2012.10.30 16:26/ Jun
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「個(学習者)を見ること」にこだわった実験的なワークショップ「プロセス・インテリジェンス・ワークショップ」を2日間にわたって実施しました。
本企画は、経営学習研究所の牧村真帆さんと中原のコラボ企画で、成城ナーサリィスクールの御協力を得て開催されたものです。
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このワークショップ、どのようにでも位置づけが可能ですが(笑)、メインには、ワークショップやファシリテーションに興味がある方を主に想定してつくられています。
でも、実際は・・・本当は・・・「創造」や「デザイン」、さらには「子育て」「ケア」「リーダーシップ開発」とか「ひとにかかわること」に興味のある方、「ひとにかかわる仕事」についておられる方には、比較的多くの方にお楽しみいただける「幅広さ」を、密かに、何気に持っていると思っています。そのお話は、また別の機会でいたしましょう。
プロセスインテリジェンスワークショップ企画
https://www.nakahara-lab.net/blog/2012/10/neo.html
今回、様々な制約から、残念ながら参加者は学生に絞らせていただきました。
それでも、あいにく、参加希望者が多く「抽選」になってしまいましたが、結局、6名の参加枠に対して、8名の方々にご参加頂きました。
ご要望にお応えできなかったみなさまには、大変心苦しく思いますが、リソースの関係でどうしても難しい状況でした。またの機会にご参加頂けますよう、どうかお願いいたします。
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本プログラムは、8名の参加者が「幼稚園の先生」として、2日間にわたって、子どもと遊びながら、「個を見ること / 理解すること」をめざします。
「子どもと遊ぶこと / 子どもを見る」ことの後には、様々なアクティビティがあります。つまり、単に「個を見る」だけで2日間を終えることができるわけではありません。見てるだけじゃ、帰さないのよ(笑)
1.現場で個を見る
2.鳥瞰図的に個を見る
3.自分が見た個を「ストーリー」で表現する
4.自分が見た個を「カタチ」で「表現」する
5.実践者から”個のストーリー”を聞く / 語る
6.個を見る経験をシェアする
7.個を見る経験を内省する
など、「個を見ること」に付随する様々なアクティビティを通して「個を見る」について深く考えることをめざしています。
1日目と2日目は、敢えて、時間を離して実施されました。1日目が終わったあとに、様々なことを考えていただき、2日目を迎えることが求められます。
これら多種多様な活動のなかで、特にわたしたちが重視しているのが「表現」の部分です。
この部分では、いわゆる「文字」や「声」による表現だけでなく、絵画やものづくりなど、様々なモダリティを用いることをめざしています。
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実際、そのようなアクティヴィティに参加しているうちに、参加者の方々は、実感をもって、いろいろなことに気づいていきます。
1.「鳥瞰図的に見ること(対象者との距離を可能な限り遠ざけ、塗り壁になったようにして見ること)」と「現場で見ること」はどうやら違うものであること
2.「見る」とは、どうやら「対象とかかわること」と独立して考えることはできないこと。「かかわること」が「見ること」を可能にし、「見ること」が「次のかかわり」をつくること
3.ただし「かかわれば」必ず「見えてくる」ものでもないこと。逆に「対象と深くかかわる」がゆえに、「見えなくなること」もあること
4.時間軸の進展の中で生起してくる、様々な出来事に付随する情報を最大限用い、対象者を「推論しつづけること」が、「現場において見ること」に近いこと。この意味で「見ること」はいつまでたっても、確証は得られず、終わらないこと。
5.「個を見る」とは「個へのまなざし」のみで完結しないこと。「個と個の関係を見ること」「個と全体を見ること」「個と道具・人工物の関係を見ること」にひらかれていること
6.「個を見ること」は、単一の実践者だけによって可能になることではなく、「多くの実践者のまなざしの統合」によって、可能になることであること
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もう、そろそろやめます。このように「箇条書き」にしてしまうと、いくらでも書き出せてしまいますし、「なんだ、そんなことかいな、ふん、そんなことしってるわい」という風になってしまいます。
どんなに言葉を尽くして書き出しても、これらは、文字だけでは、なかなか伝わりにくいことなのかもしれません。
が、こうした「伝わりにくい何か」を「現場の体験」の中から、「実感」をもって認識していくことが、このプログラムの特徴です。2日間でできることは限られています。その限られた制約の中で、いかに「伝わりにくい何か」をつかんでもらうかが、勝負です。
