2021.9.22 07:57/ Jun
ケアマネジャーという仕事を耳にするのは「ある日、突然」だ
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わたしたちは年をとる。そして、それよりも前に、わたしたちの祖父、祖母、母親、父親が年をとる。
これまでできたことが、できなくなる。これまでは難なくこなせていたことが、難しくなる。
病院に通いつつ、「これからの生活」を立て直すときに、わたしたちがお世話になるのがケアマネジャーだ。だから、一般のひとが、ケアマネジャーという仕事を知るのは「ある日、突然」だ。ある日、突然、悲しみや失意に打ちひしがれながら、その仕事をする人々に出会い、やりとりがはじまる。
ケアマネジャーは、ショートステイ、訪問介護、福祉養護、住宅改修などなど、世間にバラバラにわかれて存在する福祉サービスを、本人のニーズと予算や状況に応じて、「ひとつのパッケージ」として提供することを期待されている。いわば、ケアマネジャーは「介護の司令塔」だ。
しかし、その仕事の現場は「最前線」でもある。
老いと死の最前線。そこでの「闘い」
老いと死には負の感情がつきまとう。だから、いろいろな出来事が起こる。ひとは老いと死に直面したとき「いらだつ」。
ケアマネジャーは、日々「いらだちに直面する仕事」でもある。
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岸山真理子「ケアマネジャーはらはら日記」を読んだ。最初に結論を言う。めっぽう面白い。少なくとも僕は興味津々、読み終えることができた。
知っているようで知らない、ケアマネジャーという仕事の本質が、著者の軽妙洒脱な文体で語られている。すべてがケアマネジャーである著者の実体験だという。
「おまえみたいに能力のないケアマネは、きえろ!」
「おまえは、もう、どこかにいけ! これ以上、おれに、さわるな!」
感情労働の典型的職業であるケアマネジャーは、ときに、こんな罵声にもさらされる。ケアマネジャーは「負の感情」を受け止めるトレーニングを受けているとはいえ、やはりこれはシンドイ経験だ。
「嗚呼、シンドイ仕事だ」
このひと言で終わらせてはいけないものを読んでいて感じる。
ケアマネジャーの仕事の「大変さ」はいやがおうでも、つたわってくる。
しかし、本書は、そこが不思議だ。
ケアマネジャーのリアルを伝えつつも、それだけでは終わらない。この仕事の奥底に潜む、ひとびとの笑い、爽快なヒューマンドラマ、涙なしにはよめないエピソードについても語る。
おすすめの一冊です。
わたしたちは、今日も明日も一日一日年をとる。
いつか、わたしたちは「ケアマネジャー」のお世話になる。
介護の問題は「わたしたちの問題」である。
いつの日か、わたしのことも、どうぞよろしくお願いします。
今日もしっかり生きよう。
そして人生はつづく
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