2017.7.5 05:28/ Jun
僕個人が、これまで意図的に「距離をとってきた言葉」があります。自分としては、たぶん、過去10年ほとんど使っていない。誰かが口にするのを聞いても、僕は使わない言葉。そういうものがあります。
僕が専門とする海外の学術雑誌、ジャーナルではあまり見かけない言葉なので、別に、ことさら気になる言葉ではないのですが(笑)、最近、ある会合でこの言葉を耳にして以来、少しずつ、気になってきました。
といいましょうか、この言葉を耳にするたびに、なんか「煙に巻かれた感」があり、わからなくなるのです(理解力がなくてすみません)。でも、最近、ちょっと気になることがあったので、ここでも書かせていただきます。
さて、その言葉とは?
どどーんと、発表します!!!!
ドコドコドコドコドコドコドコドコ!(太鼓のように読んでください)
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「タレントマネジメント!!」
あーあ、言っちゃった(笑)
皆さんは、この言葉の指し示す意味、わかりますか?
正直に告白します。僕は、どうもわからなくなるときがあるのです。
この言葉を人が口にするのを聞くたびに、「いったい、何のことを指し示しているのか」を推し量っている自分がいます。なんか「煙に巻かれた感」があるのです。ごめんなさい。煙のなかでモンモンとしているのは、僕だけかもしれません、、、、す、す、すみません。
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実は、僕が、この言葉に出会ったのは、今からちょうど10年前のワシントン。実務系の人事系イベントで、ある講演者が鼻息荒く
「これからは、タレントマネジメントぢゃい!」
と述べている講演を聴きました(笑)。
その当時のメモを見返してみると、タレントマネジメントは、このように理解されていたみたいです。
タレントマネジメントとは、
【1.適材適所による潜在的能力の開花】
社員は皆、自分の能力をのばしたいと思っているよね、だから、その能力を伸ばせるような環境を「適材適所」で提供していこうよ!
(社員ひとりひとりのタレントをのばそう=十把一絡げに「社員」ってくくるの、やめよう)
【2.多様性の確保と見える化】
会社には「異なった能力をもった人」が必要だよね。だから、多様性をもつ能力を確保(リテンション)しつつ、ひきとめ、それを育成していこう。タレントのデータベースをつくって、どんどん「見える化」していこうよ!
(会社に多様性のあるタレントを確保し、育成し、見える化しよう!)
【3.成果につながるシステマティックな人事】
採用、育成、配置、昇進、報償、という人材管理プロセスを、首尾一貫してまわして成果を生み出そうよ!
(ふつうは、人事も機能別に分かれていて、ディスコミュニケーションもあるよね。そうじゃなくて、人事管理のプロセスをトータルで回していこうよ)
タレントマネジメントは、上記3つを包含した「ゆるふわな概念」ーいわば「風呂敷概念」として語られておりました。少なくとも、当時の僕は、そのように感じていました。
ちょうど同じ頃、SHRMで出された有名な定義に、下記のようなものがございます。
「採用、選抜、リーダー開発、評価、報酬等の人材マネジメントのすべてのプロセス改善を行うこと。
職場の生産性を改善し、有為なスキルをもつ人材のモティべーションを喚起し、現在と将来のビジネスギャップを埋めるべく人材のリテンション、能力開発を統合的、戦略的かつシステマティックにすすめること」
うーん、わかったような、わからないような。
ていうか、ここに書いていることをそのまま実行していくのだとすれば、「タレントマネジメント」って、結局「人事全部」じゃん。要するに、「人事機能をフル動員して、企業が必要な人材を組織内部に供給すること」ということになるのだと思います
別の言葉でいうならば、、「経営に資する、システマティックな、トータル?人事」
ワンワードでいえば成果を生み出す「すごい人事」(笑)、はしょりすぎ?
なんか「タレントマネジメント」とか言われると、また「新しい概念が海外から輸入されちゃったよ感」があるのですが、どうもねぇ・・・10年前から、どうも「風呂敷に包まれちゃったよ感」「煙にまかれちゃったよ感」を感じてしまうのは、僕だけでしょうか。
(ちなみにね・・・海外企業で流行しているから、今人事業界で流行しているから、自社でも、かくかくしかじかの概念や施策を導入しなければならない、というロジックがよく見受けられますね。
でもね、本当に、人事施策から競争優位を生み出したいのなら、他社と同じ事をやってはダメなのではないでしょうか?
海外ではちょめちょめが流行しているゼという言説や、海外の流行をウォッチしなければならないという言説を耳にするたびに、本当に「人事施策で自社で競争優位を生み出したいのかな」と僕は思ってしまいます)
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先だって、ある会合で(ごめんなさい、お名前をあげさせていただきたいのですが、ご迷惑をおかけすることになるかもしれないので差し控えます)、タレントマネジメントのことが話題になりました。
会合に参加していたメンバーで、この概念の指し示すところを話し合いました。
すると、現在の日本では、「タレントマネジメント=適材適所・異動支援システム」に近い形で、この言葉が消費されているよね、という話になりました。
そこにやんわり、ふんわりと漂っている「世界観」はこうです。
1.グローバル企業のように、めちゃくちゃ多くの人々が全世界に散らばっていて、かつ多様性の高い組織が、まずありますね
2.本部の人事から「見えないところ」ー「地球の反対側のどっか」に「すごいやつ」がいるかもしれないから、人材を「見える化」しなきゃねーというニーズがありますね
3.だから、人材をデータベースで「見える化」して、共有し、すこしは戦略的な「異動支援」ができればいいですねー
なるほど、この場合は「タレントマネジメント=人材の見える化と異動支援」ってことですね。非常にわかりやすい。
おそらく、この理解にたてば、タレントマネジメントというのは、人事情報システムを導入しなければならないものになりそうですね。
でも、待てよ・・・。
そもそも、タレントマネジメントって何だっけ?
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今日は、タレントマネジメントについて、ほとんどボヤキのような記事を書かせていただきました。
「わかんない」って言ってるだけの記事(笑)。す、す、すみません。
でも、おそらく、これだけは正しいのではないでしょうか。
タレントマネジメントは、人事業界にありがちの、「ゆるふわ定義」「風呂敷的概念」として、おそらく、多様な意味をもちながら、今日も消費されているのだと思われます。
だから、もし皆さんが「タレントマネジメント」という言葉を耳にして、「わかんないな」「煙にまかれているな感」が漂ったら、それは、皆さんが「悪い」のではない。理解力がないわけでもない。
どうぞ、勇気をお持ちになって、質問してみるとよいのだと思います。
そもそも「タレントマネジメント」って何ですか?
何を指し示して「タレントマネジメント」っておっしゃっております?
タレントマネジメントという言葉を敢えて使わずに、それを説明してみていただけませんか?
そうすれば、おそらく「相手の思っているタレントマネジメント」が「見える化」するのだと思います。
そして「自分の思っているタレントマネジメント」と「相手の思っているタレントマネジメント」が異なっているのだとすれば、それを補正しながら話ができるのではないでしょうか。
もっとも避けたい事態は、「タレントマネジメント」という「ゆるふわ定義」の概念を用いながら、「まったく異なっているもの」を、相互に頭の中で想像している事態ですね。これじゃ、話がかみ合わない、かみ合わない(笑)。
まぁ、そこまでして用いなければならない言葉のようにも、僕には思えませんけれども。
地に足をつけなさいな(笑)。
ていうか、「すごい人事」でいいじゃん(笑)。
はしょりすぎ?
そして人生はつづく
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