2016.12.19 06:57/ Jun
各企業でおつとめの方、人材開発を担当なさっている方々の自主勉強会「リフレクションナイト」の皆様が、その仲間の皆さんと企画した「リフレクションエキシビジョン2016」に、先だってお邪魔させて頂きました。
「リフレクションナイト」は、組織の中で人材育成などを担当なさっている方々、数十名程度が定期的・自主的に集い、「リフレクションや気づきを促す技法」についてテストと議論を重ねているコミュニティだそうです。
リフレクションナイト
http://ameblo.jp/reflectionight/
そして「リフレクションエキシビジョン」は、そんな皆様が自分の力で考えた「リフレクションの手法を一同に集めた日本初の展示会」です。
リフレクションエキシビジョンが、なぜ開催されることになったのか。その深ーい経緯は下記をご覧下さい。この間、大変なご苦労をなさり、この会を立ち上げられたのだと思います。心より感謝いたします。
日本初!リフレクションの「展示会」が開催されるそうです!
https://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7100
当日は、少し事情があって中座させていただきましたが、皆さんが考えたリフレクションを愉しむことができました。主催者の皆様、参加者の皆様、心より感謝いたします。ありがとうございました。
▼
皆さんのご発表を拝見させていただいてい、いくつか興味深いなと思ったことがありました。
ひとつめ、事例はIT企業の事例が多いように感じられたこと。
ま、たまたまかもしれませんが(笑)
当日は、高校、大学などの教育機関はもちろんのこと、様々な企業事例が報告されていました。が、僕の主観でしょうか、IT企業の事例が多いように感じられました。
僕がかつて行ってきた様々な調査では、IT企業では「内省の量」はそれほど多く出ない印象があります。
しかし、近年では、円滑なプロジェクトマネジメントをめざして、朝会・夕会などの反省会を開催したり、ケプト法(KPT法)を実施しているとききます。KPT法のフレームワークは、リフレクションに似ているところもありますので、そのようなこともおこるのかなと勝手に考えておりました。
KPT法
1.KEEP:このまま続けたいことは何か
2.PROBLEM:問題はなにか?
3.TRY:今後試したいことは何か?
いずれにしても、IT企業にリフレクションが多い理由がなぜなのかは興味深く感じました。
参加者の方のおひとりが、ふともらした一言が大変気になります。
「私たち企業人が、なぜリフレクションに注目するか・・・それは、先が見えなくなってきて、この問題解決が本当に正しいかどうかわからなくなってしまうからですよ」
▼
もう1点興味深かったことがあります。
それは、やはりこうした会が、企業の人材開発担当者の皆様によって主催されたことです。
主に企業の皆さんによる、ここで発揮された思考を、最大の賛辞をこめて「野生の思考」とでもいいえるのでしょうか。最近、レヴィ=ストロースを読んでいるから、こんな言葉を思いついたのかもしれません。まんま、ですが(笑)
野生の思考は、出来合いの手法や、理論にしがみつくあり方を相対化し、様々な物事を組み合わせて、自分なりに新たな手法をつくりだしていく思考です。
リフレクションという理論の世界の住人になり、そこから出てこないことを避ける。
どこかの誰かがつくったリフレクションに甘んじることなく、自ら立ち上がる。
自分たちのフィールドにあって、もっともしっくりくるリフレクションを、自らワイルドにつくっていく。それが野生の思考です。
リフレクションという言葉が人口に膾炙するようになってもう30年が立ちますが、金科玉条のように「リフレクションの大切さ」を叫び続けるのではなく、自ら創意工夫をして動く。
僕は、そうした「野生の思考」を非常に頼もしく感じました。
▼
「リフレクションナイト」の皆さまが今後、どのような活動をなさっていくのかは存じ上げません。しかし、「先が見えないこんな時代」だからこそ、今後とも、折りに振り返りの機会を持って頂きたく思いますし、この勉強会に、リズムとビートをきかせて運営していっていただきたいなと思います。
このたびお誘いいただいた小田川さん、原田さん、ほかリフレクションナイトのみなさま、本当にありがとうございました。心より感謝をこめて
そして人生はつづく
ーーー
新刊「アルバイトパート採用・育成入門」好評発売中です。これまで「KKD:勘と経験と度胸」に頼っていた、アルバイト・パートの人材育成。ここにデータと理論で切り込みます。異業種・大手7社、総従業員規模50万人以上の企業グループが参加した東大・中原淳研究室とパーソルグループの共同研究の成果。ぜひ手に取ってご覧下さいませ!
新刊「アクティブラーナーを育てる高校」本日発売です。学校運営カテゴリーで1位を記録しました。「アクティブラーニングの教育論」から「アクティブラーニングの組織論」へ。アクティブラーナーを育てるため、組織をいかに構築していくのか。どうぞご笑覧くださいませ。
最新の記事
2024.12.8 12:46/ Jun
2024.12.2 08:54/ Jun
2024.11.29 08:36/ Jun
2024.11.26 10:22/ Jun