NAKAHARA-LAB.net

2007.12.14 12:41/ Jun

誰も行きたくないカラオケ:新入社員とミドルの切ない物語

 今日、研究室にいらっしゃったG社のK社長、Sさんから「誰も行きたくないカラオケというのが、このところ、いろいろな会社で蔓延している」という話を伺った。
「誰も行きたくないカラオケ」は、現在35歳~40歳くらいの中堅社員が、「久しぶりに採用した新入社員の面倒を見てほしい」と上司から命じられたときに起こる。
 この世代の中堅社員は、上の世代が「仕事はオレの背中を見て育て」という世代であったので「教えられた経験」があまり少ない。また、氷河期があったので、「教えた経験」も少ない。
 上司には、「若いものには、飲みにつれていって、カラオケでも一緒に行けばいい」と軽く言われた。
 中堅社員としては、ここ数年カラオケなんて行ったことがなく、最近の歌は知っている歌も少ないので、あまり行きたくはない。でも、上司の手前、断るわけにもいかない。
 しょうがない。
 「今夜、カラオケでもいかないか」
 新入社員を誘う。
 一方、新入社員には、「会社の人とアフターファイブにまで飲みに行く」という慣習はない。「面倒なことになったな」と思いつつも、断るわけにもいかない。
 かくして、ただひたすら曲を入れて歌い続けるものの、今ひとつ盛り上がりにかける「誰も行きたくないカラオケ」状況が生まれることになる。
 両者ともに知っている歌がほとんどない状況なので、口ずさめるわけでもない。はたまた、相手の人が会社の人なので、あんまりハメをはずすわけにもいかない。
 そこに居合わせる誰一人として、「歌いたい」と思っているものはいない。全員が、ただ時間が過ぎるのを待っている。
 もちろん、2時間の時間が終われば、時間延長されることはない。「凍てつくような雰囲気」のまま、みんな家路につくだけだ。
 今日は金曜日。
 誰も行きたくないカラオケが、今日も、どこかで繰り返されている。

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2025.3.12 22:56/ Jun

「皆さんの会社の内定者の皆さまに、深い絆を!」内定者向けワークショップ!開発成果報告会!

デジタルメディアで「読まれる文章」はいかに書けばいいのか?:斉藤友彦著「新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと」(集英社新書)読了

2025.3.11 16:20/ Jun

デジタルメディアで「読まれる文章」はいかに書けばいいのか?:斉藤友彦著「新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと」(集英社新書)読了

2025.3.10 08:25/ Jun

研究室は「換気」をしなければ「湿気」がたまる!?

大学新卒の初任給30万円で浮かれている先に広がる未来!? : 30代ー40代で自分を見失わないために!?

2025.3.7 08:23/ Jun

大学新卒の初任給30万円で浮かれている先に広がる未来!? : 30代ー40代で自分を見失わないために!?

「一枚岩」と「全員野球」は「イリュージョン(幻想)」である!?:組織を語る言葉の貧困さ!?

2025.3.6 08:21/ Jun

「一枚岩」と「全員野球」は「イリュージョン(幻想)」である!?:組織を語る言葉の貧困さ!?