NAKAHARA-LAB.net

2011.8.4 17:08/ Jun

電子書籍「東大発2011」を無料公開しています:キャリア教育とは言わないキャリア教育

 一昨年、中原と重田先生で「メディア創造ワークショップ」という授業を、東京大学教養学部で開講しました。その最終成果物である電子書籍「東大発2011」のダウンロードが、アップル社のApp Storeではじまりました。
mcw_toudaihatsu2011.png
「東大発2011」iTunes Preview
http://itunes.apple.com/app/id450443969?mt=8
(ビデオが入っているためアプリが重いです。Wifi環境でダウンロードください。このページの「View in iTunes」をクリックすると、iTunesが立ち上がります)
 授業「メディア創造ワークショップ」は、「働く」というテーマに基づいて、学生がグループで議論して、取材対象と自らの主張を考え、実際に学外へインタビューに出向き、インタビュイーからお話しを伺い、それらを映像とテキストにまとめる活動から成立していました。
「起業することの意味」「ワークライフバランス」「社会的起業」、そして「リストラ」。社会人の方々の生々しい語りを、学生は耳にします。
 個人的には、この授業は「キャリア教育とは言わないキャリア教育だ」と思っています。自分たちで動き、自分たちで情報収集をして、自分で「働く意味」について考える。考えて、内省するだけでなく、稚拙な文章であってもいいので、自ら情報の発信者として「Outputする」。
 キャリアに関する情報を、社会人から講演会などで「もらう」のではなく、自分たちで社会に出向き、自分たちの手足を動かし、じっくり考える機会を、なるべく早い段階でもつ。僕は「キャリア教育」の専門家でもありませんし、「キャリア」の研究者でもありませんが、ひとりの教師として、直感的に、今、そのことが、大学生に必要なのではないかと感じています。
(ちなみに、大学・組織としての位置づけとしては、「社会連携を活かして多種多様な学習経験を学部の早い段階から経験すること」をめざして、教育改革の一試行として実施されたものです。本授業は、東京大学大学総合教育研究センターが、教養学部付属教養教育高度化機構のご支援を受けつつ、Early Exposureの試行として実施したものです)
 この授業には、ダイヤモンド社の間杉さん、加藤さん、映像ディレクターの大房さん、株式会社のジェットマンの方々などに参加いただき、学生らが電子書籍「東大発2011」を開発するご支援をいただきました。学生の拙いインタビューにお答えいただいた猪子寿之さん、山田正人さん、山本繁さん、たぬきちさんにも、この場を借りて、心より感謝いたします。ありがとうございました!
 先日、その最終成果物である電子書籍「東大発2011」を アップル社のAppStoreにて無償公開することができました。App storeでダウンロードいただけば、iPhone, ipadでご覧頂くことができます。
 電子書籍の名前である「東大発」という名称には、「東大初の電子書籍?」という意味と、「東大をいったんでて社会を見て回る」という意味と、「東大からの情報発信」という意味をかけてみました。
 学部1年生・2年生の文章ですので、荒削りなところは多々あります。もっともっと深掘りできるところもあるでしょう。浅い、面白くない、とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。また、授業者である私たち自身にも残された課題は多々あります。言い訳はしません。来年度は、さらにクオリティの高いものをめざしたいと思います。
 このように課題はたくさんあることをご承知おきのうえ、ぜひ、ご覧頂ければと思います。
東京大学・広報文
http://www.he.u-tokyo.ac.jp/2011/07/2011appstore.html
「東大発2011」iTunes Preview
http://itunes.apple.com/app/id450443969?mt=8
(ビデオが入っているためアプリが重いです。Wifi環境でダウンロードください。このページの「View in iTunes」をクリックすると、iTunesが立ち上がります)
 この授業、2011年度後期も開講を予定しており、「東大発2012」の公開をめざしたいと考えています。
 この授業は、はっきり言って、楽勝ではありません。意欲と志のある学部生の参加を強く希望します。本気の本気で、自分にとっての「働く」を、「動きの中で考えたい学生」に出会えることを愉しみにしています。
 —
■2011/08/03 Nakahara Twitter

