2009.9.25 07:49/ Jun
「私たちの社会は、自己陶酔的な表計算屋、パワーポイントのプレゼン屋によってなるほんの一握りの人間の階層に、過大な力を与えすぎてしまったのだろうか?」
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デルヴス・ブロートン(著)、岩瀬大輔(監訳)、吉澤康子(訳)「ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場」を読みました。
イギリスのデイリー・テレグラフの元編集長が、ハーバードビジネススクール(HBS)に大学院生として入学し、そこでの猛烈な学習、過度に緊張し、刺激に満ちた生活を綴った本です。
HBSといえば、泣く子も黙る「ビジネススクール」の最高峰ですが、著者は、ジャーナリストらしく、冷静に、かつ辛辣に、時にユーモアと皮肉をまじえて、ビジネススクールを分析します。
時にはHBSやHBSのファカルティに共感と憧憬を示しつつも、あくまで冷静に記述をめざす。その書きっぷりは、巷にあふれるMBAホルダーによる「ビジネススクール礼賛書」とは、ひと味違う感想を持ちました。
HBSでの生活を通して、入学当初には「志高かった人々」が、普通の人の年収を大きく凌駕する「自己陶酔的な表計算屋」「パワーポイントのプレゼン屋」になっていくのかが、非常に興味深いところです。
文章はやや散逸ですが、一種のスクールエスノグラフィーとしても読むことができるのではないか、と思います。
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本書を読んでいると、サブプライムに端を発した世界同時不況が起こるべくして起こったような気にもなってきます。
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