「個を見る」という、たったそれだけの「シンプルなこと」が、「いろいろな物事を深く考えるきっかけ」になることを、わたしたちは示したいと思っていました。
そして、もしかすると、そこで生まれる内省が、「学びの場をつくる」「創造の機会をつくる」ということに関与する方々に、大切な視点なのではないか、と牧村さんと僕は思っています。
プロセスインテリジェンスワークショップは、「味わい深い得体のしれない多面体」でいいのです。
(今回のワークショップで、学生さんの中には、「幼稚園の先生方がもつ、ものすごいファシリテーション能力」に揺さぶられた方もいました。また、一見、本能に従い、シンプルに動いているように見える子どもの背後に、様々なストーリーや脈絡があることに気づいた方もいらっしゃいました。個を見る、というシンプルなワークで、いろいろなことが見えてくる可能性があります)
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最後になりますが、参加してくださった8名のみなさま、本当にお疲れ様でした&ありがとうございました。よくこんなに怪しいワークショップにご参加頂きました。そのためには、「一歩踏み出す勇気」が必要だったでしょう。知的にも、エモーショナルにも、愉しんでいただけたとしたら幸いです。
参加なさった学生さんが感想をブログで書いていただきました。下記ご笑覧ください。
三田くんの感想
http://www.hashimoto-lab.com/2012/10/2509
宮本さんの感想
http://www.hashimoto-lab.com/2012/10/2498
木村さんの感想
http://www.tnlab.net/melcblog/2012/10/121031.html
山根さんの感想
http://www.tnlab.net/melcblog/2012/11/121101.html
こちらは共同企画者、牧村さんのブログ
牧村さんのブログ
http://maholab.net/?p=314
最後になりますが、参加者のみなさま、このように、「何が起こるかわからない実験的なワークショップ」を受け入れてくださり、プログラムにご参加頂いた、成城ナーサリィスクールの先生方、特に牧村園長先生、滝澤先生、さらには当日の記録をご担当いただいた、井上さん、池田さん。、心より感謝いたします。ありがとうございました。
成城ナーサリィ・スクール
http://homepage3.nifty.com/seijons/
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嗚呼、今回も、ドキドキハラハラのワークショップを無事何とか終えることができました。この2日間、Learning Producer(Practitioner)として、どっぷり、過ごしました。久しぶりに「車座の対話」とかもやったしね。愉しかったね。
小生にとって、この2日間は「年休」でしたので、本来ですと、自宅で寝て休んでればいいのでしょうけど、小生は、それをよしとしません。なかなか、知的にエキサイティングで、ハード・ファンな時間を過ごしました。
どっぷりPractitionerだった2日間を終えると、でも、「もうひとつの世界」が気になってきます。そろそろ「論理とデータ世界」、Learning Scientistに戻りたくなるんだねー。ロジックや数字に懐かしさを感じる(笑)。
というわけで、今日は、数日ぶりに、朝から、そればかりです。なかなか面白いデータ分析ができています。
こちらも、もうしばらくすると、なかなか面白い分析結果をお届けできるのではないかと思います。
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でも、一般的には、こんな風に「フーテンの寅」こと、「車寅次郎的プラプラ研究生活」をしていると、「どっちつかずの中途半端野郎」と揶揄されちゃうんだろうね・・・(笑)。でもねぇ・・・それって、トレードオフなのか?
このバランスを微妙にとりながら生きていくことが、今の僕にとっては、不思議なもので、もっとも「心地よい」のです。ここまできたらさ、がっつり「腹をくくって」さ、「どっちつかずの中途半端野郎」を決め込もうと思います。
それが、「僕らしさ」になるんじゃないだろうか。「際(キワ)に生きる」ってのかな。そんなかっこのいいもんじゃねーか。
37歳にもなって、いまだに、「己」がわからんわ。何をやっても「満足できない」。何をやっても「違う気」がする、ってことだけは、確かだけれど(笑)。
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ともかく・・・「プロセスの知を磨くワークショップ」は、今回、第一回目を終えただけです! プロセスを見る / プロセスをしることは、決して「個を見ること」だけに限られるわけではありません。このほかの企画が、しばらく続きます。
そして人生は続く。
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