2017.4.21 06:33/ Jun
昨日、ダイヤモンドオンラインに掲載された、僕の某所での講演録(構成:井上佐保子さん)が比較的よく読まれている、というご連絡を得ました。まことにありがたいことです。
この記事では、日本企業から中国・東南アジアなどの海外に派遣された「海外赴任者」が帰国後に、なぜ会社を去ってしまうのか? どの程度の人が会社を去ってしまうのかを論じています。
海外赴任者が帰国後に退職してしまう理由(ダイヤモンドオンライン)
http://diamond.jp/articles/-/125453
実は、僕も、前職在任中にフルブライト奨学金をとらせていただき、ボストン・マサチューセッツ工科大学に1年弱留学させていただく機会を得て、なんとその後、帰任後に辞職してしまったひとりです。この問題は身につまされる問題です。「遅いよバカ」と便所スリッパでひっぱたかれそうですが、「まことにかたじけない」。
13年前を遠い目で思い起こせば、海外滞在中は、「地をはい、泥をすすり、忙しく生きている(!?)今現在」とはまったく無縁の「学究あふれる生活」をさせていただき、心より感謝いたしております。
今から考えれば、この海外滞在時間は、僕が「組織 × 経営 × 学習」の研究に大きく舵をきるために、大変役立った1年でした。多くの文献を読み、多くの場所に出かけ、多くのワークショップに出て、多くの人に出会いました。そのような機会をくださったフルブライト、前職・関係者の方々に心より感謝いたします。
しかし、帰国後、日本にもどり「このままでいいのかな」と心から感じたことを覚えています。
無性に、何か舵をきらなければならないのではないか、という思いに駆られました。自分は、このあと、どうなっていくのだろう。海外で学んだことを、どのように生かしていけばいいのだろう。そんなことをかなり考えたような気がいたします。
あと、街を歩いていると、すべてのものが物理的にも心理的にも「小さく見えた」。
実際、何でも巨大、ビッグなことが素晴らしい、アメリカの事物と日本のそれを比べると、実際に「小さい」のでしょうけれども、心理的にもそう感じた、というのが興味深いところです。何か、殻を破りたい、気持ちに僕は駆られました。
結局、帰国後、様々なご縁をたまわり、今現在の自分につながっていきます。
このように海外赴任、海外滞在というのは「それまでの自分に亀裂を入れること」につながることも多いようです。経営的な観点からいえば、海外から日本への「逆適応」を支援し、その後のキャリアに関する対話を行い、離職を防ぐ、というのが、人材マネジメント上、大切なことのように思いますが、いかがでしょうか。
あなたの会社の海外赴任者は、どのくらいの割合で、帰国後、会社を去ってしまいますか?
そして
帰国後会社を去る社員を、どのように減らすことができますか?
そして人生はつづく
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