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2023.4.21 11:44/ Jun

「深掘り」しろと言われても「深掘りできない」理由、「仮説を持て」と言われても「相手に伝わらない」理由!?

「深堀りしろ」と言われても「深掘れない」
「ひも解いてみろ」と言われても「ひもとけない」
「仮説を持て」と言われても「仮説じゃない」
        
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 わたしの研究は「人材開発・組織開発」。こういう実践的分野ですので、研究の都合上、多くのビジネスパーソンの皆様とお会いし、仕事をさせていただいております(感謝です)。
    
 ビジネスの分野には非常に多くの「生々しく役に立つ実践知」「成果につながる実践的言語」が埋まっており、これらをわたしは、非常にリスペクトしております。
    
 が、一方で、「ビジネス領域の異邦人」たるわたくしは、たまに「はて?」と考え込んでしまうときがあります。
    
 この数年「はて?」と考え込む機会が多くなった言葉が、冒頭の3点セット
    
「深堀りしろ」
「ひも解いてみろ」
「仮説をもて」
  
 の3つです。
  
 これらの言葉、特に、この10年くらいで、頻繁に使われるようになった「ビジネス用語」のように感じます。おそらく企画会議や、課題解決のプロセスのなかで、頻繁に耳にすることも多くなっているのではないでしょうか。
 しかし、ここには問題も生じているように感じます。
  
 それは、
  
これらの「言葉の意味するところ」が、ビジネスパーソンによって異なっており、「意味が一意に定まらない」よって、伝わっていない
  
 ことです。
    
 具体的には、上司や役員に「この用語」を投げかけられても、部下の方は、その後に、具体的に何をしていいかがわからない(笑)。おそらくは、これらの用語を用いている上司や役員も、たぶん、わかっていないこともある(笑)。でも、コミュニケーションを断絶するわけにはいかないので、「はい」or「Yes」と言っている。でも、何していいか、わからない。わたしはそういう場面を何度も見てきました。
   
 「深堀りしろ」とはいったい、何を、どうすることなのでしょうか?
  
 「ひも解け」とは、いったい、何を、どのようにすることを意味しているのでしょうか?
  
 そして
   
 「仮説」とは? いったい何なんでしょうか?
    
 みなさんは、これらの言葉にどのようなイメージをお持ちですか?何を意味することだと考えておられますか?
     
  ▼
   
 わたしは、25年も(飽きもせず)「研究の世界」に住み、これまで様々なデータを、さまざまなかたちで「分析」を行い、仮説検証を行ってきました。
 そういうわたしが、たとえば、前者2つ「深掘り」「紐解き」の言葉を聞いたなら、より一歩踏み込んで、これらの言葉が「いったい何を意味しているか」を考えます。
   
「深掘り」とか「紐解き」とか、そういう「解像度の低い状態」で物事を見つめるのではなく、
  
 たとえば、
  
1.何の対象(変数)と何の対象(変数)を、どのような分析手法でアプローチして、どのような知見を算出するのか?
  
2.どのような「対象者」を設定して、どのような期間、どのような方法で、何を見るのか?
  
3.何と何を比較させたり、関連させて、何を見るのか?
  
 と、具体的に、具体的に、考えます。
  
 一方、後者の「仮説」ということであれば、「検証可能な命題(つまり、○か×かが、判定できるような命題)」のかたちにまで、問いを明確にして、検証に当たります。
  
  ▼
  
 何が申し上げたいのか、と申しますと、別に「研究の世界の住人になってちょ」なんて言いたいわけでは1ミリもございません。
  
 そうではなく、
  
「深堀りしろ」という言葉で終わってしまうと、一生、「深掘れない」ですよ
「ひも解いてみろ」という言葉で思考停止すると、一生「ひもとけない」ですよ
  
 ということです。
  
 同時に
  
「仮説を持て」といわれたなら、自分が「検証可能なくらい」に対象と方法を明確にしておかないと、「仮説」にならないですよ
  
 ということかな、と思います。
   
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 あるいは、これらの言葉を用いる上司や役員の側の方に、わたしが言い得るのだとしたら、

あなたの用いる「深掘りせよ」「ひも解け」「仮説を持て」の言葉は、相手には「伝わっていない」可能性がありますよ
   
 ということです。下手をすれば「よしなにやっておけ」「自分の頭で考えろ」くらいの意味にしか伝わっていないのではないでしょうか。
 より課題解決の制度をあげたいのなら、解像度の高い具体的な比較・分析を、一緒に「考えてあげること」が必要なのではないでしょうか。
  
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  ・
  
 よりシンプルに言うと、
  
「深堀り」してはいけない! さらに「解像度を上げた問い」にせよ
「ひも解き」で思考停止してはいけない! さらに「具体的な問い」をつくれ
「仮説」をぼんやりもってはいけない! 言葉を研ぎ澄ませろ!
   
 ということです。
  
 いかがでしょうか?
  
  ▼
  
 今日は「深堀り」「ひも解き」「仮説」という言葉について考えてみました。
  
 ルネ・デカルトはかつて「困難は分割せよ」という名言を残しました。
  
 「深堀り」「ひも解き」「仮説」という言葉に安住するのではなく、その「一歩先」を目指して行けたとしたら、より素晴らしい実践につながると思われます。
  
 そろそろ教育現場に戻ります。
 最近、忙しいです。ワサワサしてます。
  
 そして人生はつづく
        
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