2005.6.2 00:48/ Jun
昨日の夜は、中山駅近くの日本料理居酒屋にでかける。
加藤さん@NIME、望月君@神戸大学、中原の3人で「教育学者と政治」「教育研究の政治学」というテーマでずいぶん盛り上がった。
「状況論をつきつめていくと、人間の認知や行為にはたらくポリティクスの問題にすべてぶち当たる」・・・今となっては「学習環境デザイン」という言葉は誰でも使う言葉になってしまったけれど、「教授設計(instructional design)」に対するDEE(Designing Educational Environment)という概念の構築にかかわり、それに関する研究会を認知科学会内に立ち上げた加藤先生の言葉は非常に印象的だった。
しかしながら、あまりに盛り上がったからといって、3人で焼酎を一瓶空けてしまったのは、「想定の範囲外」であった。はい、飲み過ぎ。
早朝、僕は元気に起床。今日もよい朝、快尿、快便。
今日の会議では、石井裕先生(MIT)のキーノートスピーチをきく。Tangible media、Ambient mediaなど、おなじみの概念ではあるが、その出自、そこに込められた意味などを、あらためて学ぶことができてよかった。
石井裕先生
http://web.media.mit.edu/~ishii/
Tangible Media@MIT Media Lab
http://tangible.media.mit.edu/
個人的には、石井先生のプレゼンの中で紹介されていたI/Oブラシというお絵かきツールは - Kimiko Ryokaiさんのつくられたものですね。彼女の研究は、僕が大阪大学の学生であった頃から、ずっと注目していて、論文をみんなで読んだこともあった – これは「発明」に近いと思う。
Kimiko RyokaiさんのWeb
http://web.media.mit.edu/~kimiko/
I/O Brush
http://web.media.mit.edu/~kimiko/iobrush/
絵を構成する要素の中に「歴史」という軸がうまれる。ツールのおかげで、「絵」そのものの概念が変わる。スバラシイ。
プレゼンテーション終了後、後から何人かの聴衆と話したら、その中には、素直に工学的な新しさを認められない人っていうのも少なからずいたようだ。「むしろアートに近い…」とかごにょごにょ言っていた。
でも、ツールの新奇性、誰にも思いつかないようなハッとする概念、そうしたものは、もっともっと教育学の中で認められてもよいと思う。「アートに近い」という言い方で済ますことで、新しいものを受け入れず、安心できるのはわかるけど、それはどこかオカシイ。
「設計 – 開発 – 評価」・・・あなたが知っている「型どおりのスタイル」で論文をかき、あなたがやってきたように、アカデミックなアウトプットをだしていくことも、言うまでもなく重要である。
しかし、たとえそのうちの何か – 例えば評価 – が欠けていようとも、開発物がオモシロく、独創性が高いものであれば、その価値は素直に認めるべきである・・・たとえそれがあなたの「やり方」にはあてはまらなくっても。
もし、そうしたステキなものが、ヨノナカで最も最先端をいくはずの、アカデミックな世界の中ですら認めらないというのであれば、どこかオカシイのは、アカデミズムの方であると僕は思う。
そして、より重要なことは、ステキなモノは、「待って」はくれない。アカデミズムが見放したとしても、よりステキな世界がそれを受け入れるだけの話である。
曇りのない目で見るべきだ。そして見逃してはいけない。アカデミズムの世界からこぼれ落ちる、あのステキなモノたちを。自戒をこめて、そう思う。
—
ポスターセッション。
白水先生・三宅先生のポスターが印象的であった。
講義というものは、大量な知識を伝達する手段だと思っている人が多いけれども、それは違う。講義では、知識を伝達することはできない。
ある講義の終了から、12ヶ月後に、どのくらい講義の内容を覚えているかをインタビューで聞いた(Retrospective interview)。そうすると、45%の学生は、何ひとつ講義であつかったはずの内容を思い出せない!
それでは、その講義の忘却をふせぐ手段として何が考えられるか。それが、Commentable Video Annotationである。講義を細分化したヴィデオクリップにコメントをつけられる機能をつける=記録ができるようにした結果、より深いレベルの学習がおきた
だいたいご発表は以上のようなものであった。
何年か前に、SIGLESという研究会をやった際にも、上記のような内容を三宅先生がお話ししていたことを思い出す。
「講義とは、忘れ去られる運命にあるのです」
—
帰ってきてからプレゼン作り、論文査読、原稿執筆など。プリンタを台湾に持参してよかった。どんどん仕事が進む。でも、正直いって、休みたい・・・・トホホ・・・携帯型プリンタなんて開発した奴は誰だ・・・。
そして人生は続く。
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