NAKAHARA-LAB.net

2017.5.10 06:03/ Jun

「子どもの小さな歩幅」が気づかせてくれたもの!?

 今年になって、3歳・KENZOの保育園がかわりました。
 
 これまでの保育園には、KENZOを自転車の後ろに乗せて「爆走」していたのですが、春からは、一緒に歩いて保育園に行くようになりました。
  
 保育園がかわったことによる、たったこれだけの「変化」ですが、この変化をきっかけに、ひとつ、気づいたことがあります。  
 それは「見てはいても、意識に上らないものが実に多い」という事実です。

 春以降、つくづく、目が開いていても、意識の上には上らない。見ていても、気づかないことはたくさんあるんだな、と思うようになりました。「時間をかけて、意識を向けて、はじめて見えてくるもの」がある、と気づきました。
  
  ▼
  
 具体的にはこういうことです。
   
 KENZOと歩いて保育園に向かうと、どうしても、時間がかかり、歩幅も狭くなります。
 そうすると、周囲にいろいろなものが「ある」ということがわかります。
 「存在」を感じるのです。


  
 あっ、こんなところに花が咲いていたんだ
 あれっ、ここに、こんな事務所があったんだ
 あ、この家、植木を切ったんだな
  
 第一に、僕は「自宅の周囲にある様々な物事」に、「気づいて」いませんでした。
 それは自転車にのって「爆走」していては、見ることはできても、意識には上らないものなのです。
  
 第二に、僕は「子供の変化」に、気づいていませんでした。
  
 あっ、きょうは「はひふへほ」を間違わずに言えるようになったな
 あれっ、ずいぶん、走るのが速くなったな
  
 もちろん、KENZOと朝・夜あってはいるし、見てもいるし、接してはいるのです。
 それでも、「ブレーキのないジェットコースター」に乗っているような日常を過ごしていると、そうしたことも、なかなか「意識には上らない」。
 見てはいるけれど、気づかないものです。
  
 このように、見てはいるけど、気づかないものが、この世にはたくさんあります。 「KENZOの小さな歩幅」は、そのことを僕に気づかせてくれました。
  
 時間をかけないと、見えないものがある
 意識を向けないと、見えないものがある
 かかわらなければ、見えないものがある
  
 わたしたちは、見ているようで、実は、見ていないのかもしれません。
  
 たまに、道草をくったり、だだをこねたり、なかなか進まない道中ですが、もう少し、この時間を大切にしていきたいなと感じています。
   
 そして人生はつづく
   
 ーーー
     
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