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2015.10.6 06:36/ Jun

ネガティブワード化する「キャリア」という言葉!?:あなたの会社では「キャリア」という言葉のイメージは「ポジティブ」ですか?「ネガティブ」ですか?

 「キャリア」という言葉、うちの会社のなかでは、完全に「ネガティブワード」なんですよね。
 先だって、ある方とお話していたさい、こんな話になりました。
 学術的には、キャリアとは「個人の人生全般にわたる、仕事に関連した諸経験および活動についての一連の態度・行動の知覚のこと(Hall 1976)」。これは、いくらなんでもややこしいので、いつも僕は「仕事人生の意味づけ」と申し上げておりますが、この定義自体に「ネガティブさ」は、ほとんど感じられないですよね。
 というわけで、その一瞬まで僕の中には1ミリも「キャリア=ネガティブワード」のイメージはありませんでした。でも、うちの会社では「ネガティブワード」だとおっしゃるので、「ほほー」と思い、話を伺ってみることにしました(貴重なお時間を感謝です)。
 すると要するに、キャリアにまつわるネガティブイメージは、
1.社員が、キャリアを「意識しちゃう」と、辞めちゃいそうな気がする
(社員がキャリアを意識させられると、会社に辞めさせられそうな気がする)
2.キャリアという言葉を使う社員は「意識高い系」に見えちゃう
(わたしは、今は、ここにいるけど、実際はあなたたちと違うんだよ感が漂う)
 
3.キャリアと聞くと「儲からない」イメージがある
(仕事人生の意味をいくら考えても、利益はあがらない)
 の3点くらいから生まれているのだそうな。
 くどいようですが、僕の中には1ミリも「キャリア=ネガティブワード」のイメージはなかったので、かなり動揺して、「広い世の中、そういうこともあるのか」と思っていましたけれど。
(僕は、キャリア開発が専門ではないので、専門的な業界の中ではすでに述べられていたことなのかもしれません。でしたらすみません)
 まず1の「社員が、キャリアを意識しちゃうと、辞めちゃいそうな気がする」に関しては、僕の考えはむしろ逆で、「今やっている仕事の意味がわかんなくなっちゃう方が、辞めちゃいそうじゃない」と思いました。「何やってるかわからないまま、今あるものだけにモクモクと取り組めるほど、人は忍耐力はないのでは」と。でも、実際は逆なんですかね・・・「寝た子を起こすな的なイメージ」なのかな。
「社員がキャリアを意識させられると、会社に辞めさせられそうな気がする」というのは、そういう退出マネジメントの前後には、「キャリア研修」とかって名前をつけた研修がなされることが多いのかも。だから、人は潜在的に、その名前をきくと、ビクッときてしまうのかもしれませんね。
 2「キャリアという言葉を使う社員は意識高い系に見えちゃう」はよくわかんないけど、きっと、1に呼応しているのかな。キャリアという言葉を使われると、それまで一緒の仲間だと思っていたあの人が、急に別組織でも働く可能性を有している、風に思えてしまうのでしょうか。すなわち、「組織=おらが村」的なものとしてとらえており、それを「裏切るイメージ」があるのでしょうか。
 もしそうなのだとしたら気持ちはわかるけど、まぁ、そうはいってもねと思うところがある。「おらが村」が「一生安泰」「一生安全」なら大丈夫なんでしょうけど、今の時代、そう言い切れる組織は、そう多くはないんじゃないかと思ってしまいます。
 3「キャリアと聞くと、儲からないイメージがある」はたしかに「仕事人生の意味をいくら考えても、直接、売り上げがあがるわけではない」と考えるとそうなのかもしれませんが、たとえば仕事人生の意味づけを行うことによって、離職が減るとか、生産性があがるという考え方もできるのかな、と思います。
つ まり、Financial Outcome(売り上げなどの経済的成果)だけでなく、HR outcome(人材マネジメント上の成果)も視野にいれれば、全く成果があがらない、というわけではないような・・・。
 いやーー。それにしてもこの組織だけかもしれませんが、
 キャリアという言葉が「ネガティブワード化」している
 という指摘は、とても驚きました。
 まぁ、僕はキャリアの専門家ではないので「キャリア」という言葉を使うか使わないかはどちらもでもよいのですが、折りに触れて「仕事人生の意味づけ」はやはりできたほうがよいのではないのかな、と思います。おそらく、その重要性についてあまり疑義は向けられないんじゃないだろうか。
 また、キャリアのイメージが変質化しているのがもし「是」ならば、大切なことが、うまくエンドユーザーまで伝わっていない、という可能性もなきにしもあらずです。キャリアという言葉と、その考え方の、再定義を行っていくことが求められるのかな、とも勝手ながら思います。
 でも、逆に、あまりにも過剰に、キャリアという言葉が「ネガティブワード化」してしまっているのなら、その言葉をあえてつかわなくとも、意図を隠して、別の言葉をつくり、大切なことを知ってもらうというのも一計なのかなと思いました。つまり、人材マネジメント側は「キャリア」という考え方や理論を学ぶけれど、その言葉をそのまま現場では使わない、ということです。
 あなたの会社では、キャリアのイメージは、ポジティブですか? ネガティブですか?
 そして人生はつづく

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