NAKAHARA-LAB.net

2014.12.9 06:51/ Jun

むずかしいことを やさしく、自分にしかできないことを皆に届ける!?

 むずかしいことを やさしく
 やさしいことを ふかく
 ふかいことを ゆかいに
 ゆかいなことを まじめに書くこと
 こちらは劇作家・井上ひさしさんの言葉です。以前、ブログでも紹介したことがあります。こちら、なんど読んでも、なんど噛みしめても、深い含蓄にあふれる言葉のように思います。
 自戒を込めていいますが、人はその筋に詳しくなりますと、とかく「むずかしいことを より、むずかしく」書いたりしゃべったりしがちですね。
 あるいは、最悪の場合には「やさしいことを 敢えて難しく」しゃべったりする。「己の権威」を維持するためにね・・・。
 あるいは、「むずかしいことを より、むずかしく」伝えたり、「やさしいことを 難しくしゃべったり」したあとで、「伝わらないこと」「届かないこと」を、相手のせい、受け手のせいにする。なんで、伝わらないんだ? こんだけわたしが頑張っているのに、なんで届かないんだ。それは、あいつが悪いに違いない。
「むずかしいことを やさしく」記し、「やさしいことを ふかく」問いかける。
 自分のわかったことを、誰にでもわかる言葉にしつつ、読み手を「揺さぶる」。そして、深淵なる世界への入口に、人々を招待する。できるならば、そうしたナヴィゲータに僕はなりたいと願います。
 井上さんは、一方で、こんな名言を残しておられます。
 作文の秘訣をひと言でいえば
 「自分にしか書けないこと」を
 「誰にでもわかる文章で書く」
 と言うことだけなんですね
 (井上ひさし)
 上記は作文についてのお話でしたが、このことは、あらゆる知的活動に程度の差こそはあれ、あてはまることのように僕は思います。
「自分にしかできない」ということと「誰にでもわかるように提示すること」の「ねじれ」を抱きしめ、それを「解消しようとすること」を、人は「知性」と呼びます。僕は「知性の力」に憧れ、生きています。
 そして人生は続く

ブログ一覧に戻る

最新の記事

「組織を変えよう」と「組織が実際に変わる」は「カニカマ」と「カニ」くらい違う!?

2025.3.19 08:36/ Jun

「組織を変えよう」と「組織が実際に変わる」は「カニカマ」と「カニ」くらい違う!?

2025.3.12 22:56/ Jun

「皆さんの会社の内定者の皆さまに、深い絆を!」内定者向けワークショップ!開発成果報告会!

デジタルメディアで「読まれる文章」はいかに書けばいいのか?:斉藤友彦著「新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと」(集英社新書)読了

2025.3.11 16:20/ Jun

デジタルメディアで「読まれる文章」はいかに書けばいいのか?:斉藤友彦著「新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと」(集英社新書)読了

2025.3.10 08:25/ Jun

研究室は「換気」をしなければ「湿気」がたまる!?

大学新卒の初任給30万円で浮かれている先に広がる未来!? : 30代ー40代で自分を見失わないために!?

2025.3.7 08:23/ Jun

大学新卒の初任給30万円で浮かれている先に広がる未来!? : 30代ー40代で自分を見失わないために!?