NAKAHARA-LAB.net

2006.4.29 06:15/ Jun

政治

 政治的に振る舞う、交渉がうまいとはどういうことでしょうか。一般には「声のでかい人」「まくしたてる人」「熱意あふれる人」を、そう呼ぶのではないでしょうか。でも、僕は、どうも違うように思うのです。
 たとえば譲歩する・・・つまりは「折れる」。
 「折れる」ということは、一般に後ろ向きな行為と見られます。が、「折れること」は、そのまま「負けること」ではありません。「折れる」ことで不本意な妥協点に甘んじてしまう場合もある。が、いったんは「折れる」ことで、長期的視野にたって、よりよい条件をひきだせる場合もある。
 たとえば「謝る」。これも、同じです。
 「謝る」ということは「負ける」ということを意味しません。「謝る」ことで自尊心が傷つけられ、ダメになる人もいますが、「謝ることで闘う人もいる」。
 いったん後ろ向きに見える行為の奥底で、密かな闘志を燃やす。そういうアンビバレントさの中に生まれるやりとりが、政治的なやりとりだと思うのです。
 
 テレビをつけて、ニュースにでてくる政治家を見る。本当に政治のうまい人は、「政治的な人」には見えないものですし、「交渉の手腕が長けている」ようには見えないのではないか、とつい思ってしまいます。
 一見して、「政治的に見える人」は、あまり恐れることはないのかも。
 「政治的に見えない人で、政治的な人」にあったときこそ、ムムム、おぬし、と思います。
yajirushi.gif ranking.gif ポチッとね、応援1クリックをお願いします bikkuri.gif

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.12.25 10:57/ Jun

「最近の学生は、昔からみると、変わってきたところはありますか?」という問いが苦手な理由!?

2024.12.8 12:46/ Jun

中原のフィードバックの切れ味など「石包丁レベル」!?:社会のなかで「も」学べ!

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:54/ Jun

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:12/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点

2024.11.29 08:36/ Jun

大学時代が「二度」あれば!?