生み出すような研究でも、それは「研究」とは言えません。
次に「プラクティカルであれ」とは、中原研独自の指導方針です。「他の研究者」の指導には口を出す気は1ミリもないので、以下は、僕の信念であり、中原研究室内部だけで通用すればいい価値観だと思って聞き流してください。
僕は、自分の指導学生には「プラクティカルさ」をもとめます。
研究は、その研究の知見を受け取ってくれるひとで、それを、現場の変革に役立ててくれる「まだ見ぬ他者」の「ために」書きなさい、と指導をしています。
中原研において、研究とは、いわば、「現場を変革しようとする人々」への「応援歌」のようなものと考えることもできるかもしれません。
現場は、どんな現場であってもいい。現場で悩む人、現場で苦しんでいる人。そういう人に別の視点を提供し、新たにもう一度、現場を立て直してみようか、と思えるような研究を生み出しなさい、と指導しています。
別の言葉でいえば、「自分の研究に宛先を持ちなさい」「聴衆のいない歌を歌うな」ということです。
研究とは「お届けする」ものであり、「誰か」に向けのものである。要するに、研究における「有用性」をかなり重視した指導を行っているわけです・・・これは僕自身の信念として。
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実は、難しいのは、この「順番」です。
オリジナルであれ、さらに、プラクティカルであれ!
であって、
プラクティカルであれ!、さらに、オリジナルであれ、では「ない」!
のです。
まず「オリジナルであること」は「すべての大前提」。
その研究は、過去の研究とは何が違うのか?
その研究は、過去に取り組まれたものと、どのような点がオリジナルなのか?
この問いかけに答え得る「オリジナリティテスト」をクリアしたリサーチクエスチョンだけが、さらに先にある「プラクティカルテスト」に進むことができます。
「オリジナリティの確保」は、先行研究のしっかりとした読み込みを行わなければできません。丁寧に時間をかけて先行研究リストをつくり、これだ、この問いが誰もやっていない問いだ、ということを確認しない限りにおいて、どんなに「プラクティカルさ」を主張しても、それは研究とは言いません。
さらにそこからは「プラクティカルテスト」が待ち受けています。これは中原研だけのハードルです。
その研究ってさ、誰に「届けたいの」?
その研究は、誰に「感謝」されるの?
その研究が、明日、万が一なくなったとしたら、誰が、少しだけ「悲しむ」の?
これがプラクティカルテストに浴びせられる問いかけです。
この2つのテストは、簡単なようでいて、なかなか難しいのです。
はじめて研究を志す人にとっては難問中の難問といってもいいかもしれません。
しかし、研究とは企画が8割、実行2割。
その企画の根幹が、2つのテストをクリアできるリサーチクエスチョンをつくりあげることです。経験的には、早い人でも、約半年間から1年間くらいは、このリサーチクエスチョン作りに時間がかかると思います。
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今年も大学院ゼミが、いよいよ本格化してきました。
博士の辻さんは、大変忙しい中、研究を前に進めようと本気になっています。修士の伊倉さんも、とても面白い分野を探究なさろうとしています。
君たちの研究を、きっと、誰かが「待っている」。
ぜひ、そういう現場に、研究を「届けて欲しい」
指導教員としては、そう願うばかりです。研究を進めるのは、僕ではなく、大学院生なので、指導教員は、この段になると無力です。ぜひ、引き続き頑張って欲しいものだと思います。
そして人生はつづく
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