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2021.6.16 08:22/ Jun

ファシリテーションするとき「もっとも大切な行動」とは何か?

「世界でもっとも難しい演技課題とは何か?」
  
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 どこで読んだのかは忘れてしまったのだけれども(たぶんスタニスラフスキーだと思うけど・・・研究室に行けないので確認できない)、ある演出家が、俳優の卵たちに、さまざまな演技課題を与えることがあったそうです。
  
 例えば、
  
 遠距離恋愛をしていていた恋人たちが出会う場面
  
 子どもの卒業を見送る教師が手を振る場面
  
 レストランで若者たちが談笑する場面
    
 など(こんな例は出していない気がするが、まぁいい。趣旨は同じです)。
  
「俳優の卵」たちは、演出家から与えられる演技課題をひたすらに解釈して、それを自由に演じます。なかにはぎこちない演技もあるし、「これは!」と思う素晴らしいものもあったそうです。
  
 しかし、多くの俳優が頭を抱えてしまう難しい演技というものがあったそうです。数ある演技課題のうち、もっとも難しいものは何か?
  
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 それは「何もしないこと」の演技だそうです。
「椅子にただ座っているだけで、何もしないこと」を演技することが、もっとも難しい。
  
 単に「のんべんだらり」と座っているだけではダメなのです。これでは「演技」をしていないことになってしまう。
  
 正確には「ただ座っているだけで、何もしていないこと」を「演技」しなければならない。これがめっぽう難しい。ま、そうですよね。「何もしないこと」を演技しなければならないのだから、何をしていいか、面食らってしまう。
  
 すこし禅問答のようですね(笑)。
  
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 しかしながら、これは、なかなか興味深いことのように思いました。なぜなら、ここから人材開発・組織開発のファシリテータが学べることは多い、と思うからです。
  
 よく人材開発や組織開発の本をよめば、
  
「ファシリテータがどのように振る舞うか」
「ファシリテータは、どのように他者に影響を与えるか」
「ファシリテータが、どのように動くか」
  
 については饒舌に書いてあります。「動くこと」や「アクションをとること」については、ひとは、饒舌だ。
    
 しかしながら、そうした類書のなかで、もっとも「書かれていないこと」は何か?
  
 それは「何もしないこと」です。
  
 別の言葉でいえば、「参加者同士のやりとりを、何もせず、黙って聞いていること」「参加者からのリアクションを、ただ何もせず、待っていること」。
  
「何もしない」「待つ」といっても、ボケーッとしてハナクソほじっていてはイケナイ(笑)。
 そうではなく、ファシリテータの役割として「何もしないこと」「待つこと」を、他人との状況に応じて、積極的に担わなくてはならない。
  
 これが、人材開発・組織開発の類書には、もっとも書かれていないことであり、もっとも難しいことのように、わたしには思えます。
  
 ついつい、ファシリテータは、よかれと思って相手に積極的に関わること、口をだしてしまうこと、など、余計なことをになってしまう。
  
 しかし、時には「何もしないこと」「待つこと」が重要になる局面もある。
   
 ▼
  
 今日は演技論を下敷きにしつつ、ファシリテータの心得について書きました。
  
 あなたは「何もしない」で、学習者が声を発することを「待てていますか」?
  
 そして人生はつづく
  
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