2022.10.24 08:12/ Jun
研修は「はじまりにくい」が「やめにくい」!?
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ここ数年、こんなご相談を各社の人事部からお引き受けすることが、年に1度ー2度ほどあります。
それは、
「うちの研修体系を見てもらって、やめたらいいもの、続けた方がいいものの、アドバイスをいただけませんか?」
ということです。
会社のなかには、研修体系が肥大化・重複しまくって、いわば「大砲ゴテゴテの巨大戦艦」!?のようになっているような組織があるのです。
多忙なので多くはお断りをせざるを得ないのですが、何らかの縁があってどうしても、という場合にのみ、お引き受けさせていただきます。
しかし、この問題、
実は、わたし自身に「答え」はありません
多くの打ち合わせのなかで、わたしが申し上げるのは、
「この研修が、万が一、仮に、明日、なくなったとして、短期的に、かつ、中長期に、どの現場に、どんな影響がでますか?」
ということに尽きます。それをデータ(定量であっても、定性であってもかまいません)をもって示してください、ということです。それをもって「ともに考え、議論すること」ならできます。
やめるか、どうかを決めるのは「わたし」ではありません。だから、その場では「やめること」を決めません。やめることを決めることができるのは、「その会社のひと」だけです。
もし万が一、仮に、この研修が明日なくなったとしても、何の影響も出ないなら、研修は行う必要がありません。
答えは「会社のなかにある」のだと思います。
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かえすがえすも、
研修体系とは「肥大化」しやすい
ものだと思います。
その理由は、下記の3点です。
1)研修をはじめるよりも「やめにくい」
企業研修は「はじめる」ときに多くのロジックや決済を必要とします。しかし、いったん、はじまった研修は、あとは前例踏襲、悪しきジョブローテーション(引き継ぎ不足)によって「続きやすい」傾向を持ちます。
つまり端的にいうと「これまでやってきたもの」をやめるのが面倒くさい。また「これまでやってきたもの」を「やめること」で生じる悪影響を高く見積もってしまう「損失回避」現象が生じるのです。
2)研修がひとに「ひもづいて」いて、言い出しにくい
「あの研修は、中原部長が提案してはじまった」ので、やめられない、とかいうことが頻発します。「あのコンサルタントと社長は友達だから、研修はドサイアクだけど、やめられない」も、20年の研究人生で1万回くらいは耳にしたような気がします。研修をやめることが、研修を立ち上げたひとのメンツや立場を否定する、と考えてしまうのです。
3)研修を「評価」していないので、やめるにも「データ(根拠)」が示せない
研修評価をきちんと行っていないケースが多いので、やめようにも「データ(根拠)」がないのです。満足度などはたいてい5段階評定で「4」を超えることが多く、分散があまりありません。研修転移をしっかり測定しない限り、現場で実践されない研修を検出できない、ということになります。
研修に対する、わたしの立場は、
企業は「学校」ではない
(=長期間かかるものを取り扱えない)
しかも、
企業研修は「尺」が長くない
(=教えられるものに制約がある)
正確にいうと
企業研修には「教えられない」ものもたくさんある
(=教えても研修転移しない)
(=採用時に見抜く他はないものもたくさんある)
そして
研修転移しない研修は、やめたほうがいい
(=仕事に活かされない研修は、やめたほうがいい)
(=仕事をしたほうがいい、その方が生産性が高い)
です。
年に一度、百歩ゆずって数年に一度は、自社の研修体系が、本当に時代にあっているかを、見直してもいいかもしれません。変化の激しい時代なのだから、研修体系が「不変」ということは、あまり想定できない、とも思うのです。
あなたの会社の研修体系は肥大化しまくって「大砲ゴテゴテの巨大戦艦」のようになっていませんか?
そして人生はつづく
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