NAKAHARA-LAB.net

2016.10.24 08:09/ Jun

「妙なフレームワーク」を持ち出して「くねくね」しているオッサン注意報!?

 ビジネスで戦略をたてるときには、「フレームワーク」とよばれる概念枠組みが用いられます。もっとも有名なフレームワークは「SWOT」分析。その他にも、様々なフレームワークが、この世には存在します。
   
  ▼
  
 ただで複雑怪奇な世の中を、いかにして単純化して整理し、明確な戦略をたてるのか。
 フレームワークという整理枠組みが、ビジネスの現場で、さまざまに提案され、消費されていく背景には、このようなニーズが存在します。
  
 しかし、フレームワークというものは「諸刃のつるぎ」であることも、また事実です。
  
 最大の問題は、
  
 フレームワークは、フレームワーク内部で表現しうる要素に、現実を矮小化し、思考を制限してしまう
  
 ということです。
  
 フレームワークで表現できないものは、フレームワークで表現されることはありません。
しかし、そうした「フレームワークで表現できないもの」にこそ、本当の顧客のニーズが埋まっている場合があります。
  
 フレームワークは、現実をある特定のフレームで切り取る技術であり、思考に制限をかける制約です。
そして、そこには抜け落ちてしまう情報が必ずあります。

 フレームワークでは何を表象して、何を表象していないのか。  
 このことを忘れるわけにはいきません。
   
  ▼
  
 第二の問題は、
  
 適用するべき現実と合致した「フレームワーク」を用いない限り、パワフルさを発揮することはできない
  
 ということです。
  
 仕事柄研修などで、さまざまなビジネスパーソンにお逢いしますが、時折、
  
 なぜ、この現実を前にして、この目的で、このフレームワークを用いているかわからない状況
 
 に出会う事があります。
  
 適用するべき現実や目標と、フレームワークがあっていなければ、そもそもパワーを発揮できません。
  
  ▼
  
 今日はフレームワークについて述べました。

 この世には、
  
 とにもかくにも、ホワイトボードの前のポジションを制し、
 妙なフレームワークで、くねくねしているオッサン
  
 が、時折見受けられるようです。
  
 自戒をこめて申し上げますが、「妙なフレームワークで、くねくねすること」は、かっこわるいので、避けたいものです。
  
 そして人生はつづく

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.12.25 10:57/ Jun

「最近の学生は、昔からみると、変わってきたところはありますか?」という問いが苦手な理由!?

2024.12.8 12:46/ Jun

中原のフィードバックの切れ味など「石包丁レベル」!?:社会のなかで「も」学べ!

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:54/ Jun

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:12/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点

2024.11.29 08:36/ Jun

大学時代が「二度」あれば!?