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2013.12.25 09:23/ Jun

今年は「採用研究会」で仕事納めです!:The Oxford handbook of Recruitmentを揉む会

 明日は、今年最後の仕事として、首都圏近郊で開催される「採用研究に関する研究会(採用研究会 :別名The Oxford handbook of Recruitmentを揉む会!?)」に参加します。
 採用研究会は、組織論、社会化研究などに関心をもつ若手?(僕もまだ若手?)研究者が集まって、先だって出版されたThe Oxford handbook of Recruitment(採用研究に関するハンドブック)を1日で読む、暴挙的研究会!?です。

 先だって10月頃でしたでしょうか、刊行されたばかりの分厚いハンドブックを手にした中原のつぶやき「あー、誰か研究会してくれないかな・・・」に快くお答えいただいた、中原研OBの関根さんの声がけで、実現しました。関根さんにも、ご参加頂けるみなさまにも、心より感謝しております。
 研究会でのディスカッションも、また、若手研究者の方々とお会いすることも、とても愉しみです。
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 今日は朝からレジュメをシコシコとつくっておりました。僕に任せられた役割は、「研究会のイントロダクションとオーバービュー」ということです。
 しかし、単に、この本のオーバービューをするのはつまらないので、ちょっと工夫をしてみることにしました。
 試みてみたのは、「採用研究の採用プロセス」を敢えていったん「トランジションプロセス(学校領域から職業領域)」として、ニュートラルに見なし、この中空領域に、既存の学問・研究領域が、どのような言説を形成しているかをオーバービューしつつ、そこに経営学における採用研究の特徴を炙り出しつつ、担当章を紹介することです。
 こう書くと、なんか難しいことのように感じるかもしれませんが、たいしたことはしていません(!)。
 要するに「学生から社会人になるプロセス」に対して、これまで、どんな研究が生産され続けてきて、何を主張してきたかを概観したあとで、1章紹介してるだけです。
 最初から、簡単に書けよ>自分。
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 研究会のオーバービューとして、このように敢えて、いったん大きな地図を描くことを試みようと思ったのは、実はワケがあります。
 といいますのは、少し考えてみますと、この「トランジションプロセス」は、一般的な組織論と全く異なる特徴をもっていることに気がつかされます。
 このトランジションプロセス、企業の観点からみれば「はい、採用ですね!」で済むのですが、そのプロセスを、異なる視点で見詰めるステークホルダーが数多くいるということです。
 ひと言でいえば、「採用に関係するステークホルダー」が膨大だということです。
 だって、そうでしょう。
 たとえば、人材育成研究をとりあげましょう。人材育成研究であれば、そのステークホルダーは、組織の内部の人、とりわけ、人事関係の方、現場のマネージャー、経営者、従業員です。それ以外にもいるけれど、議論を簡単にするために、そこは今はオミットしときましょう。
 しかし、人材育成(社会化)の「直前プロセス」である「採用」ということになるとどうでしょうか。
 すぐにわかるように、この「トランジションプロセス」には、人材育成研究と比べて、膨大なステークホルダーがかかわり、それぞれのステークホルダーに関係する学問分野が存在しています。
 ざっくりいうと、「経済学的・社会科学的観点からは国家の公正な資源配分と労働力確保」「高等教育の観点からは学歴効用論」「大学達成度研究の観点からは、大学教育の改善」「キャリア教育の観点からは学生個人のキャリア」そして「経営学的観点からは、有能な人的資源の調達」・・・要するに、国家、大学、個人、企業、そしてそれに付随する言説空間が、トランジションプロセスを異なる目で見つめているのです。
 それはなぜか。
 端的に述べるのであれば、グローバル化や情報化に代表される社会の変化は、トランジションプロセスという、「継ぎ目」になるような脆弱空間にこそ、最もはやくあらわれ、そしてそこには、看過できない様々な「ねじれ」や「歪み」が生じているからです。
 で、採用研究の知見をじっくり読む前に、これらをオーバービューしておく必要は、もうおわかりだと思いますが、企業が「経済合理性」のみを優先して、採用活動を行ったとしても、必ずしも「意図通りの効果」をあげることは難しいこともありえる、ということです。
 そこにはいろんな人がいて、それぞれの思惑から、いろんな言説が生産されている。そして、社会の矛盾は「トランジション」のプロセスにこそ、色濃くあらわれる。だから採用研究を概観する前に、「目配り」をしておこうね、と思いました。
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 個人的に、このトランジションプロセスを、人材開発研究と結びつけようと思い始めたのは3年前です。3年前、舘野さん、木村さん、保田さんなど研究室の有志をつのって、京都大学の溝上慎一さんらと共同研究を行ってきました。
 いやー、Recruitment研究は、格段に難しいです。
 でも、明日の研究会から、何らかのブレークスルーが生まれることを願っています。
 そして人生は続く

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