NAKAHARA-LAB.net

2005.12.7 23:53/ Jun

Early Exposure

 先日、京都大学大学院の三原さんに、Learning bar@Todaiという研究会で、講演をしてもらいました。「医師を育てる」ために、卒前・卒後にどのような教育カリキュラムを組んでいるのか、について話してもらいました。
 三原さん自身の研修の経験も、いくつか語ってもらいましたが、とても知的にオモシロイ時間を過ごすことができました。今回のLearning bar@Todaiでは、何人かの医師の方も参加したのですが、彼らからもあとからメールをもらいました。よい時間を過ごしていただけたようで、何よりです。
 僕はこの研究会から学んだこと、いっぱいあるんだけども、特に、「医学教育の世界」と「教師教育の世界」・・・それぞれを比較してみると、教師の専門性を高めるっていう議論をするときに、どうしても、足りてないものがあるんですね。それがよくわかりました。
 これはちょっとセンセーショナルなことでもあるので、また、機会があったら、飲み屋で話しましょう。でも、「専門性を高める」ってのは、戦略的に行わなければならないってことがわかりました。
 この研究会で得た気づきは、結構、多岐にわたっていて、その多くは今も整理がつかないでいるけど、オモシロいなぁと思った考え方に、「Early exposure」っていうのがありました。
 医学カリキュラムの中で、「解剖実習」ってのがあるそうです。要するに、ホトケさんの解剖ですね。
 これ、やっぱり、医学生のアイデンティティのよりどころになるらしいのですが、それをやる時期を、なるべく早くするっていうことが試みられているらしいのですね。そうすると、これから学ぶことの全体像がみえるのと、動機の向上につながる、という。
 教師教育の世界でも、これに似た考え方は一部あるのですが、もっと本格的に導入するとよいのかも、と思いました。
 たとえば教育実習短期版を1年生にもってくるとかね(既に試みている大学はあると聞いています)。
 ほんのマネゴトでもいいから、専門的なカリキュラムの中で、もっとも印象的なものは、最初にもってきた方がいいような気もするのです。もちろん、ほとんど高校生のような大学1年生を現場につれていくのは、ホントウに大変なことではあるけれども。
 —
 とにかく、いろいろ勉強になりました。三原さんには、この場を借りて感謝いたします。ありがとうございました。

ブログ一覧に戻る

最新の記事

あなたは、データを「愛していますか」?:データ自体が何かを「語り始める」くらいまで、あなたは、データに向き合っているのか?

2025.4.14 18:11/ Jun

あなたは、データを「愛していますか」?:データ自体が何かを「語り始める」くらいまで、あなたは、データに向き合っているのか?

自分の所属する「組織(ハコ)」によって、あなたは「有能」にも「無能」にもなりえる件

2025.4.6 18:11/ Jun

自分の所属する「組織(ハコ)」によって、あなたは「有能」にも「無能」にもなりえる件

わたしのサバティカルは「旅するサバティカル」and「学び直しのサバティカル」に決めました!:「ひょっこり・ひょうたん島」で「錆び付いた刀」を研ぎ澄ます!?

2025.4.1 18:20/ Jun

わたしのサバティカルは「旅するサバティカル」and「学び直しのサバティカル」に決めました!:「ひょっこり・ひょうたん島」で「錆び付いた刀」を研ぎ澄ます!?

【中原からのお願い】ファミリービジネスにおいて「事業承継」をご経験された方、ぜひ、アンケート調査にご協力いただけませんでしょうか?

2025.4.1 10:33/ Jun

【中原からのお願い】ファミリービジネスにおいて「事業承継」をご経験された方、ぜひ、アンケート調査にご協力いただけませんでしょうか?

2025.3.27 15:18/ Jun

【参加費無料】リーダー育英塾2025募集開始!:特色ある学校づくり+持続可能な学校づくりを進めたいあなたへ!