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2014.2.3 07:49/ Jun

「為すこと」よりも「為すことをいかに意味づけるか」の時代!? : 高木徹「国際メディア情報戦」を読んだ!

「ボスニア・ヘルツェゴビナの外務大臣は、英語が堪能で、テレジェニック(テレビ映りがよかった)だった。そこで、彼をテレビのトークショーにおけるスポークスマンとして利用する作戦が練られた」
(「ドキュメント 戦争広告代理店」p92)
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 高木徹「国際メディア情報戦」(講談社現代新書)を読みました。本書は、さまざまなメディアのテクニックを駆使しながら繰り広げられる「世界情報戦」について解説した本です。
 具体的には、ボスニア紛争、アメリカ大統領選挙、アルカイダ、2020年五輪招致などを例にとりあげ、その顛末について論じています。著者の前作である「ドキュメント 戦争広告代理店」の続編ともいえる書籍かと思います。
 
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 「国際メディア情報戦」で著者が論じているのは、いわゆる国際的に繰り広げらられるPR(Public relation)合戦です。PRとは「広告」と同義語のように思われがちですが、それは異なっています。
 端的にのべるのであれば、広告とは「お金をはらって行う宣伝」です。PRとは「お金を払って広告枠を買いません」。むしろ、ある組織が、社会・社会構成員とのあいだにコミュニケーション回路を築き、そのことを通してメディアに情報を流通させ、組織体・社会に対して何をもたらすか、ということが求められます。具体的には、ニュースなどの報道番組の中に、自分たちの情報を流通させることをいいます。
 たとえば、筆者が前著で論じたボスニア紛争においては、ジム・ハーフというPR会社のプロフェッショナルが、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府から情報戦略を請け負い、セルビア人を孤立させるべく、国際世論を誘導していく様子が描かれています。
 その手法は、「バズワードをつくる」「サウンドバイトをつくる:流行しやすいように短く断片化した発言」「サダマイズ:標的をきめて、悪の権化として印象操作を行う」など、非常に巧妙で、「なるほどなぁ・・・」と感心してしまうものばかりです。ある出来事をいかに自分たちに有利なように位置づけ、意味づけていくかに焦点化されています。
 国家、さらにはテロ組織までもが、神経をすり減らす国際情報戦。本書の最後には、著者が、日本が国際メディア情報戦をサバイブしていくためのヒントも論じてあり、非常に興味深く読むことができました。おすすめの書籍です。
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 私たちは、「為すこと」よりも、「為すことをいかに意味づけるか」という時代に生きています。
 ここで描かれているのは国際的な世論形成過程ですが、自分の文脈にひきつけて読むことができたとしたら、多くの方々により多くの示唆を与えられる良著であると感じました。
 そして人生は続く

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