2009.5.8 07:12/ Jun
新装丁・新タイトルで発売されているハーバードビジネススクールのジョン=コッターの「ビジネスリーダー論(The general Manager)」を読みかえしていたら、こんなことが脚注部分に書いてありました。
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「マネジメントに関しては無数の文献がある。しかし、そのほとんどは、組織における管理のプロセスや手法に関するものであり、マネジャーはどのような人々か、彼らは何をしているのか、あるいは、なぜ彼らは他の人々よりも有能で成功しているのかについての考察ではない。
たとえば、マネジメントの典型的な教科書には、業務意志決定システム、販売と生産管理、コミュニケーションと情報システムの項はあるが、マネジャーそのものや行動や職務についての項はない。
マネジャーに焦点をあわせた文献の多くも、ほとんどが規範的なものであり、つまり、それは一般化された経験やひとつの理論から演繹的に導き出されたもので、刺激的・示唆的ではあるものの、その価値は疑わしい」
(脚注2より引用)
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要するに、マネジメントの「プロセス」に関する研究はあるけれど、「マネジャーその人」に焦点をあてた実証的な研究 – マネジャーとはどういう人で、どういう行動をしているかに関する研究 – は、圧倒的に不足しているということです。
成功したマネジャー、成功した経営者が、「規範」や「一般化された経験」を「私語り(わたしがたり)」する書籍はあっても、実証的な研究はあまりない、ということを、コッターさんは指摘しています。
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僕は経営学者ではありませんので、それほど詳しいわけではありませんが(勉強不足ですみません)、マネジャーの実証的な研究ということになると、CEOの行動に焦点化したヘンリーミンツバーグの「マネジャーの仕事」、そして、事業統括管理者に注目したジョン=コッターの「The general Manager」、そして課長レベルの管理職に注目したローズマリー=スチュアートの「Managers and thier jobs」などがあるように思います。このことに関しては、本書の後書きに、金井壽宏先生がご紹介なさっています。
しかし、問題は、これらの研究がすべて1960年代後半から1970年代にかけて生み出されたということであり、その時代の「マネジャーの行動」を扱っているということではないか、と思います。
もちろん、それらの研究が「古典」であるからといって、いささかもその価値が失われるわけではありません。
しかし、今の時代とその時代では、マネジャーのとる行動に、もしかしたら「差異」があるところも予想されます。
今後、「今を生きるマネジャー」を対象にした実証研究が増えることが、個人的には、この領域の「課題」であると思いました。
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ところで、企業人材育成の研究をはじめて以来、僕には、ずっと、わからないことがありました。
それは、「マネジャーを育成したい」「マネジャーを養成したい」という社会的ニーズは高いものの、「どういう行動特性を要した人材を養成したいのか」のか、さっぱりわからなかったことです。
それなのに、「マネジャー研修」とよばれるものは、世の中にたくさん存在しています。そういう状況が不思議でなりませんでした。
言葉を換えましょう。
「あなたは、どういう人材のことを
マネジャーと呼んでいますか?」
この問いに対して「課長のこと」とか「部長のこと」と答えをだすのは、トートロジーであり、答えになっていません。
どういう行動をとり、どういう思考をもつ人のことを、「マネジャー」とよび、「育成したい」と願うのか。この問いに対する答えが、いつもぼんやりとしているのが気になっていました。
もちろん、先進的な企業のいくつかは、自社のマネジャー像を実証的な調査に基づいて定義するところから、マネジャー研修を組み立てています。
僕が訪問したいくつかの企業の人事部では、「これはプロの仕事だな」と思わせるような調査結果をお持ちのところもありました。
しかし、そういう企業は、そう多いわけではありません。
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教育の世界の常識で言えば、まず、教育内容の精選、および配列化を行う「前」に行われるべきことは、「どういう人材を育成したいのか」を問い続けることです。しかし、マネジャーに関しては、それがなかなか見えないように思います。
しかし、朧気ながらですが、だんだんと事態が飲み込めてきたようにも思います。今回コッター読んで、その後、ミンツバーグを斜め読みしましたが、結局、まだまだ「わからないこと」が多かったのですね。
そして、高度情報化社会、グローバル社会とよばれる「今を生きるマネジャー」が何をしているのか、何を考えているのか」に関する議論は、これからなのかもしれませんね。
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あなたの会社にとって、
マネジャーとは、どういう人のことをさしますか?
そして
マネジャーはどういう行動をしていますか?
意外に、こういう「原初的な問い」から物事を考えてみると、思わぬ発見があるかもしれませんね。
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「伝えた」はずなのに、伝わっていない。
「伝えた」はずなのに、相手の行動は変わらない。
「伝えた」はずなのに、組織も変わらない。
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