2018.3.29 06:35/ Jun
Authentic leadership(オーセンティック・リーダーシップ)という概念があります。
Authenticとは、もともと「本物である」とか「信頼できる」とか、そういう意味です。
ならば「オーセンティック・リーダーシップ」とは、直訳すれば、「本物で、信頼できるリーダーシップ」ということになります。
・・・
さて、この概念、ここだけを切り取ると、いったい「何」を主張しているのか、さっぱりわかりかねます(少なくとも僕は、最初、面食らいました)。
が、ここにこめられた思いは、僕のざっくり理解によりますと、下記のように理解できます。
(先日、中原研OBの関根さんがリーダーシップ研究会を開催していただき(感謝!)、そこでも最新のハンドブックを読みましたので、まったくあさっての理解というわけでは、ないと思います)
ざっくりいいますと、
オーセンティック・リーダーシップ
=自己をみつめる+倫理重視+透明性のあるマネジメント
=フォロワーが自ら動いてしまうような状況が生み出されること
要するに、オーセンティック・リーダーシップとは、
1.「リーダーが自分の強みや弱みをしっかりと見つめたうえで
自分らしさを発揮するリーダーシップ」であり、
2.そのリーダーシップ行動は「倫理や価値観」に基づいており、
3.誰の目からみてもオープンで透明性のあるリーダー行動をとることで
4.このリーダーのもとでは、
フォロワー(メンバー)自らが
ついつい自分で動いてしまうような状況を生み出す
ということになります。
・・・
なんだか、まだ、わかったようなわからないような気にもなりますが、皆さんは、いかがですか?
そんなとき、ひとつ「知的遊戯」としておすすめなのは、「裏返し思考法」というものがございます。物事は「わからないなぁ」、「ピンとこないなぁ」と思ったときには、「裏」をかえしましょう。
すなわち、
ある物事とは、「何」なのか?
を「問う」のではなく、
ある物事は、なぜ、今、生まれてこざるをえなかったのか?
ある物事が、新しさをもって迎えられたのは、その背後に、どんな背景があるからなのか?
を問うてみるのです。
そうしてみると、賢明なわたしたちは、オーセンティック・リーダーシップをそのまま「裏返し」ます。
リーダーシップの既存言説が過去数十年積み重ねられてきたなかで、あえて「オーセンティック」という接頭語を用いた背景には、それとは「真逆」の「非・オーセンティック・リーダーシップ」があるからだ、と問うのです。すると、「非・オーセンティック・リーダーシップ」とは、
非・オーセンティック・リーダーシップ
||
自己をみつめず、とってつけたリーダー風行動をとり
+
倫理なんかクソクラエで、利益重視、そのためなら悪いこともやらかし
+
ナルシズムにもとづき、暗黒面に落ちてしまったダークマネジメントをおこない
||
そういうリーダーのもとで、やむなくフォロワーはついてこざるをえない状況
こういう「非・オーセンティック・リーダーシップ」が、それまでの「世の中で跳梁跋扈していた」から、「オーセンティック・リーダーシップ」という概念が意味を為すのではないか、という仮説を把握できます。
賢明な皆様は、もうおわかりかと思いますが、オーセンティック・リーダーシップとは、それまでの「過去のリーダーシップ論」が、ともすれば、「利益重視の非・オーセンティック・リーダーシップ」に堕してしまったことの反省に生まれた概念でした。
とりわけ、2000年代から2010年代、MBAホルダーとよばれる人々が、エンロンの不正会計など、多くの事件を巻き起こしてしまったことから、その反省にたち、主張されるようになった概念です。
リーダーなのに、利益のためなら、不正にも手を染める。
利益のためなら、倫理なんてクソクラエで、何でもやらかす。
当時は、そうしたリーダー、そして、そういうリーダーを生み出したビジネススクールに批判がよせられた時代でした。
本来ならば、リーダーシップそのものが「自己をみつめる+倫理重視+透明性のあるマネジメント」であるならば、わざわざ、その接頭語として「オーセンティック」と名乗る必要はなかったのです。
が、リーダーシップに敢えて「オーセンティック」とつけなければならないほど、「暗黒面に落ちてしまったリーダー」は多いということですね。かくして、リーダー教育も、根本から反省を求められるようになったというわけです。
クワバラ、クワバラ
May the force be with you!
▼
今日はオーセンティックリーダーシップについて書きました。
オーセンティックリーダーシップの概念は、それを額面通りに受け取るのではなく、いったん、それを「裏返し」にして、そこにこめられた社会的背景を理解しないと、なかなか理解が進まないのかな、とも思うのですが、いかがでしょうか?
あなたのまわりには、「オーセンティックリーダーシップ」は発揮されていますか?
それとも
あなたのまわりには「暗黒面に落ちたリーダー」が跳梁跋扈していますか?
そして人生はつづく
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