2023.2.14 07:51/ Jun
「褒められるために、おまえは、仕事してんのか?」
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不思議で不思議でしょうがないことがあります。
仕事柄、社長や役員と呼ばれるひと、校長先生と呼ばれるひとと、雑誌の対談などで、お話しをする機会が多々あります。
どの方も「人格者だな」と思わせる機会が多く、そうした機会を、私自身は楽しんでいます。素敵な出会いに、心より感謝しています。
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彼ら / 彼女と話をしていて、以前より、気がついていることがあります。100%どの方にもあてはまるわけではないですが、多くの方々に「一定のパターン」が存在しているような気もします。
第一の発見事実は、彼らは
「組織のこと・事業のこと」を語るときは「たいてい雄弁」
だということです。
曰く
「市場環境に、ただちに、適応しなければならない」
「顧客のニーズにあわせ、マーケットインで行動しなくてはならない」
つまり、「組織・事業は、環境にあわせて、変化させなければならないこと」を主張なさいます。そして、そうなさっているのでしょう。僕自身も首肯しつつ、お話しを伺うことができます。
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しかし、話題が「上司ー部下の関係性」とかの話題になると、どうも「雲行き」が怪しくなってくる場合があります。もちろん、この話題は、すべての方に、あてはまるとは申しません。
この場合、「組織のこと」を語っていた時までは、あんなに「雄弁」だったのに、話がマクロからミクロに変わったとたんに、「ただちに(僕には)首肯できない持論」が出てくることがあるのです。
その様相は、端的にいえば「変化にあわせ、自己のありようを変える」というよりは「自分の過去のやり方を、かたくななまでに、守ろう」となさっているように、僕には思えます。
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とりわけ、1on1やフィードバックにまつわる持論となると、カオスであることがあります。
たとえば1on1の場合だと
「1on1って、部下の話を、へーほーはーふーん、と聞いていればいいやつですよね。仕事にも、ガス抜きが必要だって事ですよ」
たとえばネガティブフィードバックだと
「さすがに、みんなの前では叱責はしません。が、個室に入ったら、結構、ヒートアップしちゃってるかもしれません」
たとえば、ポジティブフィードバックの場合だと
「わたしは、部下を褒めませんよ。褒められるために、おまえは、仕事してんのか?って感じですよ」
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それぞれの持論が「いい、悪い」と述べたいのではありません。
そうではなく、
「どうして、人にまつわる持論は、こんなに、かたくな」
なんだろう、と思ってしまうのです。
組織や事業を語っているときには「顧客を見なければならない」「市場環境の変化に敏感にならなければならない」と言っているのに、ひとに関しては「相手は見ない」「環境に敏感もくそもない」「わたしはわたしのやり方を通すもんね」となっているような気がします。
まことに香ばしい「ねじれ」です。
不思議で不思議でしょうがありません。
なぜ、他者に対して、そんなにかたくななんですか?
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今日は「ひとにまつわる持論」は結構、かたくなだというお話しをしました。
せんだっても、イラショナルビリーフ(他人から見ると、どう考えても、非合理な信念)の話をさせていただきました。今日の話も、その延長上にある話のような気がします。
管理職が問われている「イラショナルビリーフ(非合理な信念)」とは?
https://www.nakahara-lab.net/blog/archive/14786
ただ・・・
「持論」というものは、たいてい、その中を見つめれば、「影響を受けた他人の持論」が入っているか、ないしは、「自分を頑なにした過去のトラウマ」が、入っている
ものです。過去の上司からの薫陶を受けたときの「言葉」、あるいは、「自分が過去に経験したつらいこと」、などが、ミックスブレンドされて、「ダバダー、違いがわかるひとの、ゴールドブレンド」になっているのかもしれません。
自戒を込めて「ひとにまつわる持論」を柔軟に変化させ、見直していきたいものだと感じています。
社会も変わる
市場も変わる
部下も変わる
ならば
あなたも変わる
そして人生はつづく
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