  • 23:56  上田先生も、とてもお喜びになると思います。秋に「とてつもない企画」を上田先生と企画しております。またご連絡させていただきます!RT @tkanai1954: 「一味違う人材育成論」という5冊の書籍紹介 http://bit.ly/py4OJ7 (via @iwkw)
  • 23:46  金井先生、拙著に言及いただき、誠に嬉しいことです!RT 人材育成に興味があればぜひ、ご一読を。 RT @tkanai1954: 神戸大学のMBA向けのEUREKAに「一味違う人材育成論」という5冊の書籍紹介 http://bit.ly/py4OJ7 (via @iwkw)
  • 23:41  興味深い試み>RT @soyama 面談がうまくいく3つの方法: 3月からはじめてから毎月行っている新人育成のための「育成責任者会議」。月1回、たった1時間ですがものすごく有益な会となっています。やっていることは・・・ http://amba.to/oZRGhs  [in reply to SOYAMA]
  • 23:33  「オマエの汚れは石けんで落ちる。でも、石けんで落ちない汚れってのもある。人間長くやってりゃ、どうしたって、そういう汚れがついてくる。/そういう汚れは、どうしたらいいんだ?」 (北の国から)http://ow.ly/5U96V
  • 21:48  成功体験は「成功」を阻害する?>RT @sanu22 任天堂の苦悩 / 成功体験に縛られる任天堂、3DS値下げの真相 「革新のジレンマ」に苦闘 :日本経済新聞 http://htn.to/A9AXov
  • 20:35  立ちこぎフル回転です。ゾクですね、ある意味。RT @syasuak 園送迎標準仕様。 @teraoikuko126 これなんですね!朝夕の活躍マシン!後姿は「ゾク」みたいですね RT 僕のマシン。スペック高い。 http://instagr.am/p/JOVmy/  [in reply to teraoikuko126]
  • 18:30  僕のマシン。スペック高い。 http://instagr.am/p/JOVmy/
  • 16:40  非常に勉強になりました。組織を超えてつながりゆく人々の動態>上野直樹先生のブログ:「野火的な活動」・・分散的でローカルな活動やコミュニティが、野火のように同時に至る所に形成され、ひろがり、相互につながって行くといった現象のこと: http://ow.ly/5TQkV
  • 14:15  集中力が切れたナリ。少し散歩するナリ。
  • 11:19  「働く」をテーマにした東京大学・学部1・2年生によるインタビュー集・電子書籍「東大発2011」を無償公開。iPhone, iPadでお読み頂けます。チームラボ社長・猪子寿之さん、横浜市副市長、山田正人さんら。起業、ワークライフバランスなど。 http://ow.ly/5TJ3Z
  • 11:07  ブログ更新。京都の暑い夏:大学生研究フォーラム2011を終えて: 研究と実践のコミュニティ構築。ゼロから実践・研究コミュニティを生み出すことの意味 http://ow.ly/5TIzz


Powered by twtr2src.

ブログ一覧に戻る

最新の記事

「人事界隈」にあふれる二項対立図式の議論は、たいてい「不毛」!?

2024.11.26 10:22/ Jun

「人事界隈」にあふれる二項対立図式の議論は、たいてい「不毛」!?

あなたの組織は「社員の主体性を喪失させる仕組み」が満載になっていませんか?:うちの社員には「主体性」がないと嘆く前にチェックしておきたいこと!?

2024.11.25 08:40/ Jun

あなたの組織は「社員の主体性を喪失させる仕組み」が満載になっていませんか?:うちの社員には「主体性」がないと嘆く前にチェックしておきたいこと!?

2024.11.22 08:33/ Jun

最近、僕は何をやっているのか?そうね、いろいろやってます!?

2024.11.15 15:01/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点

2024.11.9 09:03/ Jun

なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?