2013.12.20 16:04/ Jun
現在、研究室の有志で進めている研究に、「就活ー内定ー組織参入ー社会化」の一連のプロセスを視野にいれた「縦断研究(longitudinal method)」があります。
縦断研究は、ちょっと前から人文社会科学のトレンド?のようなものになっているので、それこそ、あーた、いろんな「縦断研究」がありますが、僕らがやっているのは「教育機関から離脱し、会社などの組織参入・定着」に至る短いプロセスの縦断研究です。要するに「就活と内定と新人育成をつなぐ研究」ということでしょうか。
言葉をかえるならば
「就活で、どんな行動を取っている人、どんな社会的ネットワークを持っている人がおり、それが企業に入ってから、どのような影響をもたらすか?」
「企業は内定者に対して、どんな施策をうっているのか? それは、職業選択、および、組織参入時の社会化プロセスにとって、どのような影響をもたらしているか?」
といった問いに対して、数年のスパンをかけて、回答者をおっかけて調査を行う研究をしているのです。東京大学中原研、京都大学溝上研、電通育英会さんとのコラボ研究です。ありがとうございます、感謝です。
もともとは、3年前から京都大学・溝上研と進めていたプロジェクト「大学生研究ー企業人材研究のコラボ研究」の成果が「躍進するビジネスパーソンの探究:大学時代の経験をさぐる」として来年3月に東京大学出版会から出版予定で、「あー、やれやれ、一山越えたかい?」って感じなので(!?)、既存のメンバーに、さらに研究室の新メンバーを巻き込んで、その第二弾プロジェクトを立ち上げることになりました。
この第二弾プロジェクトでは、2月に調査を予定しているので(電通育英会×東大中原研×京大溝上研)、現在、質問項目の選定を行っています。今日は、その会議でした。
今日は教養学部後期の学生さんT君が、研究室訪問に来る日だったので、彼にも、研究会に参加してもらい、学部生ならではのフレッシュな?意見をもらいました。突然巻き込まれてくれてありがとう。
それにしても、このプロジェクトを進めていてつくづく思うのは、「組織参入」から少し「前倒し」て、「就活・内定」というフェイズに「研究のスコープ」を広げただけなのに、そこには信じられないくらいのステークホルダーと、得体が知れない言説がうねうねと存在し、異様なまでの「多要因世界?」が待ち受けていることです。
組織の中の、特に職場研究ならば、「上司」「先輩」「同僚」などが主要なエージェントですが、そこから6ヶ月時計の針を進めただけで、「大学の先生」「大学の友人」「バイト先の友人」「父親」「母親」「キャリアセンターの先生」「人事採用担当者」「企業の現場マネジャー」「企業の経営者」とあれよあれよ、と人が増えていき、うねうねと、トグロまいてる世界があらわれます。
採用、内定の言説空間には、「怪しい言説」もあるかもしれませんね。
学生よりもほんのちょっと前に「企業で働いたことがある」「採用業界で働いていた」という根拠だけで「おれの語る就活経験マンセー」「今年のトレンド、これで決まり!」という感じの物言い含めてね。好き勝手、言いたい放題、根拠レスワールドが広がっているように見えているのは、僕らのプロジェクトメンバーだけでしょうかね? うーん。
考えてみれば、就職活動している学生って、この「人だらけ、好き勝手言いたい放題ワールド」を乗り越えなきゃなんないんですよね。言い方難しいけど、真に受けちゃだめですよ、スルー力も必要なときはありますよ、本当に。嗚呼、本当に大変ですよね。まことにお疲れさまです。
僕たちの研究が「節操なき、多要因、言いたい放題ワールド?」と「仕事の世界」の関係を本当に解明することができるかどうかわからないのですが(言いたい放題言説は相手にしないとして、これら多要因空間が、サイエンスになりうるのかどうかわからないよね、現段階では。でも、わからないからやるんだよ)、僕が究極的に知りたいのは、「仕事を通じて人が育つプロセス」なので、何とか、既存の人材開発研究とうまく接合していくと面白いな、と思っています。
まぁ、何が起こるかはわかりませんが、志ある大学院生たちと、走り抜けたいですね。それはハードですが、愉しいことです。
そして人生は続く
追伸.
今日の話は「新人育成の前倒し」ですが、縦断のスコープをあとにとっていく研究もスタートさせます。つまり「新人育成ーマネジャー発達」を論じる研究です。これで、就活からマネジャー発達まで一気通貫できるかなぁ。。。
まぁ、これに限らず、来年度の研究室の研究戦略を今練っているところです。リソースは無限ではないので、どこに資源配分を行うか。ガチに考えています。そのことは、またお話しします。
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