2021.11.22 07:37/ Jun
「なじみの世界」を離れよ!「違和感」ではなく「異和感」をビンビン感じよ!
・
・
・
箕曲在弘・二文字屋脩・小西公大(2021)「人類学者たちのフィールド教育―自己変容に向けた学びのデザイン」読了。面白かったです。
本書では、人類学者である著者らが、大学生をフィールドワークに連れ出す学びを、「Self transformation oriented Field Learning(SFL : 自己変容型フィールド学習)」として概念化しています。
著者らに寄れば、SFL(自己変容型フィールド学習)を行えば、
1)社会的文脈のなかで物事を理解する
2)偶発性に身を委ねる
3)自己を省察する
という、現代社会を生き抜く上で必要になる3つのコンピテンシーの育成が実現出来るといいます。
さらに、その先には、「学生の自己変容」を引き起こす「自己変容学習」が可能になるというのが著者らの問題提起です(ジャック・メジローを引用なさっています)。
たしかに学生たちは、「フィールド」という「異世界」・・・例えば、海外、学外のボランティアなど・・・に出れば「ふだん、自分が慣れ親しんだ世界(なじみな世界)から切断」され、「自らの初期設定」に気付くこともあるのではないかと思います。
フィールドは「異和感」への扉です
そこで感じるものは「違和感」ではなく「異和感」であるというのが、著者らのこだわりです。
著者らは、山口昌男らの議論をひいて、
「違」・・・同質なものとの、わずかな違い
「異」・・・内と外にあるような帰属の違い
であるとします。
「異」に含まれる帰属とは「原因を考える心理的過程」でしょうから、「異」の方が「違」という文字より、より「本質的な違い」がそこにあると想像できます。
かくして、フィールドで、偶発性にまかせながら、他者を理解することで、ひとは「異和感」を感じる契機を得るのでしょう。ここにこそ、自己変容学習の契機があるのでないか、というのが著者らのロジックです。
本書中盤部以降は、自己変容型フィールド学習の事例です。この部分だけでも、いかにして、フィールドにおける学びを確実なものにしていくことができるかを学ぶことができるでしょう。
PBL(プロジェクト学習・課題解決学習)に、少々、食傷気味のあなたに、おすすめの一冊です
そして人生はつづく
ーーー
新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください!
リリースしました!「チームワーキング研修版」
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
書籍「チームワーキング」おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
https://amzn.to/3esCOrW
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!
ーーー
【立教大学大学院で大学院生として学びませんか?】
立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コースでは、経営学を基盤にしながら、人材開発・組織開発・リーダーシップ開発を実践できるアカデミックプラクティショナーを養成しています。別名、「ひとづくり・組織づくりの大学院」です。
授業は「フルオンライン」。授業は金曜日夜と土曜日だけ行われており、2年間で、修士(経営学)が取得できます。
今年は、3期生の募集になります!ご興味がおありの方は、ぜひ、お申し込みくださいませ!
なお、在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
ーーー
拙著「経営学習論」の増補改訂版が、東京大学出版会より刊行されました。新たに「リーダーシップ開発」の章を追加し、カバーの装いも変わっています。人材開発の基礎的な理論を体系的に学べる一冊です。どうぞご高覧くださいませ!
ーーー
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
ーーー
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
ーーー
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
ーーー
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
https://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
ーーー
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約35000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun
最新の記事
2024.12.8 12:46/ Jun
2024.12.2 08:54/ Jun
2024.11.29 08:36/ Jun
2024.11.26 10:22/ Jun