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2021.11.11 09:03/ Jun

自分のルーツに向き合い、自分の学問をする : 浜田寿美男著「心理学をめぐる私の時代史」書評

 浜田寿美男著「心理学をめぐる私の時代史」を読みました。本書は、発達心理学者でありながら、法心理学の扉をひらいた浜田寿美男さんの自伝です。
   

  
 それまでのわたしは、浜田寿美男さんといえば
   
・「ピアジェとワロン」などの著作で両者の発達論を解説なさっていたり
  
・現象学的な立場に立ちながら「わたしの形成プロセス」を論じられた方で
  
・のちに多くの冤罪事件に心理学的なアプローチで自白の信憑性を問題提起なさっておられたな
  
 という認識でした。
 しかし、わたしは、その「背後にあるもの」・・・すなわち、浜田さんが、なぜこのような研究を志していたのかを知りませんでした。
    
 本書は、浜田さんが「なぜ」そのような研究を志向していったのかを考察します。小豆島で過ごした子ども時代、学生時代に立ち返って、その歴史を丹念におった本でした。
  
 ネタバレになるのであまり申し上げませんが、浜田さんが、のちに自白の研究、法心理学という分野の創始にたどり着いたのは、「必然だった」のだと思います。それがなぜかは、ぜひ本書をご覧ください。すさまじい個人史です。
      
 ▼
      
 それにしても・・・自戒をこめて申しますが、少し前まで、大学というのは、浜田さんのように自分のルーツに地に足をつけて、自分の学問をひたむきに追い続ける「凄みのある研究者」が、たくさんいましたし、そういう研究者を支える「鷹揚さ」をもっていたようにも思います。
   
 ちょっと前の大学では「歩く図書館」とか「動く人間百科事典」のような先生がたくさんおられました。
    
 自分の研究分野のみならず、文系・理系問わず、あまたの分野・思想に精通しておられ、かつ、己の道をいくような研究者が。
    
 それが、いつの頃からでしょうか。やれ成果だ、やれ数字だ、やれ業績だ、と追われたのは。
 いつのまにか「自分の学問をする」よりは「数字を稼げる研究」を「いっちょあがりさせる文化」が生まれ、そういう「点取りゲーム」に大学が巻き込まれていったのは。
     
 わたしも年をとってきたのでしょうか。
 この本を読んで、古き良き大学を思い出しました。
    
 わたしはわたしの道をいく。
 他人の道は歩かない。
  
 そして人生はつづく
 おすすめの一冊です。  
   
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中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
       
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
     
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
   
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
 
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
   
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
https://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
    
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
   
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
    
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