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2018.9.19 07:06/ Jun

「ゼミ活動」をとおして「経営」を学ぶ!? : 中原ゼミの採用活動がはじまります!

「ゼミ活動」をとおして「経営」を学ぶ
     
 というアイデアが面白いなと、最近、強く思っています。
 なんか、そんな本をいつか書きたいな、と思うほどに(笑・・・また余計なことを・・・たまっている原稿が腐るほどあるのに・・・)
     
 このアイデア、立教大学着任当初から、僕の頭の中にあったわけではありません。
 今年から、初代の活動がはじまった「中原ゼミ」が、結果として、そうなっているのです。こうした活動に取り組んでくれている学生諸氏に、まずは、心よりリスペクトを表します。お疲れさん!
  
  ▼
  
 さかのぼるは、今年の春、4月のことです。
 さっきまで、ほぼ「赤の他人」であった22人の学生たちが教室に集まりました(現在は23人)。
 これが「中原ゼミ=中原コーポレーションの誕生?」です。
  
 まだ経験の浅いオーナー(わたくしでしょうか)は、熱弁をふるいます。
 しかし、学生たちにはピンときません。
  
 「あー、先生、なんか、言ってる」
 「言ってる」
 「なんとなく、わかるー」
 「わかるー」
 「わかるー」
  
 みたいな感じです(泣)。
  
 ピンときていないまま、学生たちは活動をはじめていきます。この頃の小生は、完全に「浮き足だったベンチャー企業の創業者」みたいなものです。「今さらジロー」ですが「すんません」でした。ちょっと力が入りすぎだったかもしれません。ていうか、「今さらジロー」は、今の学生には通じません(笑)。
  
 この段階で、まだ「ゼミ=組織」が何を目指すかは、決まっていません。
 とはいえ、「日銭」?を食っていかなければならないので(時間割はゼミの時間が割り当てられております)、何らかの活動は行っていきます。
   
 ゼミとはいえ、「様々な役割」もだんだん生じてまいりますので、いちおう、係を各自で分担します。形式上の「分業」が進行します(組織論では分業などを学びますね)。
 おぼろげながら「組織図」ができてきます。
 しかし、まだピンときません。「組織図」はあるのに「組織」としてなかなか動きません。
  
 といいましょうか、「そもそも論」を申し上げますと、ゼミがいったい「何」をめざすのか・・・「顧客」や「戦略」が、明確に「決まっていない」ので、生産活動(学習活動)が、あまりうまくいきません。
 いえいえ、全く何もしていないわけではないのです。活動は行っているのですが、これが自分たちの活動で本当によいのかが、次第に、不安になってきます。
 教員の不安です。おそらく、多くの新任教員の皆さんが、この不安感を経験なさっているに違いありません。初年度のゼミというのは「暗中模索」です。
  
 あるとき、ゼミ内に、ひょんな出来事が起こります。これをきっかけに、「様々な矛盾」が露呈します。
 自分たちが、いまだ「組織」としてWORKしていないことを感じてしまうのです。
 描いていた「組織図」もうまく機能しません。
「情報共有」もうまくいきません。意思決定の仕組みも「機能」しません。
    
  ・
  ・
  ・
  
 いちからの「出直し」です。
  
 ゼミで、まず最初に取り組んだのは「組織開発」を自らにおこない、自分たちの組織ならではの「理念」をつくっていくことです。大変な時間がかかります。
  
 しかし、ここはふんばりどころです。学生立ちは頑張りました。
  
 組織開発がなんたるかは、自ら組織開発を経験しなければ、学べません。
   
 そして
  
 組織開発は、自ら実践しなければ学べません。
  
 すなわち、「中原ゼミ」という「仮想コーポレーションの経営」で、必要に迫られて「組織開発」を行わざるをえないことで、結果として「組織開発を学ぶ」きっかけにもなります。
   
 自らの「理念」もつくりました。自分たちがゼミ活動で大切にしたいものをひとりひとりがだしあい、ゼミの理念を析出しました。大変な時間がかかりました。まことにおつかれさんです。経営学には「理念経営」という領域があります。それをテキストで座学で学ぶこともできます。しかし、中原ゼミの場合は、いつも「必要に迫られます」(泣)。
    
 いわゆる「自分たちの理念をつくりながら」、「理念を学ぶ」のです。
  
 もちろん、「日々の泥臭いコミュニケーションの仕組み」も見直しました。
 なぜ自分たちの意思決定がうまくいかないのか、日々の情報共有の仕組み(どのようなオンラインメディアを用いるか)はこのままでいいのか。若いリーダーが陥りやすい罠とは何か。すべてを体験しながら学んでいきます。
  
 大変な時間がかかります。
 この頃には「誰かが決めればいい」「先生が決めればいい」という意見も、ちらほらでてきます。
   
 しかし、たぶん、それを行えばすぐに決まります。
 でも、きっと同じ失敗を「繰り返すこと」になるでしょう。
   
「経営」は、一皮むけば、「泥臭くて地道な活動」です。
   
 そして
  
「経営を学ぶこと」も、実は「泥臭くて地道なこと」なのではないか
  
 と思うのです。
    
  ▼
    
 秋になると、中原ゼミでは、新たに「2つの活動」が進行します。
 ひとつめは「採用」。
  
 立教大学経営学部では、秋学期に各ゼミが新1年生を対象にしたリクルーティングを行い、新たなゼミメンバーを募集します。
  
 採用を行うためには、採用の理念をきめ、どのような人材をどの程度募集するのか。採用メディアをどのように用いるのか。どのように公平な選抜を実現しようとするのか、などを決めなくてはなりません。
 これも「話し合い」です。仮想人事部が、採用プランのたたき台をつくり、みなでもみ、ようやく採用のコンセプトが決まりました。神戸大学の服部先生の「採用学」を勉強しながら、これに取り組みます。
  
