2022.4.12 07:35/ Jun
あなたが取り組んでいる「課題」は本当に「解くべき課題」ですか?それは「偽りの課題」ではないですか?
・
・
・
せんだって立教大学中原ゼミ・大学院中原研究室に、内藤美欧さん・保田江美さんをお招きし、
「戦略的思考入門(ストラテジックシンキング)」
にまつわるワークショップを学内で開催させていただきました。お二人には、お忙しいところご登壇いただき、この場を借りて感謝いたします。また、ご参加いただいた皆様も、お疲れ様でした&ありがとうございました。開催にご協力いただきました、医学書院の皆様にも、心より感謝いたします。
▼
戦略的思考(ストラテジック・シンキング:strategic thinking)とは、コロンビア大学大学院のジュリア・スローン教授の提唱なさった概念です。
「戦略的思考」とは、
1.自分が、日々、抱えている課題を見直し
2.「正しい解=解くべき課題」に向き合えるよう
3.多くの他者からフィードバックや問いをつきつけられ
4.発揮される、真の課題解決法
を指します。
わたしたちは、課題解決の際、さまざまな囚われや思い込みから「正しい課題」ではなく、「解ける課題」を設定しがちです。つまり、「偽りの課題」を設定したり、その「偽りの課題」のもとで「偽りの解決策」をとってつけたように考えがちです。
戦略的思考のワークショップでは「他者の視点」を借りて「正しい問い」に向き合う「ホットシート(hot seat)」と呼ばれる手続きを行います。
自分の抱えている課題を「ジレンマ」のかたちで表現し、このジレンマに対して、多くの他者から、質問を大量に受けます。かくして、課題の本質に向き合える思考法を身につけます。
詳細は、下記の雑誌「看護管理」に特集が組まれておりますので、そちらをご覧くださいませ。紙上で、戦略的思考が体験できると思います。また、今回のワークショップの様子は、後日、看護管理で紙上公開される予定です。とても楽しみです。
看護管理 2021年 12月号 特集 ストラテジック・シンキング
https://amzn.to/3E0Kahn
▼
当日は6時間に及ぶワークショップでしたが、本当にあっという間でした。内藤さんの素晴らしいファシリテーション、内藤さん・保田さんとの対話のはてに堅牢に積み重ねられたロジックと、保田さんの当日のロジスティクスで、本当に素晴らしい学びの時間をいただきました。本当にありがとうございました。
僕自身も、このワークショップのなか、いろいろなことを考えました。
特に、心に浮かんだのは、フィッツジェラルドの下記の名言です。
The test of a first-rate intelligence is the ability to hold two opposed ideas in the mind at the same time, and still retain the ability to function.
優れた知性とは、2つの対立する概念を同時に抱きながら、その機能を充分に「発揮」していくことだ
(スコット・フィッツジェラルド・村上春樹訳)
わたしたちは、考えてみれば「2つの対立する概念(ジレンマ)」を常に生きています。
わたしたちは、そうしたジレンマを同時に抱きながら、それらのジレンマを乗り越え、やり過ごして生きているのです。そうしたジレンマを乗り越え、同時に「達成すること」を求められるのが、わたしたちが生きる「シャバ」です。
しかし、シャバにいると、わたしたちは、つい、自分が所属している組織(ハコ)に過剰適応し、「ハコのなかの、ものの見方」「ハコでしか通用しない考え方」を身につけてしまいます。そうしたジレンマのもとで、解決を諦めてしまうのです。ここに刃を差し込むのが戦略的思考です。
戦略的思考は、「ハコのなかの、ものの見方」「ハコでしか通用しない考え方」を猛烈に破壊します。つまり、我々の「ジレンマ」の多くが、単なる「囚われ」に過ぎないことを、白日のもとにさらすのです。
参加者のおひとりがおっしゃっていた感想、
(ホットシートにすわると)「当たり前がなくなる感覚」
というのが、言い得て妙だと思いました。 ありがとうございました。
▼
最後になりますが、内藤美欧さん・保田江美さん、御協力いただいた医学書院の小齋さん、林田さん、後藤さん、本当にありがとうございました。おかげさまで、我々のコミュニティ、いいえ、この国に、また新たなコンセプトが根付くきっかけを得ました。この場を借りて、心より感謝いたします。
あなたが取り組んでいる「課題」は、ほんとうに「解くべき課題」ですか?それは「偽りの課題」ではないですか?
「偽りの課題」ではなく、「解くべき課題」と格闘したいものです。
そして人生はつづく
ーーー
職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS(オーディ・アトラス)」が多くの職場で使われはじめています。サーベイはもとより、それをいかに「フィードバック」するかに焦点をあてたツールです。ワークショップも開発しております。どうぞご笑覧くださいませ!
職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発)
https://rc.persol-group.co.jp/consulting/survey/service/od-atlas.html
ーーー
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
ーーー
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
ーーー
新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
ーーー
【泣くな!新米管理職!】
おかげさまで10刷重版出来。「駆け出しマネジャーの成長論」は、「実務担当者」から「新任管理職」への役割移行をいかに進めるかを論じた本です。「脱線」をふせぎ、成果をだすためには「7つの課題」への挑戦が必要であることを解説しています!全国の管理職研修で用いられています。どうぞご笑覧くださいませ!
パーソル総合研究所と中原は、このテキストをもとにした「マネジャーになる研修」を開発しました。種部吉泰さんとディスカッションは、非常に楽しいものでした。このコースについても、どうぞご覧くださいませ!
「マネジャーになる」 研修:プレイヤーからマネジャーへの移行期支援プログラム
https://rc.persol-group.co.jp/seminar/become-a-manager.html
最新の記事
2024.12.25 10:57/ Jun
2024.12.8 12:46/ Jun
2024.12.2 08:54/ Jun
2024.11.29 08:36/ Jun