NAKAHARA-LAB.net

2015.1.13 07:05/ Jun

「だっこ」じゃないよ「時間くれ!」(笑):対話の素材としてのサイボウズ・ワークスタイルムービー

 サイボウズさんが最近提供している、子育てに関するワークスタイルムービーというものがあります。相当、ソーシャルメディアで話題になったので、ご覧になったことのある方も、少なくないと想像します。
 ソーシャルメディア上では、そのムービーの是非、あるいは賛成意見・反対意見などが、これまでにも活発にだされていました。が、このブログでは、これに追従することは差し控えます。むしろ、このビデオに対する反応の違いーそこに感じる違和感、そして共感の程度が、「人によって違うということ」を「今後の変化の可能性」として捉えたいのです。
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 我が家の場合、これらのムービーを夫婦それぞれにみて、その後、なぜこのムービーが流行ったのか。そして、それらを見て、相互にどんなことを感じたのかを、それとなく会話していました。会話といっても、二人で円になってワークショップなどをしたわけではありません。あったら、怖いわ、笑。数分間、ひとこと、ふたこと、しゃべったくらいです。


 1作目「大丈夫」に関しては、二人とも非常に共感をもって見ることができました。
その程度は、きっと僕のほうが大きく、このムービーをきっかけに、長く封印していた「料理」に僕がチャレンジするきっかけを持ちました。

 2作目「パパにしかできないこと」は、僕はよいと思ったのですが、カミサンには、ちょっとイマイチな印象だったようです。その詳細は差し控えますが、
「わたしが求めているのは、だっこじゃない。時間をくれ(笑)」
 と言っているところをみると(笑)、落としどころが「カミサンのツボ」にははまらなかったようです。
 興味深いのは、こうしたビデオの感想を話し合っていると、お互いの「子育て」に対する考え方や感じ方に「違いがあること」、そして、子育てを円滑にしていく上で何を求めているのか、が「違うこと」がわかることです。
 人々の相互作用において「簡単にわかりあうこと」ではなく、「相互の違いや前提」をあぶりだすコミュニケーションにおいてを「対話」といいます。使い方によっては、このビデオはそうした「対話の素材」に用いることができるのかなぁ、と思いました。もしかすると開発チームの皆さんは、そうした対話を望んでいるのかもな、とも勝手に考えてみたり。
 一応、「対話」に関する本を書いたことのあるわたくしめとしては(!?)、そんなことを感じています。

 時間ね・・・
 何とかしていこう。
少しずつ増やしていこう。
 そして人生は続く

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