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2006.2.25 18:16/ Jun

読むクスリ:他者のまなざしの力

 先日、カミサンが勧めてくれた本「読むクスリ」を読んでいて、ムムムと思ったエピソードがあった。「読むクスリ」は、ビジネスでのエピソード、新商品の開発の苦労、粋な小話などを集めた「企業版ちょっといい話」。

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 東京五輪のあと、それまで全く注目されていなかった男子バレーボールの監督に就任した松平さんは、酸素ボンベが必要なほどの「死のハードトレーニング」を男子選手たちに課す一方で、彼らがマスコミに注目されるよう、あらゆる手をつくした。
 テレビ局への売り込みからはじまって、自ら解説者を買って出て、選手たちをホメにほめまくる。選手たちが失敗をしても、彼らがいかに才能がある選手なのかを徹底的に売り込んだ。松平さんは、そうやって、男子選手たちに日があたるよう、努力し続けた。
 「ジャイアンツの試合は、ほとんどがテレビ中継されます。全国のファンが見ている、期待している、と思うから、王、長島はじめすべての選手が、ひとつひとつのプレーを真剣に、必死にやる。その積み重ねが好成績をもたらし、好成績が選手の名声となって跳ね返ってくるという循環を生むのですね。これだ、うちの選手もブラウン管のヒーローに仕立て上げようと思ったのです」
 (中略)
 しだいに、若者たちは、ほんとにテレビのヒーローになっていった。彼らが試合にでるときには、球技場にファンの黄色い声援がこだまする。そうすると、それまで辛い練習をサボリがちだった選手たちは次第に態度を変えていった。
(上前淳一郎 「読むクスリ」より一部引用)
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 何者かが学び、そして変わるためには、厳しいトレーニングに加えて、他者からのまなざしが必要である。そして、プロジェクトマネジメントを行うものは、他者のまなざしをコントロールするという発想を、その中に活かす必要がある。
 レベルが違うので怒られるかもしれないが、僕はずっとこれまでそういう信念をもって、様々なプロジェクトをマネジメントしたり、共同研究を行ってきた。
 このクスリは、僕のそういう考えを確信に近いものにしてくれた。
 たかがまなざし、されどまなざしなのだと思う。
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追伸.
 読むクスリの文章は、本当に素晴らしいですね。流れるような文章で、何一つひっかかりがない。それでいて、強烈な印象をもたせることに成功する。こんな風に文章が書けたら、とため息混じりで読んでおります。
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