2018.5.31 05:49/ Jun
「わたしは、研修嫌いなんですよ。えっ、なぜかって? それは、若い頃、会社で行かされた研修で、エライ目にあったからです。
何の意義かもわからずに、数日間、研修所で缶詰にされて、講師からは自己開示をもとめられたんです。本当に、いやでいやで、ひどい目にあったんですよ。それ以来、研修は大嫌いになりました」
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何の根拠もあるわけではないのですが、ある年齢よりも上の世代の方に、「研修嫌い」と広言なさる方が多いような気がいたします。イメージで55歳以上くらい(笑)
すなわち、1980年代の中盤くらいにかけて、会社に入社し、一線で活躍なさってきた皆さんで、現在、マネジメントをなさっている方です。
そうした方が、よく語られるのが、冒頭のような言葉です。
「研修嫌い」とセットでよく語られるのは「意義がわからない」「自己開示を求められた」「数日間の缶詰」といった言葉です。だいたい、どんな内容が実施されたのか、容易に想像つきますね。
この当時は、「インフォームドコンセント」という考え方や「ファシリテーターの倫理」といったものは、ほぼ皆無でした。
まして、会社の力が今よりも格段に強かった時代です。会社に「行ってこい!」と言われれば「意義がわからなくても行く」。その場で「やれ」と言われれば、「自己開示」もやらせられる。
いやはや、本当に嘆かわしい事態です(いまだにそんな内容の新人研修をやっている組織もありますね・・・はやく駆逐されることを心より願っています)。
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ともかく、かくして「研修嫌い」は生まれます。
しかし「研修嫌い」の悪影響は、ここからです。
「研修嫌いの悪影響」は「世代」を超えてしまうから、注意が必要なのです。
研修転移研究の知見が明らかにしているように、研修に行ってきた参加者が「研修で学んだ内容を、現場で実践するかどうか?」は、「研修の内容」もさることながら、研修参加者の「上司のあり方」が強い影響力をもっています。
どんなに研修が「よいもの」であっても、参加者の上司が「研修嫌い」で、ついつい、心ない言葉を、「研修にこれから出かける」部下に投げかけてしまえば、それで効果は半減です。
中原君、明日、研修に行くんだよね。
おれは、研修、死ぬほど嫌いなんだよね。
ま、頑張ってきてね
こう声をかけられて、やる気に満ちあふれて、目をキラキラさせて研修室に登場する部下は、いないでしょう?
どんなに研修内容を「精選」していても、参加者の上司が「研修嫌い」で、ついつい、研修後の部下に、こんな言葉を投げかけてしまえば、それで効果は残念な結果に終わります。
中原君、昨日、研修行ってたんだね。
オレは、研修嫌いなんだ。意味がないよねぇ。
ま、今日からは、仕事に戻ってね
かくして、「研修嫌い」の悪影響は「世代」を超えてしまうのです
研修嫌いは、世代を超えて、研修の効果を半減させるのです。
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今日は「研修嫌い」について書かせていただきました。
この話題で、僕は「研修嫌いになってしまった上司」を責めたいわけでは1ミリもありません。むしろ話は「逆」です。
「研修嫌いを生み出してしまった研修」や「研修嫌いを生み出してしまった当時の業界」が「残念」でなりません。そして、いまだに「インフォームドコンセント」や「倫理」もカケラもない研修がときに横行していることに、心が痛みます。
研修講師や研修業界は「無免許」でビジネスを行うことができます。もちろん「免許」があったからといって、まったく問題が起こらないわけではないことは、たまに起こる教育業界の不祥事を傍目にみればわかります。
しかし「倫理」や「行動規範」については、何も学ぶことをなしに登壇できる、そうしたクオリティの研修が駆逐される仕組みがないというのは、やはり問題を生み出してしまうよな、と思ってしまいます。
本来、研修は「仕事を離れて、じっくり物事を見つめ、これからを構想するための貴重な時間」であるはずです。そうした意義ある時間が、増えていくことを願ってやみません。
くどいようですが、いったん獲得された「研修嫌い」の思いは、世代を超えて、影響します
「研修嫌い」は、世代を超えて、「未来の研修効果」を半減させるのです。
今日、これから、あなたが行う「研修」は「将来の研修効果」をも決めています。
よき学びの場を、どうか、生み出してください。
そして人生はつづく
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