2021.5.21 07:52/ Jun
この子の言語能力は、いったい、どのくらいなんだろうか?
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大学などで教えておりますと、日々、学生たちの「言葉の発達=言葉を用いる能力」といったものを常に目にしながら、仕事をしております。
・いったい、どれだけの言葉を知っているのか?
・どれだけ正確に、言葉を利用することができるか?
・どの程度、レトリックを用いることができるのか?
・どの程度、論理を追うことができるのか?
小生、なんちゃって教師(!?)ではありますが、常に、これを推し量りながら、彼らに「わかる」ように授業をしようと心がけております(できているかは別として・・・)。
はっきり申し上げますが、大学に入る頃には、学生のあいだには、言語能力に「歴然」とした差があります。
一見パリピに見える学生でも、しっかりと言語を扱う能力がある子もいます。一方、論理を追うのが苦手な学生もいます。
もちろん、大学教育でも、それを補正・鍛えるべく、さまざまな課題をだし、フィードバックをします。しかし、この4年間で補正できる量には、限りがあるのも、また事実です(もちろん頑張りますが)。
感覚知で恐縮ですが、大学に入るまでの長い時間をかけて、言語発達の差はかなり開いているようにも感じます。
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言語発達ということになりますと、ちょっと前の研究になりますが、Hart, B et al(1995)の研究を思い出します(たしか・・・研究室に今行けないので、ダブルチェックできていないのですが)。
彼らは、いくつかの社会階層に属する親子42組に密着し、その言語発達の様子を、数年にわたり丹念に分析しました。気の遠くなるような地道な研究です。
その結果は・・・
高所得・知識階層の親をもつ「子どもの言語発達能力」は、「低所得階層の親の言語能力」を、すでに超えているところもある
というものでした。子どもの言語能力が、大の大人の言語能力を超えている・・・衝撃の事実です。
一般に、言語の能力は、親から子どもへ「再生産(親の言語能力が子どもに引き継がれること)」されることが知られております。問題は、その「格差」のすさまじさです。
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それでは、気の遠くなるような格差は、いったい、どこから生まれたでしょうか。
それは「日々の生活」、すなわち「親から子どもへの声かけ」ではないか、というのが、彼らの仮説のひとつです
超絶地味で、地に足つきまくっている知見ですが、それが事実なのだからしょうがありません。
たとえば、高所得・知識階層の親で子どもに最も話しかけた親は、1時間に800回であるのに対し、低所得者層の親は50回でした。
また、一定期間に子どもをほめる回数は、知識階層の親が30回に対し、低所得者層は6回でした。
一方、子どもに投げかけられる否定・禁止語の回数は、知識階層の親が1回に対し、低所得者層が5回でした。
このような日々の声かけの格差、そして繰り返される承認・否認のフィードバックにより、歴然とした格差が開いてくるのです。
社会階層、所得によって、このような分析をゴリゴリと進めてしまうところが、いかにもアメリカです。両親が高校卒業のわたくしとしては、「そんなこと言われても・・・」と思ってしまうところもあります。もちろん、この研究にも多々批判はあります。知見の多くを社会階層に還元しすぎではないか、というものも、そのひとつです。
しかし、一方で、否定しがたい事実もあることも、また事実です。
言葉は、このように、日々の生活で学ばれ、蓄積されます。そして、将来、それは「資本」として機能してしまう可能性を有しているのです。
なぜなら、言葉とは「思考」でしょう。
思考の質を支えるのが言葉であり、思考の質が、経済価値を生む社会を、わたしたちは生きているのですから。
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今日はちょいと真面目なお話をしました(笑)。
僕は、言葉には、かなり、うるさい教員だと思います。「その言葉を、いま、なぜ、用いるのか」「その言葉の意味するところはなにか」「この言葉で、相手に何を伝えたいのか?」・・・僕が、学生にこのように繰り返し問いかけるのは、それが重要だからです。学生たちが用いる言葉、言葉の意味、その使用に、僕が細かいのは、なんとか、それを補正してあげたいからです。
だって・・・ひとは、生まれてくる場所を選べません。
この歴然とした格差を埋める努力をすることは(なかなか埋まらないのですが)、教育機関の責務、教師の責務だと思っています。
みなさん、よき週末をお過ごしください!
そして人生はつづく
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