2015.4.2 06:33/ Jun
今、ヤフー株式会社執行役員の本間浩輔さんとともに、
「現場マネジャーの抱える、ひとにまつわるディレンマ」
にまつわるディレンマに関する本を書いています。
光文社新書さんから出版させていただく予定で、編集担当は樋口さん、古谷さん、そして構成には、秋山基さんにご担当いただいております。ありがとうございます。
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先だっては、この本の執筆のため、現場マネジャーの抱えるディレンマについて、僕のブログで、皆様からさまざまなご意見・事例を募集させていただきました。
この無茶ぶり的御願いに関しましては、多くの方々から回答をいただき、心より感謝いたします。ありがとうございました。著書の中で、何とか、活かしていきたいと考えています。
「現場マネジャーの抱えるディレンマ」を絶賛募集中!:えーい、どないせーちゅうねん系悶絶ディレンマ、あなたの周りにございませんか?
https://www.nakahara-lab.net/blog/2015/01/post_2347.html
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ところで、先だってのチームと研究室で打ち合わせをしていて、ひょんなことから、
「人は、どれだけ年や経験を重ねれば一人前で、他者からのフィードバックを必要としなくなるのか?」
という話題になりました。
かつては、管理職は「あがり」と見なされ、そこに至れば「一人前」。それから先は、「部下に対してフィードバックをすること」はあっても「フィードバックされること」は少なかったのではないかと想います。
昨今は、この状況も、かなり改善され、360度評価など、様々なツール群が、こと大企業に関しては準備されていますが、「年を重ねれば、フィードバックから疎くなる」というのは、一般論として言い得ることなのかな、とも感じます。
だからこそ、昨今の人材マネジメントでは、敢えて人工的にフィードバックループを準備しなければならないということになるのでしょう。
それに対して、僕も本間さんも
どれだけ年や年齢を重ねても、否、年を重ねるからこそ、他者からのフィードバックは不可欠だ
という持論を持っています。
僕の場合、かつて著した「職場学習論的な世界観」は、ワンセンテンスで申しますと、
「人は、他者にひらかれて成長する」
ということです。職場学習論に限らず、「人の成長は、個に完結できない」は、僕の研究のコアをなす信念かと想いました。
本間さんは、
「あのタイガーウッズでさえも、コーチが必要なんですよ」
とおっしゃっていました。
曰く、この世界には、タイガーウッズよりも名プレイを為すコーチはいないんでしょうけれども、彼がどんなに能力が高かったとしても、コーチ、すなわち、他者からのフィードバックは必要であるということになります。
そういえば、これに「ゆるく」関連したところですと、先だって拝見した糸井重里さんと宮沢りえさんの対談でも、似たようなことが述べられていたことを思い出しました。
糸井さん・宮沢さん曰く、
糸井
クリント・イーストウッドは、
今でもプレゼンテーションしているんですよ。
宮沢
ああーー。
糸井
「こういう映画の企画があって、
こういうキャストで、
こういうスタッフを集められ、
お金はこれくらいあります」
で、映画にしてOKかどうかっていうのは‥‥
オーディションなんですよ。
(下記より引用)
AERA×ほぼ日刊イトイ新聞「試練という栄養」第5回
http://www.1101.com/rie2014/2014-11-10.html
クリント・イーストウッドが受けているのは、フィードバックではないのですけれども、あの名優ですら、試練が与えられ、そして「見るー見られる」の関係の中に、みずから投企されている、ということが、印象的でした。
要するに、
どんなに年を重ねても、熟達していても、他者からのフィードバックは必要である
どんなに年を重ねても、熟達していても、他者にひらかれていなければならない
逆にいうと、
「年を重ねたから、オレは王様だ!」とか「このポジションまで上り詰めたから、あとは好き勝手だ」というのは、非常に危険である、ということになるのでしょう。それは「裸の王様」への第一歩を歩み始めた証左かもしれません。
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今日は、「年や経験を重ねることと他者からのフィードバック」についてお話をしました。
年功序列の考え方の色濃く浸透している我が国では、年を重ねれば、「言いにくい状況」が生まれ、やがて「誰からもフィードバックを受けない期間」がつくられがちです。
しかし、自戒をこめて申し上げますが、事態は逆で、年齢や経験を重ねたからこそ「フィードバック」を必要とする状況が生まれているのだと感じます。
そして人生は続く
ーーー
追伸.
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