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2011.12.31 23:57/ Jun

謹賀新年、あけましておめでとうございます!:今年は”第二の創業期”!!  : 行く年を振り返り、来る年を構想してみた!

 Happy new year 2012!
 新年、あけましておめでとうございます!
 今年もどうぞよろしくお願いいたします!
  
 僕は、北海道(僕の実家)・奈良(カミサンの実家)の帰省ツアー!?の真っ最中です。みなさま、いかがお過ごしですか?
 新年ということもあり、去年の活動の「振り返り」と、今年の「構想」を述べたいと思います。僕自身の振り返りと構想をお聞きになっても、しゃーないとは思うのですが、自分のためにも。
  ▼
 まず去年の活動の「振り返り」。
 去年は、311という衝撃的な悲劇をどうしても忘れることはできません。また忘れるべきでもありません。
 僕自身は、特に前半、自分がどのように研究活動をすすめていったらよいか、どのような実践を積み重ねることが正しいことなのか、わからなくなりました。研究活動や実践活動が制約を受け、行っては戻り、戻っては進むような時が、長く続きました。
 そのような中、研究活動としても、実践活動としても、大きな「蓄積」の時間をいただいたような気がします。情報を発信するというよりは、自分の内部に情報を発酵させる時間とでもいったらよいのでしょうか。
 研究としては、
1)中原研究室の大学院生らとの共同研究をまとめた論文集「職場学習の探求」(生産性出版)の執筆
2)高尾隆君と「パフォーマンスと学習」の関係を考察した「インプロする組織 ー予定調和を超え、日常を揺さぶる(仮題)」(三省堂)の執筆
3)上田信行先生との共著「Unworkshop論(仮題)」(三省堂)の企画、執筆
4)単著書籍「経営学習論」(東京大学出版会)の執筆
5)単著論文「学習環境としての職場」(日本労働研究雑誌)の執筆
 に、ただひたすら取り組みました。これらが、今年になって、少しずつ出版・刊行されるものとおもいます。
 一方、僕は研究の傍ら、これまでLearning Producer(ラーニングプロデューサ)と自称し(?)、様々な「学び系ワークショップ」「学び系イベント」をプロデュースしてきました。
 僕が創りたいのは、新たな学びの場をつくりだすための「文法」であり、「モデル」です。これらをいったん、いわゆる「研究」とは異なる立ち位置で、「実験的な社会実践」をつくりだすことをめざします(どのように研究として成立させるかは、あとで考える。まずは、プロトタイピングを行い、あとでマネタイズを考えるという、最近の情報通信業界のビジネスモデル構築手法に似ているかもしれません)。
 こちらの実践に関しても、2011年は「蓄積」の時間をいただきました。そして、その「蓄積」の時間に構想したことを、2011年の後半になって、志ある仲間と協働し、いくつかの「実験的実践」として、実装することができました。
 特に昨年興味深かったことは、
 
