NAKAHARA-LAB.net

2009.11.24 09:21/ Jun

リフレクションを促すための手法と道具

 リフレクションを促すための様々な「手法」「道具」を体系化・整理する必要があるな、と感じている。
 この問題に関しては、これまで、多くの先行研究によって、様々な手法や道具立てが提唱されてきた。それらを今一度整理して、理論的に考察するべきときが来ているような気がする。
 様々な定義があるので一概にはいえないけれど、リフレクションとは「経験によって起こった出来事を内的に吟味・探求・意味づけすること」である。
 リフレクションは、その結果、個人の認知的枠組みを変容させたり、行動を変容させる契機になるとして、近年、特に注目されている。
 しかし、このリフレクション、実は「クセモノ」である。
「リフレクションしていること自体」は、第三者の目から見て見えるわけではない。常にリフレクションとは「不可視(invisible)」である。
 よって、「どういう状態がリフレクションであるのか」「どうすれば、リフレクションしたことになるのか」が、なかなか、他者に伝わらないし、共有できない、という特徴をもつ。
 人によっては、「昨日の晩ご飯はなんだったかな」「今日の電車でであったあの娘はかわいいな」と考えることが、リフレクションになりかねない。
 実は、巷にはびこる、あらゆる「思考法」も、同じような特徴を持っているのだけれども、リフレクションも類にもれない。
  ▼
 過去の先行研究は、あくまで僕の分類と管見に関する限り、下記の5つに分類できる。これらを少し整理して考えることが、必要だろう。
1)本番のリフレクションの前に、リフレクションをするための準備(レディネス)をいかに確保するか、という、いわゆる準備運動アクティビティに関する研究
2)リフレクションの中心である(外化)を促すための「道具」「ツール」に関する研究
 
3)リフレクションを促す他者やメンターに関する研究
4)リフレクションを促すための「問いかけ」に関する研究
5)リフレクションが常に生まれうる「環境」に関する研究
 またこれとは少し趣が異なるけれど、「リフレクションを実際に行っている個人」、あるいは、そうした個人のパフォーマンスに関する研究というものも、ある。
  ▼
「リフレクティブマネジャー」という本を書いたのだから、ぜひ、それにつながるような、仕掛けを考えてみたい。
 アクションや現場の変容につながる研究、否、というよりも、その前に理論的整理や体系化が、今必要なことのひとつかもしれない。
 —
●働く大人の学び論・成長論
 仕事の経験を積み重ね、内省する
 リフレクションをアクションにつなげる
 マネジャー研修で用いられているそうです
中原淳×金井壽宏 「リフレクティブマネジャー」光文社新書!

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2025.3.12 22:56/ Jun

「皆さんの会社の内定者の皆さまに、深い絆を!」内定者向けワークショップ!開発成果報告会!

デジタルメディアで「読まれる文章」はいかに書けばいいのか?:斉藤友彦著「新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと」(集英社新書)読了

2025.3.11 16:20/ Jun

デジタルメディアで「読まれる文章」はいかに書けばいいのか?:斉藤友彦著「新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと」(集英社新書)読了

2025.3.10 08:25/ Jun

研究室は「換気」をしなければ「湿気」がたまる!?

大学新卒の初任給30万円で浮かれている先に広がる未来!? : 30代ー40代で自分を見失わないために!?

2025.3.7 08:23/ Jun

大学新卒の初任給30万円で浮かれている先に広がる未来!? : 30代ー40代で自分を見失わないために!?

「一枚岩」と「全員野球」は「イリュージョン(幻想)」である!?:組織を語る言葉の貧困さ!?

2025.3.6 08:21/ Jun

「一枚岩」と「全員野球」は「イリュージョン(幻想)」である!?:組織を語る言葉の貧困さ!?