2021.1.29 07:35/ Jun
フィードバックには「甘口」も「辛口」もない!
・
・
・
ひとは、自らの成長のために、「他者からのフィードバック」を必要とする場合があります。
ここでフィードバックとは、
1)たとえ耳の痛い情報であったとしても、ポジティブなことであったとしても、2)自分自身の成長のために
3)自分の行動や考え方が、他者からどのように見えているかを
4)他者から客観的に指摘してもらうことであり
5)それによって、自分の行動や考え方を補正していくこと
をいいます。
こうした特徴をもつフィードバックですが、僕は、それをよく「鏡」にたとえます。
「鏡」は、映し出すものが何であれ、それをそのまま、あるがままに映し出します。「鏡」は、映し出すものによって、「ちょっと盛ってみよ」とか「敢えてショボクしよう」とは考えないわけです(笑)。
映っているものを、あるがままに、そのまま反射すればいい。それが、僕は、フィードバックだと思います。
(ちなみに、この信念を思い出すとき、いつも脳裏にはビートルズの「Let it be(レットイットビー:すべてあるがままに)」がなっています。英語的にあっているのかはしりません。が、そんな気持ちです。)
▼
ところで、仕事柄、様々なフィードバックの場面に出くわしますが、よくこんなことを言われることがあります。
「先生、お手柔らかに」
「先生、辛口でお願いします」
「先生、今日は、甘口でしたね」
こうした言葉を耳にするたび、僕は「いやぁ、そうですねぇ」とお返しします。が、心のなかでは、同時に
「フィードバックに、お手柔らかに、はない」
「フィードバックに、甘口も辛口もないのにな」
なんてことを考えていたりします。
フィードバックとは、あるがままに、そのまま、相手をうつしだせばいいのではないかな、と思ったりするのです。
(もちろん、言い方は重要です。個人的には、1on1で行っているフィードバックは、録音されて、公開されても問題にならないことしかいいません。実際、現代社会は「いつでも録音社会」ですので・・・)
ま、どうでもいいことですが。。。
▼
ちなみに、個人的なことで恐縮ですが、僕は、相手が社長であろうが、執行役員であろうが、大学院の博士課程であろうが、修士課程であろうが、ハタチそこそこの学部生だろうが、自分のフィードバックを変えたことはありません。
もちろん、使っている言葉は、違います。
しかし、その強度を変えようと思ったことはありませんし、内容を変えたこともありません。
いつだって、フィードバックとは
相手の成長を信じて
自分に見えているものを
あるがまま、そのままかえすだけ
です。
敢えて足さない
敢えて引かない
ちょっと盛らない(笑)
手加減しない
くどいようですが、
相手の成長を信じて
自分に見えているものを
あるがまま、そのままかえすだけ
です。
▼
今日はフィードバックについて書きました。
大学は、今、論文提出シーズン、プロジェクトの成果報告シーズンにはいっています。毎日毎日、ここ1ヶ月ほど、フィードバックをし続けている日々がつづきます。
フィードバックは、相手へのプレゼントです。
すべてを鵜呑みにする必要は1ミリもありませんが、僕に「見えているもの」で、自分に活かせるものを取捨選択して、力強く前に踏み出していただきたいものだ、と思っております。
そして人生はつづく
ーーー
【新刊予約発売中】
新刊「学校がとまった日」の特設サイト完成!&予約販売開始中! 緊急事態宣言・全国一斉休校で「学びを継続できた子どもの特徴」は?学びをとめないために学校にできることは?:書籍の内容が概観できます!どうぞご覧くださいませ!
新刊「学校がとまった日」の特設サイト
http://toyokan-publishing.jp/stop/index.html
新刊「学校がとまった日」予約販売開始中(AMAZON)
ーーー
【好評発売中】1on1の失敗・成功ケースをまとめ、映像教材を中原とPHP研究所さんとで開発しました。失敗しない1on1について、具体的なイメージをもって学ぶことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
ーーー
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
ーーー
ラーニングエージェンシーさんと中原研究室の共同研究により開発した「女性の視点で見直す人材育成:トランジションサポートプログラム」のご提供がはじまっています。ライフステージに応じて、役割移行を支援する、きめ細かい研修となっています。共同研究の成果は書籍「女性の視点で見直す人材育成」としても刊行されています。
女性の視点で見直す研修 トランジション サポート プログラム
https://www.learningagency.co.jp/service/transition/
ーーー
。AMAZONの各カテゴリーで1位記録!(会社経営、マネジメント・人材管理・労働問題)。
長時間労働はなぜ起こるのか? 長時間労働をいかに抑制すればいいのか? 大規模調査から、長時間労働の実態や抑制策を明らかにします。大学・大学院の講義調で語りかけられるように書いてありますので、わかりやすいと思います。どうぞご笑覧くださいませ!
また残業学プロジェクトのスピンアウトツールである「OD-ATRAS」についても、ご紹介しています。職場の見える化をすすめ、現場マネジャーが職場で対話を生み出すためのTipsやツールが満載です。ご笑覧ください。
対話とフィードバックを促進するサーベイを用いたソリューション「OD-ATLAS」の詳細はこちら
https://rc.persol-group.co.jp/learning/od-atlas/
ーーー
「研修開発ラボ」(ダイヤモンド社)が、フルオンライン化して大幅リニューアルしました。人材開発の「基礎の原理」を学ぶことのできるトレーニングプログラムです。どうぞお越しくださいませ!
研修開発ラボ 特別講座「人材育成の原理・原則を学ぶ」
https://jinzai.diamond.ne.jp/seminar/SEMINAR0495/
ーーー
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。利用人数20名までは「無料」だそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
https://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
ーーー
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約31000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun
最新の記事
2024.12.25 10:57/ Jun
2024.12.8 12:46/ Jun
2024.12.2 08:54/ Jun
2024.11.29 08:36/ Jun