2012.6.16 23:02/ Jun
ワークショップを実践する人には、2種類の人がいます。
自らワークショップは実践するが、他人のワークショップに参加するのは嫌いな人
自らワークショップを実践し、しかも、他人のワークショップに参加することが好きな人
です。
僕に関していえば、明らかに「後者」です。僕自身に考える機会を与えてほしい、というか、ついつい安易にステレオタイプでモノを見てしまう僕を「揺さぶって」欲しい。そして願わくば、何らかの実践のヒントも欲しい。
今日も、知り合いのRさん(ラーニングイノベーション論の卒業生、感謝!)が、あるワークショップを企画してくれたので、参加させて頂きました。
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僕が今日参加させていただいたのは、映画に、視覚障碍者向けの映像ガイド(映画の音声解説)をつけるプロジェクトを推進なさっている、松田高加子さんのワークショップです。
松田高加子さん
http://www.facebook.com/takoisblu
松田さんは、視覚障碍者の方々が「映画」を見られるように、映画のシーンでの俳優の動きや情景を「音声」で吹き込む活動をなさっている一方で、その活動の社会的意義を広めるべく、健常者を対象にワークショップを実践なさっています。
映画の1シーン、何気ない映像を、いかに選ばれた言葉で、限られた時間のなか、視覚障碍者の方々がわかりやすいように音声で伝えるか。
実際に映画を見ながら音声ガイドをつける作業をやってみると、これがどうして、奥が深く、なかなか面白かったです。
近年では、テレビ局のW社など、松田さんのワークショップを新人研修に導入しているところもあるそうで、まことに興味深いことですね。ちなみに、実際の映像ガイドをつくるためには、100分の映画で100時間かかるそうです。
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松田さんのワークショップに参加した感想として、僕は2つの感想をもちました。
ひとつは「福祉のコンテキスト」からの感想です。
あらためて感じたのは、いかに現代という社会が、「視覚優位社会」かということです。
テレビのバラエティのテロップ、コンピュータのマウスとポインタ・・・健常者にとってわかりやすく表現されたものは、必ずしも視覚障碍者の方にとってわかりやすいものではないのです。世に言う「見える化」・・・それは必ずしも、健常者にとってはわかりやすいけれど、視覚障碍者の方々にとって必ずしも優しいものではない。
ある人にとって「わかりやすいこと」が、別の人にとっては、通常の生活を営むための「バウンダリー」を構成していることに、あらためて気づかされました。恥ずかしながら、それは僕にとって考えたこともないことでした。
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ふたつめの感想は「コミュニケーション」の観点です。
限られた時間で、映画の情景を、限られた言葉で伝える。すなわち、映像ガイドをつける作業を実践してみて思ったことは、コミュニケーションにおいて「何を残し、何を残すか」が決定的に重要である、という、まぎれもない事実です。
いかにミニマムに、しかし、それでいて必要なことを選び取るか?
たとえ、映像には存在していたとしても、ストーリーに関係のないと思われるもの、あるいは既に俳優がセリフとして発話しているもの、またストーリーの構成上、この段階では言わないほうが映画を楽しめるものに関しては、敢えて、情報を落とす。松田さんによれば、そうしなければ、視覚障害者の方々には、なかなか情景がつたわらないのだといいます。
畢竟、「伝える」ということは、そういうことなんだと僕は思います。
勇気をもって何を残し、後ろ髪引かれる思いで何を落とすか。
そして、そこには潔さと勇気が必要です。
くどいようですが、「伝える」とは、そういうことだ、と僕は感じます。
松田さんのワークショップは、「福祉のコンテキスト」「コミュニケーションのコンテキスト」・・・さらにはこれ以上詳細を述べませんが「記憶のコンテキスト」「制作のコンテキスト」などなど、多種多様に解釈が可能で、非常に興味深いものでした。
最後になりますが、僕をガンガンと揺さぶってくれた松田さん、そして会を企画してくださったRさんに心より感謝いたします。
それにしても、僕は幸せなことですね。卒業生だった方々が、次々と面白いワークショップの企画をすすめてくださる。学びの場をデザインしてくださる。最近、ちょっとふさぎこんでいましたが、ここに働きがいや、やりがいを感じます。
ありがとうございました!
そして人生は続く。
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