1)「ソーシャルメディア」と「学びの場」の連携のあり方
2)パフォーマンスと学習の連携のあり方
3)祝祭と学習の関係のあり方
4)Unconferenceのようなユーザー参加型の学習環境デザイン
 について大きく学んだ気がします。今年は、この学びを何とか、もう少し言葉にしてみなさまにお伝えできれば幸いです。
 あと去年一年を振り返って、大きな出来事としては、公共領域の仕事が増えたことではないか、と思います。
1)教育委員会と連携して「初任教師の熟達」に関する共同研究を行なわせていただきました
2)最高検察庁参与として「検察の人材育成」のあり方に助言をさせていただきました
3)後半にはNPO法人カタリバの理事にも就任させていただきました
 自分の研究は、あくまで「企業・組織の学習」です。この軸はズレることはありませんが、そこで得た知見を、公共領域でも、もし役立つところがあるのだとすれば、ぜひお伝えしたいと考えています。
  ▼
 次に2012年の「構想」です。
 ひと言でいいますと、2012年は「第二の創業期」だと位置づけています。
 企業・組織の研究に着手して、今年でちょうど9年になりました。この10年の活動を総括し、次につなげるためにも、今年は「大きな変革」を迎える、否、迎えなければならないと、思っています。
  ▼
 まず第一に研究面の2012年の構想。
 こちらでは、大きな研究方針をかかげます。
 それは「トランジション(移行)」です。要するに、ある物事が変化していく、そのプロセス間の関連を研究射程に入れていきます。その上で、今年は2つの研究に取り組みます。
 まずひとつめの「トランジション」は、溝上先生(京都大学)らと取り組んでいるトランジションに関する研究です。それは「大学と企業のあいだのとトランジション」。研究テーマとしては、大学での経験が、いかに組織に入ったあとに影響を及ぼすか/及ぼさないかを調べる研究ということになります。
 こちらは、2年にわたって構想を温めてまいりましたが、電通育英会さまのサポートを受け、本調査に入らせていただくことになりました。
 もうひとつの「トランジション」は、海外赴任したマネジャーの変化に関する研究です。日本企業ー現地ー日本企業のトランジションを研究射程にいれます。具体的には、海外赴任の内定、着任、帰任までのプロセスをおう研究です。こちらは個人研究になりますが、ぜひ追っかけていきたいテーマです。
  ▼
 次に2012年の実践面の構想。
 こちらは、「コミュニティ形成」「イベント」「イニシアチブ」の大きく3つにわかれます。
 まず第一のチャレンジ「コミュニティ形成」ですが、今年前半は、特にこれにチャレンジしていきます。まず【INHOUSE】と【fʌ’n】という2つのコミュニティらしきもの?を立ち上げて、動かしていきたいと考えています。
 【INHOUSE】は経営戦略と現場の状況をみすえた上で、人材育成のあり方にビジョンを描き、イニシアチブをとっていく企業内部の人々を応援するコミュニティです。
【INHOUSE】
http://www.facebook.com/pages/INHOUSE/255545127832314
 【fʌ’n】は学びの場への「集客」「ファンコミュニティ形成」に関する勉強会です。どちらも、「学び」ということをキーワードに、組織内外で、何らかのイニシアチブを立ち上げていこうという方々を応援していきたいと考えています。
【fʌ’n】
http://www.facebook.com/pages/INHOUSE/255545127832314
 次にイベントです。
 現在決まっているところでは、下記の日程で様々なイベントを開催します。
2月20日(月) 勝手にウメサオタダオ研(東大中原研×東京都市大学岡部研共催)
http://katte2umesao.blog.fc2.com/
3月19日(月) テアトロフォーラム「人材育成をACTする」”職場学習の探求”刊行記念シンポジウム(日本生産性本部×東大中原研究室×内田洋行)(年明け募集開始)
8月18日(土)-20日(月) 大学生研究フォーラム2012@京都大学(京都大学×東京大学×電通育英会)(春頃募集開始)
8月31日(金)マネジメントラーニング2012 @東京(春頃募集開始)
 いよいよ今年は、2007年から2009年の3年にわたって開催されていたワークプレイスラーニング200Xが、「マネジメントラーニング」という名称にかわり、戻ってきます。下記はワークプレイスラーニング2009のときの映像です。この祝祭が、また、戻ってきます。どうぞお楽しみに! 


 あと、これらの様々な催しを動かすための、実務家×研究者から構成されるイニシアチブを、2012年前半につくろうという動きがでてきています。それが最後の実践項目であるイニシアチブです。1月に初回ミーティングが開催されます。こちらもたのしみです。
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 というわけで、以上、僕自身の2011年のリフレクションと2012年の構想を述べさせていただきました。長々とすみません、ありがとうございました。
 今年も、僕の研究活動・実践活動にご興味・ご関心を持ってくださる皆様と、何らかのかたちでぜひご一緒させていただき、「宛先のある実践的研究」「宛先のある研究的実践」を積み重ねていきたいと考えています。
 謹賀新年、今年もどうぞよろしくお願いいたします!
 そして人生は続く。
「学問は、先に”決意”があるんだ。やる、という決意にひきずられて、ニーズが湧きおこってくる」(梅棹 1978)

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