 せんだって、ゼミの採用メディアが、インスタグラムとTwitterで立ち上がりました。
 いろいろ説明会やら、対談会やら、ミニワークショップやらをするみたいです(わたしは企画の全貌は知りません。学生が企画します)。いちおう、メディアごとに棲み分けもしているみたいです。
   

  

中原ゼミ公式Twitter(フォローをお願いします)
https://twitter.com/nakaharaseminar
    

中原ゼミ公式Instgram(フォローをお願いします)
https://www.instagram.com/nakahara.seminar.recruit/
  
 うまくいくかどうかは、1ミリもわかりません。
 もしかしたら、説明会やら、対談会やら、誰もこないかも(笑)しれません。
   
 でも、
  
 採用も、採用をやってみなければ、学べません。
  
 まずはやってみな、ダメならきっちり振り返って、立て直す
  
 これが、中原ゼミの学び方です。
 ここは「大学」です。リアル社会では、なかなか「失敗」できません。あんまり失敗ばかりしていると、だんだんと組織のなかで「追い詰められて」いきます。
 しかし、大学ならば、それがまだまだ許されます。大学とは「試行錯誤の場所」なのです。だから、「まずはやってみな、ダメなら立て直し」です。
  
  ▼
  
 ふたつめは、いよいよ「生産活動=学びのアウトプット」に取り組みます。
  
 今年、中原ゼミでは後期に、「若者たち × 働き方」をテーマにしたプロジェクト学習に取り組みます。
 ゼミ生がいくつかのグループに分かれて、「現代の20代が、将来の働き方をどのように考えているのか」を若者の目線、企業の目線から調べて、それを、社会のひとびとにアウトプットする活動に取り組みます(とゼミで決まりました)。
  
 たとえば、テーマとして下記のようなものがありうるでしょう。
 他に何をやってもいいのですが、たとえばです。
  
 労働のAI化や機械化が進行する中、現代の若者は、自らのスキルをいかに高めようとしているのか? 企業はどのように、今後の従業員のスキルをいかに考えているのか?
  
 混沌とする来年の就職活動を、現代の若者たちは、どのように計画しているのか?企業はいかに企画しているのか?
  
 若者の早期離職はどういった要因から引き起こされているのか? 早期離職を防止するために、企業は、今、何に取り組んでいるのか?
  
 こうした課題を探求して、それをワークショップのかたちに仕立て上げ、100名規模のビジネスパーソンの皆さんに発信するという活動に取り組みます。ワークショップは2019年3月の予定です。
  
 曰く
  
 20代の若者たちが現在、何を考え、仕事に取り組んでいるのか?
 そのとき、企業の経営や人事システムをいかに見直さなくてはならないのか?
  
 をともに考えていただけるようなワークショップにしたいとのことです。
  
 この場合の「顧客」は「ビジネスパーソン」の皆さまです。
 顧客の皆様に「大学のなかで生まれた知識」を「アウトプット」することを通して、生産活動を学びます。
 アウトプットをするためには「猛烈にインプット」をしなくてはなりません。本を読み、統計を調べ、図書館に通うことになるでしょう。生半可な発表をしていては、スパイシーなフィードバックが飛ぶでしょうから(笑)。
  
 また、この時期、2年生の時期に、こうしたテーマに取り組むことは、別の意味も持ちます。
 ビジネスパーソンの皆さんに、自分たちが学んだことをアウトプットするだけでなく、彼らが近い将来(1年ー2年以内に)直面するであろう「就職活動」「トランジション」において、自分が、どのように振る舞うべきかを学ぶこともできます。テーマがテーマなんで。自分たちが「探究」する「若者たち」は、数年後の自分の未来なのです。 
  
 このプロジェクト活動は「自分たちの未来に出会う旅」でもあるのです。
  
 秋学期からは、これらの活動が本格化します。
 たぶん、またいろんな試行錯誤やコンフリクトがおこるでしょう。
     
 しかし、指導教員としては、ぜひ、そこに「向き合って」欲しい。
 そこから「生きた経営学」を学んで欲しいと願うのです。
 専門知識をいわゆる講義で学ぶことも重要。しかし、一方で、体験活動を通して「経営の難しさ」や「ひとのマネジメントのややこしさ」を学ぶことも、また重要です。
    
  ▼
  
 今日は「夏休み最後の日」です。
 明日から、大学はスタート、ゼミがまたはじまります。
  
 僕は、学生たちに多く(ほとんど)を「任せます」(僕自身も多くを学び、任せるようになりました)
 僕は、教室の後ろにすわって、なるべく黙って、活動の推移を見守ります。
   
 「こりゃ、このままいったら、アカンわ」
  
 と思うときだけ、口をだします。
  
 あとは、ちょっと寂しくなったときだけ(笑)。
  
 そうそう、
   
 「あっ、間違った知識をしゃべってるな」
 
 というときも口をだすかな。

 「おしん」のような「忍耐」こそが必要です。黙っているので「学費泥棒」と言われかねないのですが、なかなか黙って見守っているのも「大変」です。僕にすれば、1時間半、しゃべくりまくって講義をした方が楽です。
  
  ・
  ・
  ・
  
 秋学期以降は「ゼミ外」の多くの関係者の方々を巻き込む活動に入っていきます。
 ぜひ、リーダーシップ行動を果敢に発揮して、社会に多くの「アウトプット」を生み出して欲しい、と願います。
  
 自分で舞台をつくり、自らパフォームして学べ
 大人の学びは「アウトプット」することです
    
 そして人生はつづく
  
 ーーー
  
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 ーーー
  
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