2023.8.31 18:10/ Jun
「何もしないこと」が、一番、難しい
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せんだって、久しぶりに臨床心理学者・河合隼雄さんの書籍を読んでいたら、非常に興味深い話がございました。
興味引かれたのは、河合隼雄さんが「おはなし おはなし」(朝日新聞社 1994)のなかで、スタニスラフスキーの演劇論「俳優修業」を引用しつつ、教師やカウンセラーのあり方に論じている部分です。
河合さんが、この文章のなかで掲げられた問いはこちらです
曰く
演出家は、俳優志望の学生にさまざまな課題を与えるが、もっとも演じるのが難しい課題は何か?
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みなさんでしたら、何をあげるでしょうか。どんな演技、どんなシーンが、もっとも難しい演技だと思われるでしょうか。
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同文によれば、もっとも難しい演技とは、
「舞台で、ただ、椅子に腰掛けていること」
なのだそうです。
つまり、「何もしないでいること」が一番難しい。「何にもしないで、ただ椅子に座る」ということを「演じること」が難しい。おそらく、それは「演じない」とはイコールではないのです。俳優は「何もしないこと」を演じているのですから。
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河合隼雄さんは、この演劇論を引用しつつ、話題を「親・教師・カウンセラーなどの働きかけ・仕事」にうつしていきます。
彼が教師やカウンセラーに警鐘をならしたかったことは、もはや、明らかですね。
親・教師やカウンセラーは、よかれと思って、子どもやクライアントに「関わりすぎて」しまうのです。 親という役割、教師という役割、カウンセラーという役割を「演じすぎて」しまう。
子どもが何かをしようとすれば、ついつい前もって、親や教師が口をだす。
クライアントの心が少しでも、といえば、ついつい、前もってカウンセラーも前のめりになってします。
決して、「何もしない」のではない。
教師やカウンセラーも、ちょうど「俳優が、舞台で、ただ、椅子に腰掛けていることを演じるか」のように、仕事をしなくてはならない、ということでしょうね。それは、とても難しいことではあるけれど。
あなたは、子ども・クライアント・部下に「関わりすぎて」、彼らの成長の芽をつんでいませんか? 嗚呼、痛い。自戒をこめて。
そして人生はつづく
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