2006.7.21 06:50/ Jun
「今年も、新子入りました」
あなたが「寿司食い」なら、このセンテンスをきいただけでピンとくるはずです。そう「新子」は夏の風物詩。「寿司屋で感じる季節」の醍醐味とは、まさにこのことをいうのでしょう。
昨日、研究室に行ったら、たまにお邪魔している「蛇の健寿司」さんから、新子の便りが届いていました。その便りにマンマとつられて、渋谷に向かいます。
蛇の健寿司
http://maps.google.co.jp/maps?q=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%B8%8B%E8%B0%B7%E5%8C%BA%E9%81%93%E7%8E%84%E5%9D%821-20-4
(蛇の健寿司さんは、カウンターが10席弱、2階には10名程度が入れる個室のお座敷があります。席数が限られているので、出かける前には予約の電話を入れた方がいいでしょう。03-3461-4288です)
というのは、昨日は本当に忙しかったのですね。大学に着いたのが早朝5時30分。それから、ひたすら論文を書き、さらになんと1日で8つの会議をこなしました。おまけに最後は久しぶりの聞き取り調査です。調査はやはり緊張しますし、いろいろな準備が必要です。これを終え、インフォーマンツの方のお宅をでたのが夜9時をまわった頃でした。
もう心の底まで疲労困憊し、少し自分に「ごほうび」をあげたくなったのです。というわけで、カミサンには「外で食べる」と電話をし、「新子」を食べに行くことにしました。でも、次の日も朝は早いのですね。
10カンだけやって、さっと帰ろう
そう思って「蛇の健寿司」の「のれん」をくぐりました。
が、なんと中には、いつも御世話になっているディレクターの大房さんが、知り合いのデンマーク人の男の子と一緒に、一足先に、新子をやっていました。彼も、はがきに連れられたとのこと。本当に偶然の出会いでした。
結局、2時間ほど、いろいろな話をしながら、変わり種のお寿司をいただくことに。まさか寿司屋で英会話になるとは思いませんでした。
デンマーク君は、高校を先日卒業したばかりで、今は世界を放浪しているとのことでした。で、それが終わったら大学で「ドゥールーズ」を学びたいと行っていました。ちなみに、なぜ日本に来たかというと、ロラン=バルトを読んでいたら、その本の中に「漢字のタイポグラフィー」がたくさんあった。それに興味をもったそうです。
ちなみに、デンマーク君、「ウニ」を食べたり、「生かき」を食べたり、おおよそ海外の方が苦手とするようなものばかりを食べては「Good!」を連呼していましたけれども。日本通の若者でした。
話を寿司に戻します。
僕としては、当然の事ながら、新子は一番先にいただきます。
この時期の新子は、1キロ4万円。まだ身は小さいので、1キロからは300グラムほどしかとれません。ひとつの「にぎり」には、切り身を重ねますので、おそらく、一カンの値段は1500円から2000円ほど・・・ちょうど大トロくらいの値段にはなるはずです。
さらに、この時期の新子は手がかかります。本当に小さな魚ですので、それを一匹一匹おろして、ホネをとり、酢と塩でしめて寿司ネタにしなければならないのですね。IT用語でいうなら「工数がかかる」ネタです。もちろん、しめるのは秒単位の判断が求められます。少しでも、遅れると味が変わってしまいます。
結論からいいますと、これだけ工数がかかると原価割れは確実です。寿司屋泣かせとはこのことを言いますね。
蘊蓄はいいとして、今年初物の新子をやります。
嗚呼、夏ですね。
今日は働いてよかった。
いいですね、本当にいい。しめ具合も申し分なし。どこにも光り物特有のにおいはありません。そうですね、また来年の夏まで一年頑張ろうという気になれます。
うーん、本当はもう一カン食べたい・・・。でも、ここは我慢します。きっと常連さんなら、みんな食べたいでしょうから。あと2週間ほどで、おそらく新子は相当リーゾナブルになるはずです。そのときまでは我慢をいたしましょう。
その他、今日は松輪の真鯖、メジマグロ、ウニなどもいただきました。全部で10カン+おつまみ+ビール+焼酎×2で、6000円くらいでしょうか。抜群に安いと思います。渋谷の夜で、この値段で、このネタは絶対に食べられません。
新子が腹一杯食べられるようになるとき、それは、今年の夏もちょうど折り返し地点に入った頃でしょうか。そのときを待ちこがれつつ、日々の雑用に追われる毎日を過ごすことになるのでしょう。
そして人生は続く。
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