2018.5.23 05:47/ Jun
新しいものを「育てること」にこそ「社風」が出るよね
新卒社員を育成することにも「社風」がでるし、新規事業を生み出すことにも「社風」がでる。
その会社の「根っこ」が、いやがおうでも、露出する
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せんだって、ビジネスパーソンの皆さんと議論していた際、ある方が、こんな興味深い「ひと言」を漏らしました。「まさに慧眼、そのとおりだな」と思ってしまったひと言でしたので、ここでもご紹介させていただこうと思います。
この方が、おっしゃったのは、
組織が「新しいもの」に向き合うときには「社風」がおのずと出てしまう
ということ。
たとえば、新卒社員を育成する「新入社員育成」のときには、組織はありったけの力をこめて、当該人物たちを「社会化(染めようとする)」しようとするのですが、「社会化」として「伝達される内容」、そして、「伝達の仕方」には、組織のなかで「正統だ」と考えられるものが「選択」されます。
採用のときには「自由闊達な社風です」と「リップサービス」でどんなに装っていても、実際に入社後に選択される「社会化のあり方」が、
ゴリゴリのトップダウンの「説教トーク」が連発されたあとで
軍隊に入隊させられて「地獄の特訓」
だとすれば、どっちが「組織の社風」かと問われれば、後者の方なのかな、と思います。それが、組織に新たに入る人にもっとも「伝えたいメッセージ」なのだから。そして、伝えられ方(メディア)すら「メッセージ」なのだから(メディアはメッセージといいますね・・・マクルーハンですね)。
こう書いておりますと、ぐるなびの人事を統括なさっている田中潤さん(経営学習研究所の理事で御一緒させていただいております、感謝!)が、かつて、
新入社員教育は「組織の顔」
とおっしゃっていたことを思い出します。まさに慧眼、我が意を江垂です。
「新たな物事」に接するときに組織が見せるものこそが、本当の「組織の顔」
▼
同様のことは、「もうひとつの新たなもの」ーすなわち「新規事業」を生み出し、育成するところでもいえるのかな、と思います。
同僚の田中聡さん(立教大学・助教、新規事業を創る人の大研究の著者:今日はダブル田中ですね)が喝破するように、新規事業を育てる際に最大の障害のひとつになってくるのは、「既存事業との闘い」です。
同書が明らかにするように「新規事業の成否」は「既存事業といかに向き合い、彼らからどのような資源を獲得するか」にかかっているのですが、その際には「組織の社風」が露呈します。
すなわち、
当該組織において、金を生み出している「最大派閥=権力を握っている既存事業」が、どのように新規事業に向き合うのか
は、その組織のもっている「新規性をどの程度許容するのか」「現状をどの程度打破したいと考えているのか」という「社風」が露呈するように思うのです。
どんなに社長が口では「新規事業の重要性を訴えていて」も、「落ち着きが悪く先行き不透明なもの」を既存事業が率先してつぶそうとするならば、組織の本当の姿がどちらかと問われれば、後者なのでしょう。
かくして、先ほどの田中潤さんの言葉をふたたび引用・加筆する自由が、僕に許容されるのならば、
新規事業は「組織の顔」
ということになるのだと思います。
▼
今日は、新たなものに組織が相対するときには、その組織がもっている「社風」が露呈するよね、という妄想的仮説を、ゆるく論じてみました。
皆さんの会社の「組織の顔」は、どんな「表情」をしていますか?
採用時には「ほほえみ」、入社後には「しかめっつら」ではないですか?
既存事業は「元気」だけれど、新規事業は「はじっこに追いやられて」いませんか?
そして人生はつづく
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