2009.5.15 08:53/ Jun
いつも、自分に心がけていることがあります。
自分が愉しく仕事ができるようになるために、「緊張屋」「情報屋」「熟慮屋」という3タイプの人たちと一緒に仕事がしたい。そういう人たちに、自分の「周囲」に居続けていただけるように、自分は何をなすべきなのか、と考えているのです。
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「緊張屋」は、時々、ハッとするような角度から、僕に、「言いにくいこと」をストレートに言ってくれる人です。
「このままいくと、”普通”になっちゃうけど、それでいいの?」
緊張屋のメッセージは、常に耳が痛いです。
でも、こういう「言いにくいことを言ってくれる人」は、非常に貴重な存在です。
自分が、どんなに尖ったことを成し遂げようと心に決めていても、終わりなき日常の中で、最初の志やコンセプトは、丸まってくるものです。そういう気のゆるみを、緊張屋は決して見逃しません。
緊張屋のメッセージ – 愛のある「差し込み」は、虚心坦懐に受け止めたいと思うのです。
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「情報屋」は、様々な領域を飛び回っている「吟遊詩人」のような存在です。それぞれの領域で、今、何が一番面白いのか、驚くほど、よく知っています。
「中原さんのやろうとしていることは、○○では、こういう言葉でやってるよ」
「最近、○○の世界では、○○って概念が流行ってるよね、これ、絶対にくるね」
情報屋は、決して、ひとつのドメインに満足しません。そして、どこにも属しません。情報屋は、自分の中に複数の「目」をもっているのです。
今、何が面白いのか。これから何が注目を浴びるのかを、様々な視点で見つめています。
情報屋の持ってきてくれる情報は、いつも「気づき」をもたらしてくれます。
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「熟慮屋」は、いったん動き出したプロジェクトの中で、コツコツと、熟慮に熟慮を重ね、仕事をしてくれる人です。そして、その時々において、解決しなければならないことを分析し、僕や皆に、教えてくれる人です。
「実際やってみると、○○という問題と△△の問題がでてきたなぁ・・・これ、どうしようか。そもそも、この二つの問題を解決するためには、もともとのコンセプトを考え直さなくてはならないかもよ」
「熟慮屋」のメッセージは、「情報屋」のメッセージほど鮮烈なものではありません。しかし、熟慮の果てに発するものだけに、非常に深く、根源的なものがあります。
面白いことを追求するだけで、仕事をなしとげることはできません。ひとつやるべきことを決めたら、熟慮し、やりぬくこと(Execute)。これが何よりも必要です。
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このように「緊張屋」「情報屋」「熟慮屋」という3タイプの人たちと一緒に仕事がしたい、と願っています。それぞれのタイプの人々が持っている能力は、僕に欠けているものであることを、僕は重々承知しているからです。
そして、彼らから得られたメリット以上のものを、願わくば、自分も彼らに対してもたらすことができれば、と願っています。
おそらく、僕が得意なことは、それぞれから得られた情報を統合的し、コンセプトを決め、人を巻き込むことだと思います。無理無理名前をつけるのであるならば、「決断屋」あるいは「統合屋」「接続屋」ではないかな、と思います。
大人の世界は、Give and Takeです。我々の仕事がサスティナブルであり、そして、我々の関係が安定的であるためには、そこに「互恵性」が存在していなければなりません。そして、お互いの役割や、お互いのあり方(Being)に対するリスペクトや感謝が存在していなければなりません。
自嘲的に言っているわけではないのですが、僕は、自分一人の能力が取るに足らないものであることを知っています。僕には得意なことがある反面、自分に足りないものが、たくさんあることをよく知っています。
でも、僕がすべてを「知っている」必要はありません。そして、すべてのことを「できる」必要もありません。それらを望んでも、実際問題、僕には「できません」。
自分の仕事に必要な能力を、人々の「ネットワーク」として持つこと。
そういうネットワークの中に、自分があること。それが重要なことだと思います。このことは、近著「ダイアローグ 対話する組織」でも述べました。
くどいようですが、大人に必要な「知性」とは、「個人の頭の中」だけにあるものではありません。大人に必要な知性とは、ネットワークとしてデザインされるべきものなのです。
必要な知性をネットワークをとしてデザインし、維持し、なすべきことを達成する。そして、それ以上に重要なことは、その都度、ネットワークのあり方を見直し、時には壊し、時には編み直す。
くどいようですが、ネットワークとは、決して「静的」「固定的」なものではありません。静的かつ固定的なネットワークは、かえって「重さ」を生み出します。
「不安定とは安定であり、安定とは不安定」です。
常に移ろいゆく中にあるからこそ、平衡が保たれ、安定する。しかし、ネットワーク全体は緩やかに、世の中の流れに応じて変化する。
かくいう状況は、生命学者の福岡伸一さんのいう「動的平衡」に似ています。そういうあり方が、ここにも見いだされなければなりません。
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あなたが、自分の周囲に、「何屋」さんにいて欲しいと願いますか?
今、現在、あなたの周りには、どんなタイプの人がいますか?
あなた自身は、何屋さんですか?
そして、彼らに何をもたらしていますか?
そして、あなたと彼らの関係は、いかにあり、どのような方向に変わっていくのでしょうか?
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「伝えた」はずなのに、伝わっていない。
「伝えた」はずなのに、相手の行動は変わらない。
「伝えた」はずなのに、組織も変わらない。
中原淳・長岡健著「ダイアローグ 対話する組織」発売中!
様々なブログに、読後の感想が掲載されています! ありがとうございます!
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