2016.6.1 06:13/ Jun
授業や研修などで、たくさん「グループワーク」を見る機会があります。
それまであまり接点のなかった人々が集まり、あるテーマや課題について話しあい、アウトプットを出していくプロセスを授業者・ファシリテータとして見ていると、いろいろな「パターン」に出会います。
パターンとは「専門用語」のひとつですね。
パターンとは、「人々のコミュニケーションのなかで、繰り返される行動や現象のこと」とお考え下さい。
グループワークをしていると、「あっ、これ、前にみた現象だな」と思う行動がメンバーによって繰り返されます。それが「パターン」です。
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グループワークを外部から観察していると、さまざまな「パターン」が現れて消えていくことがわかります
せんだって観察していたチームでは、5名のチームのコミュニケーションが、チームのリーダー格とサブリーダー格の間だけでなされており、他の3名がどんなに割って入ろうとも、そのコミュニケーションの中には参入できない「現象」が生まれていました。これが「パターン」のひとつです。
どんなに場所や時間を変えようとも、このグループダイナミクス、このメンバーの中では、この「パターン」が繰り返されます。
パターンは、個人の資質、グループの中の人間関係、権力勾配によって規定されているからです。
(ちなみに、課題の異なるこうしたグループワークをいくつか重ねてみれば、かなりの確率で、その人の人となりがわかるような気がします。グループワークを通じたアセスメントが可能なのではないかと思っています)
このチームには、以前、こんな声かけ(外的働きかけ)をしました。
「今、グループの話しあいをみていると、みんなのコミュニケーションの矢印が固定的になっている気がします。自分たちは、どんな風にコミュニケーションをして物事を決めていますか? このままで最終ゴールまで行って、チームの状態は、大丈夫?」
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リーダーは、自らのチームを率いるときに、常に「チーム全体の状況」を「俯瞰」する「鳥の目」を持たなければなりません。
本来ならば、「チーム全体の状況」を「俯瞰する鳥の目」をもってながめ、必要に応じて、自らに対して「働きかけ」をおこなわなければならないのです。
しかし、それがなかなか難しい。
本来ならば、上記のような「外的働きかけ」は、チームのなかで、誰かが担わなければならないことです。特にリーダーがそれを担わなければ、前には進みません。
しかし、リーダー含め、チームのメンバーは常に「課題一辺倒」「成果目標邁進」になっていることと、「権力勾配」にすでに絡め取られているので、なかなか口に出せません。
そんな風にして、チームは暗礁に乗り上げるのです。
そのあとに残されるのは、たいていこんなセリフです。
「最悪の結果だったね。でも、わたしは、最初から、こうなるんじゃないかと思っていた。わたしは、わかっていた。最初から、こんなことはしたくなかった」
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時がたち、学期も進み、僕がかかわっている授業や研修のグループワークは、そろそろ「Point of No return(ポイント・オブ・ノーリターン)」にさしかかります。「Point of No return」とは「帰還不可能点」のこと。
これ以上、先に進んでしまうと、後戻りできなくなるポイントがもうすぐそこ。そして成果発表のタイミングが、そのあとに続きます。
何とかして、自分たちのグループワークを俯瞰する鳥の目をもち、パターンに向き合い、勇気をもって、自らのチームを立て直して欲しい、と思います。
リーダーは「鳥の目」を持って、パターンを観察して下さい
そして
「チームを立て直す勇気」を持ってください
「最悪の結果だったね。でも、わたしは、最初から、こうなるんじゃないかと思っていた。わたしは、こんなことはしたくなかった」
と言わないためにも。
そして人生はつづく
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