2016.11.16 06:24/ Jun
新しい組織や集団に、外部から新人が参入しようとするとき、程度の差こそはあれ、リアリティショックを受けることは、よく知られています。
ワンセンテンスで申し上げますと、
リアリティショックとは「うそ、マヂ。こんなはずじゃなかった」
です(笑)。
「外部から見ていた」のと、「内部で経験すること」は大違い。
中にはいって、実際、自分の目や耳で見て、聞いてを繰り返し、手を動かしてやってみると、程度の差こそはあれ、そこにはイメージの相違ができます。そして、そこに人はショックを受けます。それが「リアリティショック」。
リアリティショックがヒドイ場合には、最悪の場合、「離職」につながることもあるから要注意です。
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ところで、そんな「リアリティショック」をやわらげる「機制」のひとつにあげられるのが、「認知的意味形成」です。
認知的意味形成とは、要するに、心のなかに「納得感」や「腹落ち感」をつくりだすこと。
「うそ、マヂ。こんなはずじゃなかった。もうここでは働いていけない」とショックを受けている人に、「いやいや、大丈夫だよ。それには、こんな意味もあるんだから、この場で、やっていけるよ」として、別の意味づけや腹落ちをつくりあげることが、認知的意味形成です。
人は「意味だけで生きている」わけではありませんが、しかし、「納得感」や「腹落ち感」の全くない場所に生きるほど、人はたくましくはありません。
「仕事やリアリティは変わらない」のだから、「変えられるのは意味だけ」なのです。
そして、
たかが意味、されど意味
なのですね。
たとえば、リアリティショックを受けたとき、「そのショックは誰しも受けるものなんだよ」と伝え、納得を得るのもそのひとつです。
また、今やっているキツイ仕事や研修の「背後」に隠されている、「真の意味」を伝え、理解を得るのも、そのひとつです。
とにかく、心のなかに、納得の意味づけをつくりだすこと。
これが重要なことです。
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せんだっての大学院授業「経営組織論」では、某大手製造業の人事担当者の方Iさんが、お客様でお越しになりました(ありがとうございます!愉しめましたか?)。その際、Iさんがおっしゃっていたのが、非常に興味深いお話でした。
話題は、Iさんのお勤めになっている企業で、新人が新人研修として「工場実習」に行かなければならないということです。
曰く
「ちょっと前の年は、工場実習のあと辞めていく新人が少なくなかったのです。そこで、今年からは製造業にとって工場の意味とは何なのか? 新人研修に工場実習が入っている意味とは何なのかを徹底的に新人研修の最初から打ち込んでいきました。そのうえで、工場実習に行かせるようになった。その結果、誰も辞めなくなりましたし、工場を愉しんでいます」
Iさんがおっしゃっているのは非常に興味深いことです。
つまり、ちょっと前の新人は
「工場実習自体がきつくて、嫌でいやで、辞めた」
のではなく(それもゼロではないかもしれません)、
「工場実習の意味づけがなされておらず納得感がない=認知的意味形成が甘い」
から辞めたとも解釈できそうですね。
たかが意味、されど意味。
まぁ、製造業に入社して「工場がいや」というのは、はっきり言って、どうかと思うけれども(苦笑)。
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今日は「認知的意味形成」のことを書きました。
人は意味だけで生きているわけではありませんが、とはいえ、意味を感じられないものを模索できるほど、人は強くはありません。
あなたの今やっていることには、「納得感」がありますか?
そして
あなたは、他者に「納得感」を提供していますか?
そして人生はつづく
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