2024.11.25 08:40/ Jun
うちの社員には「主体性」がない!?
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わたしのような仕事をしておりますと、企業・組織の経営陣の方から、年に数十回は、このようなセリフを伺います。
それが
うちの社員には「主体性」がない!?
です。
こちらからすると「ああ、またか」という気もいたしますが、しっかりとお話を伺うことにしています。
主体性という曖昧でフンワリとした言葉を用いて、おっしゃりたい内容はさまざまです。よって、それを十把一絡げに論じるわけにはいきません。しかし、共通していることもございます。今日は、それを少しだけ、時間の許す限り、論じてみましょう。
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まず大事なことは
その会社の社員が「主体性」がない
からといって、その会社では
「主体性がないひと」を選び取って「大量採用」しているだけではない
ということです。
そんな会社があったら怖いです。そんなことは、あるわけがない。
採用時には、目がキラキラした、やる気に満ち溢れた社員を採用なさっているのではないでしょうか。
日本広し、といえども、目がどんよりとした「死んだ魚の目」のような、やる気のなさが満ち溢れている人を大量採用する会社はありません。
つまり、採用時には、さして問題はないはずなのです。
どの会社も「主体性がありそうなひと」を採用しているのです(ないしは採用しようとしているのです)
それが、組織のなかに入って、しばらくすると、判で押したように
「うちの社員には「主体性」がない」
という状態に「なっている(becoming)」。
ここから類推される「有力な仮説」はこちらです。
それは
「主体性のなさ」と思われるものは、組織のなかに入って、社員に「学習」されている
ということです。
つまり、そうした組織のなかに満ち満ちているのは、ワンワードでいえば「学習性の非主体性」ですね。もう少しくだけていうと「あなたの会社の新入社員は、もともと主体的だったのに、組織のなかにはいったあとで、非主体的になっちゃってますよ」ということです。これは組織の「なか」で起こることです。ですので、その要因・原因は「組織のなか」にあることが有力です。
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それでは「組織のなか」には、主体性の発揮を妨げる要因として、どのようなものがあるのか?
これはすぐに想像がつくのではないでしょうか。
1.「主体性を発揮」したら「干される職場」があるか
2.「主体性を発揮」したら「余計なことをするな」と上司になじられた経験があるか
3.「主体性を発揮」しても「何にも得しないケース」を見てきたか
4.「主体性を発揮」しようにも「既存業務」でヒーヒー言ってて、とても時間がないか
5.「主体性を発揮」して「評価下げられた社員」を横目にしてきたか
などの理由が、すぐに考えられます。並べていけば、すぐに10個でも、20個でも思いつきます。
そして、
社員の方々は、このような経験を積んだすえに(経験学習して)「会社の望む主体性」を放棄しただけです。この会社では、「会社の望む主体性」を実行するのは「アホらしい」と思ったということですね。残念ですが。
つまり「会社の望む主体性」を発揮しないことは「残念な経験・職場環境」のなかで行われている「社員による主体的な選択」ということになります。
つまりワンワードでいえば、
「うちの社員には主体性がない」という命題は、99%「イリュージョン(幻想)」です
そうではなく
あなたの組織には「主体性を喪失させる仕組み」が満載である
が、より確らしさをもつ仮説と結論づけられます。
そして、そういう仕組みをつくって、維持し続けているのは「経営」の側であることが非常に多いものです。
この世には「道理」がないことは起きません。
すべての起きている現象は「正しく」「合理的」なのです。
あなたの目の前で起きている「残念な事態」も、誰かの「合理的」かつ「主体的」な判断と選択による「結果」です。
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今日は、
うちの社員には「主体性」がない
という命題について考えてみました。
ちなみに、最後に、ほんのすこしだけ、よせばいいのに(笑)、プチ学問的に考えます。
経営学的には「主体性のある行動」を、もし仮に「Proactive behavior(プロアクティブ行動)」に置き換えることが許されるならば、その先行要因(元になる原因)は、個人、組織・環境の各レベルに存在する、と言われています。chatGPT先生にパパッと先行要因を聞いてみれば、5秒でばこばこと答えを教えてくれます。もちろん、生成AIは正しくないことを言う場合もあります。それぞれ原典にあたることが大事なことはいうまでもないことは、付記しておきます。
そのうえで、結果をザザザと、あまり間にうけず、眺めてみましょう。
もちろん、社員の側の、個人の問題もあります。
個人要因としては、
性格:自ら機会を見つけ、主体的に行動する性格。
誠実性: 自己規律や目標達成志向が強い人はプロアクティブ行動を取りやすい。
経験への開放性: 新しい挑戦を受け入れる柔軟性や創造性
自己効力感:自分の能力に対する自信が、積極的な行動を促す。
内発的動機づけ:自分の中から湧き出る意欲がプロアクティブ行動を支える
などがあります。
これらは採用時に見抜くほかはありません。
しかし、プロアクティブ行動の発揮に関しては個人要因よりも、ずっとずっと、組織要因・環境要因の方が多いものです。だから、「うちの社員には主体性がない」と言いたくなる時には、仕事・組織の要因の方を見直した方がいいのです
■上司要因
上司の変革型リーダーシップ: 社員が独自に考え、行動を起こすことを奨励する。
上司のエンパワーメント型リーダーシップ: 自律性や必要なリソースを与え、プロアクティブ行動を促進。
■職場要因
支援的な職場環境:心理的安全性がリスクを恐れずに行動する自信を与える。
仕事の設計:自律性、タスクの多様性、役割の明確性が高い仕事はプロアクティブ行動を後押し。
組織文化:イノベーションや柔軟性、従業員の意見を重視する文化がプロアクティブ行動を促進。
■仕事のアサイン
成長の機会:学習や成長の機会が、プロアクティブ行動を刺激。
不確実性:ダイナミックな環境下では、問題を予測し解決しようとする動機が高まる。
社会的ネットワーク:同僚やネットワークの支援が、プロアクティブ行動へのリソースと励みを提供。
コントロール感:自分が環境に影響を与えられると感じるほど、主体的な行動を起こしやすい。
時間的プレッシャー:適度な時間の制約は問題解決を刺激するが、過度のプレッシャーは抑制する。
役割期待:役割において自主性が期待されている場合、プロアクティブ行動が促される。
■ワークライフバランスのとれた仕事
私生活とのバランスが取れていると、エネルギーやモチベーションが向上。
家庭や個人的なネットワークからの感情的・実質的支援が職場でのプロアクティブ行動を支える。
かくして、
「主体性のなさ」と思われるものは、組織のなかに入って、社員に「学習」されている
ということになり、
かつ、
「社員の主体性のなさ」が課題になっているのならば、その組織には「主体性を喪失させる仕組み」が満載である
ということになります。
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あなたの組織には「主体性を喪失させる仕組み」が満載になっていませんか?
そして人生はつづく
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