2018.3.2 05:54/ Jun
※3月5日(月曜日)のブログ執筆は、所用のためおやすみさせていただきます。3月6日から再開させていただきます!
「最近の採用面接って、そもそも、ドタキャンとかで、人が来ないことが多くなっているんです。みんな、面接を掛け持ちで申し込んでたりするんです。そうすると、重なると、そもそも来ない。
たとえ、来ても、面接で合格させても、バックれるんですよね。最初は、最近の若い奴は!って、ふて腐れていたんです。でも、ようやくわかりました。僕らは、選んでいるんじゃなくて、選ばれているんですよね」
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これは、数ヶ月前にお逢いした、ある民間企業の方がおっしゃっていたひと言です。
大量のアルバイトを雇用して大型施設を運営している、その会社では、最近、人材を採用しようと広告をうっても、以前の2分の1程度の人しか来なくなった、といいます。
おまけに採用面接をやっても、ひどいときには「ドタキャン」・・・人が来ない。
たとえ、人が来て、合格を出したとしても、半数ほどは「掛け持ちで採用面接を受けている」ので、合格しても、入社しないー「バックれる」ということが頻発しているのだそうです。
まぁ、「ドタキャン」とか「バックれる」はさすがに「人として失礼だな」とは思いますが、いずれにしても、人が来ないのだそうです。
もちろん、こうした状況は、都道府県によっても、また県のなかの地域によっても、状況は異なります。
しかし、現在、日本の求人倍率は、戦後最高であり、「世界でもっとも就職しやすい状況」が続いています。もともとの人口減に、長く続く好況が、これに拍車をかけているのです。マクロでみれば、現在の日本は、「超人手不足」の状態にある、といって差し支えないでしょう。
最近は、ニュースを見ても、どこもかしこも、人材不足、人材争奪です。
IT人材不足「19年危機」 新卒争奪戦が過熱(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27402590W8A220C1EA2000/
いつまで続く超売り手市場(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2018_0228.html?utm_int=news_contents_tokushu_003
自治体悩ます内定辞退、北海道庁は6割 追加募集も(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25012600T21C17A2EA4000/
保育のカギは人材確保(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27506080Y8A220C1TCR000/
各地で「奪い合い」 18年度採用から県外教諭は「1次」免除 30~40代人材確保狙う /香川https://mainichi.jp/articles/20170222/ddl/k37/100/411000c
この動向がいつまで続くかは、景気変動も関係しますので、わかりません。ただし、一方の理由である「人口減少」がただちに解決がつかないものであるだけに、その解消には時間がかかるものと思います。
このような人手不足にあって「必要な人員を集める=採用をする」ということは、「採用のパラダイム」を変える必要があります。そのためにまず必要なのは「選ぶ側・採用する側のマインドセットの転換」です。
自分たちは「選んでいる」ようで、実は「選ばれている」
「企業が人を選んでいる」ようでいて、実際は「人に企業が選ばれている」
このことをまずは受け入れ、短期的には採用のあり方、面接のあり方を見直す必要があるのかな、と思います。また、昨今の若手は、「職場環境」や「労働環境」に目を向ける傾向があります。長時間労働などは、多くの人々がもっとも重視する要因です。長期的には、こうした「職場環境」を改善していくことを行っていかない限り、この問題の出口はなかなか見いだせません。
すぐ辞める若者は合理的——「裁量労働悪用する」会社は採用できない(中原の記事)
https://www.businessinsider.jp/post-162667
最悪の場合、
採用できないー人手が足りないー過酷な労働環境
だから採用できない−人手が足りないーさらに過酷な労働環境
さらに採用できないー人手が足りないー極めて過酷な労働環境
という「バッドループ」が駆動することになります。このバッドループのさらにその先に見えるのは、おそらく「過酷な労働環境ー離職ー事業継続困難」ということになるでしょう。
今のような時代にあっては、
「選んでいる」ようで、実は「選ばれている」
「企業が人を選んでいる」ようでいて、実際は「人に企業が選ばれている」
というくらいのマインドセットの転換をもち、短期的+中長期の処方箋をうっていくことが必要かと思います。
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今日は、加熱する人手不足、激しさをます人材争奪戦のお話を書きました。
仕事柄ビジネスパーソンの皆さんとふだんよくお逢いしますが、最近は、このことが話題に上らない日は、一日としてないような気がいたします。それほどまでに、様々な領域で、人材採用が課題になっています。
「選んでいる」ようでいて、実は「選ばれている」
経営者をふくめ、人事にかかわる人々ーひいては、採用面接、現場のマネジャー。多くの領域で、このマインドセット転換が必要になってきているように思います。
そして人生はつづく
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【注目情報:人手不足時代をいかに乗り切るか?】
パーソルグループさんとの共同研究の成果が、記事になっています。テーマは【アルバイト・パートの採用・育成:人手不足時代をいかに乗り切るか?】です。どうぞご笑覧ください
25,000人の大規模調査から、人手不足を解消する画期的な研修プログラムを実現。 ~テクノロジーを活用し集合研修同等の価値を生む
http://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=1126
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追伸.
このような記事を書いていて、ひそかに、僕が恐れているのは、実は10年後だったりします。今、世界でもっとも就職しやすい国、日本では、「とてつもない大量採用」を行っています。そこで採用した人材は、10年後には、30歳にはいり、組織のなかで中堅に入っていきます。
おそらくポストはそれほど増えていかないので、その時期には、「かなりの人手が余る」ないしは「ポジションやサラリーをアップさせたくても、かなり厳しい競争が押し寄せること」になるのではないかな、と思ったりもするのです。景気がよければ、何とかなるのかもしれませんが、悪化すれば・・・。
現代の若者は、「就職」はもっとも容易なのかもしれません。しかし、一方で、長く働き続けることを考えるのであれば、かなり、したたかに、スキルや経験を蓄積していった方がいいようにも思います。なにせ、「世界でもっとも類をみない人手不足」のなかでポッと生まれた、「前代未聞のとてつもない大量採用」なのですから。
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