2006.5.25 04:16/ Jun
「遅まきながら」という巻頭語から、今日のエントリーを書くのが適切なのか・・・。
先日、「ブレンディッドラーニングの戦略」を一気に読んだ。おそらく、このblogを日々読みにきてくれている人の中には、もうこの本をお読みなった方も多いかもしれない。
周知のことではあるが、「ブレンディッドラーニング」とは、「オンラインでの学習」と「オフラインでのF2Fの学習」を組み合わせた学習形態のこと。完全オンラインだけのいわゆる「eラーニング」と対比する言葉として頻繁に用いられることが多い。本書における定義は、「最適のトレーニングプログラムをつくりだすため、異なるトレーニングのメディアを組み合わせること(p3)」となっている。
本書は、アメリカで「ブレンディッド・ラーニング」のコンサルティングを行ってきた著者が、どのように「ブレンディッド・ラーニング」を組織すれば、より学習効果をあげられるのかを、懇切丁寧に解説している。
ブレンディッドラーニングの「歴史」にはじまり、「経営論」「デザインコンセプト」「メディア選択の方法」「予算の算出の仕方」などに至るまで、あますところなく解説している。
事例も豊富で、実際のスクリーンキャプチャなども見ることができ、大変参考になる。
おすすめの一冊である。
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ところで、ここからはクダラナイことになるが、僕自身は「ブレンディッドラーニング」という概念自体には、はじめてそれを聞いたときから、ずーっと気になることがある。
誤解を避けるために言っておくが、いささかもその重要性を疑うつもりはない。本書で提案されているような方法で、学習効果の高いプログラムが開発されることを切に願っている。
しかし、教育学的な観点から見ると、「ブレンディッドラーニング」で言い表されていることの実際は、「オンライン学習をひとつのリソースとして構築されたカリキュラム」と表現出来る。
一般にカリキュラムとは「学習者の経験の総体」をさす。そう、「ブレンディッドラーニング」という言葉より「カリキュラム」という言葉を古く使ってきた僕のような人間からすれば、それは「カリキュラム」そのもののように見えてしまうのである。
なぜ「カリキュラム」と呼ばないのだろうか。「ブレンディッドラーニング」というと、何か特別な(スゴイ!)ラーニングの形態をイメージしてしまうのではないだろうか。ラーニングはラーニングであろう。そのあたりが、僕の「ひっかかり」の源泉なのではないかと思う。ほとんど「いちゃもん」だが、何となく気になる。
・・・まぁ、どうでもいいんだけどさ・・・朝っぱらからくだらないことを述べてしまったことを反省する。
とにかく、本書は「効果的な人材育成の実際」を知るには最適の一冊だと思う。訳者ら(何人かは一緒に仕事をした方々である)にお疲れ様でした、と申し上げたい。
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<お知らせ>
中原は本年より大学院生の指導を開始します。すでに何名かの方々からはご連絡をいただいております。ありがとうございます。もしご興味がございましたら、下記をご覧下さい。
大学院で学びませんか?
https://www.nakahara-lab.net/blog/2006/05/post_202.html
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大学院入試説明会
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/gnrl_info/news/list06/04.html
6月14日シンポジウム「MS寄附研究部門開設記念:大学教育の情報化、フロントライン」ですが、すでに申込者が120名を突破した模様です。一条ホールですので、席数にはまだ余裕がありますが、くれぐれもお早めにお申し込みを御願い致します。
大学教育の情報化、フロントライン
http://utmeet.jp/events/index.html
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今日から土曜日まで通信環境の非常に悪いところにいます。メールチェックもできない可能性があります。僕に用事の方は、西の方角に伝書鳩を飛ばして下さい。
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