2024.2.6 05:51/ Jun
対話においてメンバーの「主体的な発言」を引き出すためには何がもっとも大事なのか?
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最近、あるところで、管理職の方々が部下を巻きこみつつ、職場で「対話」をしていく場面を「参与観察」させていただく機会に恵まれました(要するに組織開発の実践場面です)。その会社では、新たに全社の組織調査の結果が出された。それに対して、それぞれの職場では、何をしていくかを話し合うことになったのです。かくして、いくつかの職場の対話の様子を、観察させていただきました。
どの管理職の方々も、非常に配慮をして、みなが話しやすい雰囲気をつくろうとなさっていることに、まず感銘を受けました。少しずつゆっくりと、職場のあり方は変わろうとしているのだな、と希望を感じました(まだまだ、それどころじゃない、ハラスメント横行職場もございますよね・・・)。
しかし、一方で課題も存在しているような気もしました。
多くの管理職の方々が陥っている症状の一つに
管理職の方々が、メンバーの方々に「問い」を出したあとに、待つことができない
というものがあるような気がしたのです。
今日は、これについて考えてみましょう。
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職場ぐるみの対話の場面において、
管理職の方々は、よかれと思って、メンバーの方々に「問い」を出します。
「〜の現状については、どのような意見をもっていますか?」
「〜の現場の状況については、どんな変化を感じますか?」
「〜については、近い将来、どうなると思いますか?」
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メンバーの方々は管理職の方々問いが投げかけた「あと」から、自分の頭のなかで思考回路を回転させて、それにまつわる自分の意見をまとめます。当然、メンバーの方々が自分の考えをまとめるためには「思考時間(Thinking Time)」が必要になります。
アタリマエダのクラッカーでございますが、
ひとは「考えているあいだ」は「沈黙せざるをえない」
のです。もちろん、ひとびとの中には「考えながら、しゃべることができる」という稀有なひともいらっしゃいますが、多くのひとびとは、考えは「いったんまとめてから」、はじめてしゃべることができるものです。当然、彼らの思考時間には「数秒の間(MA:沈黙)」ができます。
そして、管理職の多くの方々は、この「間(MA)」に耐えることができません。
すぐに管理職自ら自分の意見を表明してしまったり、余計な言葉を紡いでしまったりしがちです。
そこには、だいたい3つくらいのパターンがあるような気がします。
以下のパターンに皆さんは陥っていないでしょうか?
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ひとつめ
これは「管理職が、沈黙に耐えきれずに、自分の言葉で間を埋めてしまうケース」です。
1. 管理職が問いをなげる
2. メンバーは考えているので、沈黙
3. 沈黙に耐えられず、管理職がしゃべる
4. 管理職が饒舌にしゃべるので、メンバーは余計しゃべれない
5. メンバーがしゃべらないので、管理職は余計しゃべる
6. 管理職だけがしゃべっている
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ふたつめ
つぎのケースは「意味のない確認で、沈黙を埋めてしまうケース」です。
1. 管理職が問いをなげる
2. メンバーは考えているので、沈黙
3. 管理職は不安になって「大丈夫?大丈夫?」とすぐに聞く
4. メンバーは「大丈夫?大丈夫?」と聞かれると、「大丈夫」といわざるをえない
5. 管理職は「で、どう?」と聞く
6. メンバー沈黙
7. 管理職は心のなかで「全然、大丈夫じゃないじゃん、わかってんの?」とつぶやく
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最後、みっつめ
こちらは、管理職の最初の「問い」が「曖昧」なために、まったく対話がはじまらないケースです。
1. 管理職が、ふわっとした問いをなげる
2. メンバーは何について考えなきゃならないか、わからない。
3. 管理職は、ただちにメンバーに発言を求める
4. ふわっとした問いに対する答えは、なかなか出ない&さらにふわっとしている
5. 管理職はイライラしてくる
6. メンバー沈黙
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いかがでしたでしょうか?
意見を求めても、なかなか意見が表明されない、という状況が、みなさんの会社で生まれているのだとしたら、この3つのパターンにはまっていないかを、ぜひご確認いただければと思います。
もっとも大事なことは、
問いを出したら「待つこと」です
相手が考えるための時間。思考回路を回転させる時間。自分の意見をまとめる時間のなきところに、メンバーの主体的な発言はあり得ません。
主体性を喚起させるために、必要なことは「働きかけること」ではありません。
主体性を喚起させるために必要なことは、相手の主体的行動を「待つこと」です。
そして人生はつづく
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「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
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