2016.12.6 07:04/ Jun
先だって、ある外国人(アメリカ人:Aさんとしましょう)とテレビカンファレンスをしていたときのことです。
日本とアメリカの両方の文化に精通しているAさんが、僕に、こんなことをふと漏らしました。
▼
「僕には、傾聴(Active Listening)が日本で注目される理由がわからない。傾聴なんて言わなくても、日本人はむしろ、他人の話を聴きすぎてしまうように思うんだ。
傾聴という言葉は、個人主義が徹底している文化で生まれた概念だ。他人にどんなに「話を聴け」と言われても、俺が、俺がと自己主張を繰り返してしまうような文化で、やむなく発達したのが傾聴だ。
日本には、それが形式的に輸入されているような気がする。日本人は、むしろ話を聴きすぎてしまうように見える。傾聴を日本流にアレンジしなければならないのではないだろうか」
なるほど。
彼は続けます。
「コーチングというのも、同じような問題を抱えているように僕には思える。コーチングも、もともとは、いくら他人が一方向的に教えても、俺が俺がと聞く耳を持たないようなひとを対象にして発達した技術だ。強制的にセッションをもうけ、彼らに「鋭い問い」を投げつけることで、何とか気づかせようとする技術だ。
日本人は、そんなに言わなくても、わかるじゃないか。日本には、相手の言おうとすることを察する文化がある。ならば、日本人には、もう少し違ったかたちのコーチングが必要なのじゃないだろうか」
なるほど。
まず、彼のいう、アメリカ人や日本人が、どの程度一般性のあるものかは議論がわかれるところかと思います。
が、しかし、おっしゃりたいことはよくわかります。
要するに、彼が主張なさりたかったことは、
ある一定の文化的背景のもとに発達してきた「人材開発の手法」が、形式的に「輸入」されたときの「潜在的課題」
なのかな、と思うのです。
日本人といっても、様々な人々がいると思うので
傾聴が日本人に必要かどうか
コーチングが日本人に必要かどうか
は議論の分かれるところだとは思いますが(僕は、今後の日本では、さらに必要になるなと思っています)、
しかし、
文化的な背景を漂白して、「人材開発の手法」だけを輸入してしまうことには、弊害が生まれうる可能性もゼロではない
なと同時に感じていました。
▼
今日は、ある特定の「人材開発の手法」と、それが発達した「文化的背景」の関連についての問題提起をさせていただきました。朝っぱらからすみません。ややこしい問題を増やしてしまって。
しかし、妄想力をたくましくすれば、同様のことは、「リーダーシップ」や「チームビルディング」や「組織開発」などの概念についても、言えるのかなと思います。
それらの諸概念は、
人を集めたとしても、なかなか組織やチームとして「WORK(機能)」しないような、テンデバラバラな文化的状況
で発達した概念のように思うのです。
逆に、日本はこれまで
人を集めれば、何とか、あうんの呼吸で、お互いを察しあい、組織やチームとして「WORK(機能)」するよう動いてきた
ようにも思います。
だとするならば、日本人に必要なのは、どういう「リーダーシップ」「チームビルディング」「組織開発」なのか。
僕は「リーダーシップ」や「チームビルディング」や「組織開発」は、今後の日本には必要になってくると思っているひとりです。しかし、それらが発達した文化的背景に対する目配りや、アレンジの必要性は見落としてはいけないなと思いました。
地に足のついた思考をめぐらせよう!
そして人生はつづく
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