2017.11.6 06:27/ Jun
先だって、書店をいつものようにプラプラしていたら「雑談に関する能力をあげろ!」といった類いの主張を繰り返している本を見つけました。
いわく、
これからの仕事には「雑談をする能力」が重要で、これを身につければ、仕事上の成功は間違いない!
のだとか。
人材開発を研究している者として「仕事のうえで必要な能力」と言われれば、これは学ばなければならないと思い、すみません、5分程度、立ち読みをかましてしまいました(買えよ)。
▼
書籍は興味深く読ませていただきましたが、1点だけ、まことに気になる部分がございました。
それは雑談の定義にかかわることです。
いわく、
雑談で目指されるのは「(相手との)話を途切れない状態にするために、自ら、話題をだしつづけること」
である
ゆえに、
相手の持っている持ち物、見た目、何でもよいから話題にせよ!
いろいろなことは書いてありましたが、要旨の一部を端的にまとめると、こうなるのかな、と思います(このままの言葉で書かれているわけではございません)。
どっちかというと、雑談は苦手。「ネアカに振る舞うことには長けているネクラな僕」にとっては、この記述を頭で理解しつつも、どうしても、飲み込めませんでした。
端的にその「違和感」を申し上げますと、
「話を途切れない状態にするために、自ら、話題をだしつづけること」が、「課題解決の方向性」として本当に「正しい」のか
ということです。
だって、たとえ「自ら話題を出し続けなくても」、「相手がしゃべってくれて、あなたが聞いていれば、話題と話題のあいだは埋まる」と思うのです。
だとするならば、必要なのは
「自らしゃべること」ではなく「聞く力」と「応答する力」
でもありうると思うのです。
あるいは、「自らしゃべること」と同時に「聞く力」や「応答する力」が求められることになる。
僕としては
「相手のいうことを聞けていないから、だからこそ、あさってな反応しかできない」から「コミュニケーションが続かない」
ということの方も大変気になるのだけれども、書籍には「コミュニケーションの穴を自ら埋める方法」ばかりに多くの紙幅が咲かれていました。ここには問題解決の方向性として、少し違和感があります。
また、これを言ったらもうおしまいなのかもしれませんが、
話を途切れずに、何らかのかたちでコミュニケーションが続いている状態=雑談
だと考えているのなら、そもそも、そこにも「違和感」があります。
ネクラな僕としては、
間があってもいいじゃない
それもコミュニケーションじゃない
と思ってしまうからです。
そんなに、無理して、しゃべりたくないし、相手もそうだと思うけどね。
無理して行おうとする雑談が「楽しくない」から、雑談が続かないのでは?
▼
今日は「雑談に関する能力」に関する私見を述べました。
僕は雑談が「下手」です。
でも、なんだか、この問題、コミュニケーションとは何か? ということに関する洞察や、雑談とは何か?ということに関する定義がなされずに、とにかく「間を埋めること」だけが目指されているような気がしてなりません。それは課題解決の方向として、正しいようには僕には思えません。
むしろ、そのような方向性で
雑談に関する能力をあげても、雑談が続かない事態を生み出してしまうのではないか
と、僕には懸念があります。
だって「楽しくないもん」
ここで可哀想なのは雑談をあげようと躍起になっている個人です。もし、その方向性で雑談が続かなかったとしても、それは「個人の努力や資質が足りないせい」だとして個人に原因帰属がなされるでしょうから。
僕と相手のあいだにある「コミュニケーションの間」を、相手が、ガシガシと土で埋めようとしてくれている。
そういうことが、コミュニケーションなんだろうか、とついつい考えてしまいました。
なんだか悶々とするね。
でも、ま、いいか。
今週も一週間頑張りましょう!
そして人生はつづく
ーーー
新刊「実践!フィードバック」が重版2刷り決定、AMAZONカテゴリー1位を記録しました(マネジメント・人材管理、企業革新の2カテゴリー)。すぐに使える「会話例」と「フレーズ」でフィードバックの実践方法を学ぶことができます。イラストなど図版などを駆使して、よりわかりやすく書かれています。はじめてリーダーになる方、管理職になる方はもちろん、前著「フィードバック入門」をお読みの方で、「フィードバックの復習をしたい方」におすすめの内容です。どうぞご笑覧くださいませ!
DVD『フィードバック入門』
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
ーーー
【注目!:研究室のLINEはじめました!】
中原研究室のLINEを運用しています。すでに約3700名方々にご登録いただいております。LINEでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記のボタンからご登録をお願いいたします!QRコードでも登録できます! LINEをご利用の方は、ぜひご活用くださいませ!
最新の記事
2024.12.25 10:57/ Jun
2024.12.8 12:46/ Jun
2024.12.2 08:54/ Jun
2024.11.29 08:36/ Jun